オーディン ~Lars's P.O.V~


やあ、僕はラーシュ。お尻と金儲けが大好きなナイスガイさぁ。

「マジかぁ・・・僕、死んだのかぁ・・・どうせ死ぬなら、お尻に顔を埋めて死にたかったなぁ・・ん、なんだここ?」

気がつくと、真っ白な空間で、なんにもないとこにいたんだよねぇ。

「ハハハ、まだ生きておるよ。そう簡単に死んでもらっては困るからな。お主の夢の中であるから安心し給え」

「あ、はあ…」

ヤベぇ、僕ともあろう者が、気のない返事をしてしまったよぉ。

「人の子ラーシュよ、私は、アサ神族の最高神とも創造神とも言われているオーディンだ。本当のところは、知識と芸術、戦いと死を司る最高神と呼ばれる存在であり、創造神様は、別にいるのだよ。」

今、オーディン様って言ったよねぇ?

周りを見回すと、顔こそわからないけど、頭に直接伝わってくる情報? 雷神トール様や豊饒神フレイ様、美と愛の女神フレイヤ様たち十二神がいるってなんとなくだけど、わかったんだよねぇ。

超絶美人なんだろうしぃ、フレイヤ様のお尻見たいなぁなんて思ってるところ、話は続いてたんだよねぇ。

「早速だが、既に加護をお主には授けていることは存じているな?」

「あ? ええ、まぁ。子供の頃の記憶もはっきりとあるのでぇ。もしかして・・・これが、龍や雅の言ってた託宣ってやつぅ?」

不思議と、加護を授かったこと、覚えてるんだよねぇ。

龍とか雅は、宮司やってたり、寺の息子だったりだから、御託宣を受ける事もあるんだろうなぁって思ってたけど、まさか僕にもあるとはねぇ・・・。

「苦々しく辛い記憶も残ってはしまうが、それも糧とすることもできる。それすら糧にできるのであらば、はっきりと残っていたほうが良いからな」

「色々と楽しませてもらったしぃ、僕としては、いい転生でしたよぉ」

まぁ、辛いと思ったことはそれほどなかった。

幸せといえば幸せ、だったんだろうけどねぇ。

それに、たくさんのスーパーヒップガールちゃんと仲良くなれたしさぁ。

「そうか。それは何よりだ。さて、お主らが行く先の星には名はない。だが、お主らのいた第七番太陽系第三惑星地球の下位惑星だ。まずは、北極に近い一つの隠された島へゼウス殿達から加護を授かった友と迎え」

今、乗ってる【あさひ】で行っちゃっていいのかなぁ・・なんて思っちゃったんだよねぇ。

「勿論だとも。お主の副官にも力を貸してもらい給え。ただし、あちらの世界の者には、極力、見つからぬようにな」

まあ、そうだよねぇ。

あんなヤバい艦、悪用されたら星、消えちゃうからねぇ。

「話を続けるぞ。その島には、惑星に生きる者の根本を揺るがしかねぬ物の片方が眠っておるのだ。願わくば、島そのものを、手中に納めてしまっておくれ」

おう・・・・なんだよそれぇ。

マジでヤバくない? でも島くらいなら、なんとかなりそうだよなぁって考えたのさぁ。

「ここまでは良いか?」

「はい・・・大丈夫です」

それぐらいは、実際のところ、僕一人でもなんとかなりそうだしねぇ、任せてよなんて思ったくらいだよぉ。

「大陸中央に移動した後、封印された麒麟の封印を解き、北の果てに封印されている玄武を解き放ってほしいのだ。その後の、応龍と黃龍の封印を解くためにな」

うわぁ、どんどん話が大きくなってきたよぉ。

これはマジやばい案件かもぉって思っちゃったよぉ。

でも、なんで封印を解かなきゃならないんだろうねぇ。

「我らは、お主たちだからこそできると見込んで、頼んでおるのだ。自信を持ってくれ」

「順番はわかりましたけどぉ、なぜ封印を解かなきゃなんないのか、お教えいただけないですかぁ?」

「それはな、我らが、遣わした神獣を解き放ち、結界を再び施さねば、地球からの転移被害者を抑えることができんからだよ」

おお! そんな役目を、僕らに任せちゃっていいの?

僕たち、こんな無責任な、ただのエロ四人組だよぉ!?

そう思ったけど、平静を装って僕は言ったんだよねぇ。

「いつか、こんな日が来ることは予想してたけどぉ、壮大な話ですねぇ・・・なんとかなるもんなのでしょうかぁ。あ、いや少し不安でしてぇ」

ふむと、オーディン様は周りを見渡してこう言ったんだよねぇ。

「我らの加護を授かったお主には、同じように神々から加護を授かった力強い友がいるのだろう? それは、我らとて同じことよ。仏陀や八百万の神々に龍神、オリンポスの十二の神々と、我らは連なっておるのだからな」

確かに彼らとは、転生のたびに幼馴染だし、ずっと支え合ってきたし、血の盟約なんかもしたからねぇ。

強い絆で結ばれた家族みたいなもんなんだよねぇ。

多分、親の顔より彼らの顔のほうが何倍も見てるんだよなぁ。

おかげで、女の子の取り合いはなかったってのが、良かったなぁ、なんて思い出しちゃったよぉ。

「そうですねぇ。彼らとは、家族みたいなものだし、彼らがいればなんとかなってきましたからねぇ」

「友、というのは心強いものよの。とは言え、我ら等しく地球の神々は、お主らの行く四柱の女神が守護する世界に赴くことは不可能なのだよ。せめてと思い、お主たちの案内役の聖獣を、新たに遣わすことには成功しているがな」

ふむ、聖獣様を遣わすことも可能ならば、僕たちを飛ばすことなんて、容易いことなんだろうねぇ。

「お主たちとは、違い思念体であるがな。では、伝えておくぞ。あちらの世界のアノーという人族と、転生したロキの子供たちに注意しろ。地上に転生したフェンリルとヨルムンガンドは然程でもない。だが、冥府に転生した死の女神ヘルだけは、力が差程衰えておらん」

うっそぉって僕は思っちゃったんだよねぇ。

アノー人は大したことないでしょう。でもフェンリル三兄妹ってヤバいじゃんよぉ!

叫びそうになっちゃったけど、なんとか堪えたんだよぉ。

ていうか、それだけじゃなかったんだよぉ!!!

「どういうわけかな、クロノス神と酒呑童子の手勢が転生しておって、あやつと手を組んでおるようだしな。そうそう、仏の御子には南の朱雀を。高天原の御子には、東の青龍を解き放ってほしいと伝えてくれ給え」

龍と雅には伝えるけどさぁ。

クロノス神とか、酒呑童子とか、オンパレードじゃないのよぉ。ま、あの二人には、端折って伝えればいっかぁ。

「わかりましたぁ、二人には確かに伝えます。なんでクロノス神やヘル、酒呑童子なんかが飛んでるんですかぁ? かなりヤバいんじゃないですかぁ?」

「申し訳ないな。我々とて、調べはしたのだよ。だがな、転生する理由が見つからんのだよ。既に転生してしまっている以上は、魂自体を砕かないとならん。それは、お主ら四人以外、成せる者がおらんのだよ。こちらの都合で押し付けてしまって本当に申し訳ないのだがね」

まあ、僕としても今生こそ何かがあるなと思っていたし、雅や龍は、なにか知っているようだったから、覚悟もしていたにはしていたんだよねぇ。

仕方ないやってみるさねぇ。

僕は、自分で言うのもなんだけど、あまり怒らないんだよねぇ。

本当に心外だけどさぁ、怒ると何するかわからないから、怖いって言われるんだよねぇ。

いやまぁ、思い当たるフシはあるんだけどさぁ。

「やるとなったら、手加減は無しで構いませんよねぇ? 本気で潰しに行きますよぉ?」

「構わんよ。だが、ハデス神がケルベロスを心配しておるのだ。だから救えるのならば、救ってやってほしい。そして、お主らの同胞の力になり、帰還を望む同胞をできる限り、救ってやってくれ給え。それが、我々の望むことであり、お主に授ける託宣なのだよ。よろしく頼むぞ、人の子ラーシュよ」


十二神が薄っすらと消えて行く。

ああ、久しぶりになんか、こう、燃えてきたかもしれないなぁって思ったよぉ。知らんけど。

そしたらさぁ、僕の大好きなお尻娘ちゃんの声がしたんだぁ。

「大佐、緊急事態に寝た振りはよろしくありませんよ。何をふざけているんですか! さっさと起きて状況確認をしてください! そんなにエッチなこと、私にさせたいんですか?!」

そんな呆れたような、怒っているような、よくわからないアサヒの叫びを聞きながら、僕は目覚めたのさぁ。

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