初めてのコラボ配信編
【コラボ前雑談】プロゲーマーとギャルとカワボとイケボ!?【打ち合わせ/挨拶】
今回、コラボを誘われたのは美容系ユーチューバーにして現役JKティックトッカーの『レナチャンネル』だった。TikTokのフォロワー数は10万人超え、YouTubeも6万人ほど。
最近やっと1.5万人を超えた私とは大違いである。
さすがに2人きりのコラボというわけではなく、あと2人ほど誘っているらしい。
1人は私も知っている有名なプロゲーマーである『ヴォイド』
先日、配信で遊んだ『ソルジャー&ファイト』の現役プロであり、半月ほど前にYouTubeチャンネルを開設した。もともと有名だったこともあって、すでに1万人を超えている。
もう1人はVtuberの『桃涼らん』
私と同じく声を売りにしている配信者で、可愛らしい声により多数のファンを獲得している。チャンネル登録者数は3万人ほどでありながら、少しだけボイス販売なども行っているらしい。
個人なのにすごい!! 見習わないと……。
前に1度だけコラボ配信に誘われたことがあったが、ほのか以外の人と話すのは苦手なので断ってしまった。今回コラボを了承したのは、もう少し本気で配信者として活動していこうと思ったからだ。
惰性で3か月ほど続けてきたが、ちょっとは将来のことも考えないといけないわけだし……。
「ほのか、これからコラボ配信の顔合わせやるから、少し静かにしててね」
平日の夕方という学生が帰った頃に合わせた時間帯。いつもなら、ほのかとゲームをやったりテレビを見ているころなんだけど。
「コラボ頑張ってね~」
「コラボ前の顔合わせだけどね。でも、絶対緊張して喋れないと思う……」
「じゃあ、コラボ配信、ちゃんと出来たら、いっぱいチューしてあげる」
「頑張る。けど、その前に、手握ってもいい?」
「んふふ、いいよ。真琴は甘えんぼさんだね~?」
ほのかの柔らかく暖かい手を握り締める。彼女の優しさを忘れないうちに、配信部屋に戻って通話を繋げた。他の3人はいないようだが、代わりに『オタク』という名前のアカウントのみが表示されていた。
通話場所を間違えたかと思っていると、私に気づいた『オタク』が通話に応答した。
『はじめまして、マコトチャンネルのマコトさんですね?』
「あ、は、は、初めまして……。ま、マコトで、す……」
『自分はレナチャンネルの裏方をやらせてもらってるオタクです。今回、コラボのお誘いを送らせていただきました。どうぞ、よろしくお願いします』
大人びた口調ではあるが、声は若々しい。随所に良い慣れてないであろう拙さが混じるあたり、彼も高校生なのだろうか。
『あ、マコトくん来たの? こんばんわ、レナでーす!!』
一転して、明るく活発な声が聞こえてくる。YouTubeやTikTokで聞いたことのある声の少女だ。あまりに軽い挨拶に、オタクが注意するが意に介した様子はない。
『マコトくんって、マジで声カッコイイよね。いくつなの?』
『軽々しく、そういう話をするな……。マコトさん、コイツの言うことは無視していいですから』
「あ、だ、大丈夫ですよ」
コレで合ってるのかな。気取ってるとか思われないかな? ほのか~、助けて!!
『は、はじめまして……。桃涼です……』
少し上ずった可愛らしい声。助け船のようなタイミングでやってきたのはVtuberの桃涼らんさんだった。さすがにテンションは落ちているけど、配信外でもこんな可愛い声なんだ。すげぇ。
『あ、俺が最後になった感じですか? 遅れてスイマセン、ヴォイドです。よろしくお願いします』
続けざまに気だるそうな低い男の声が入ってくる。声からも伝わってくるゲーマーとしてのオーラ。まさしくプロとしての実力があると思わせる自信に満ち溢れた声だ。
『ヴォ、ヴォイドさん!! 自分、レナチャンネルで裏方やってるオタクです!! ずっと、尊敬していて、一緒に配信できるのがめちゃくちゃ楽しみです』
『いや、配信するの私だし……!? オタク、興奮すんなよ~』
『え、えっと……? レナチャンネルの裏方……?』
事情を知らないであろうらんさんが困惑したような声で尋ねる。特に何も言わないがヴォイドさんも理解が追い付いていないようだ。本音を言えば私もよく分かってない。
『あ、変なオタク混じってて意味わかんないよね? 簡単に言うと、アタシってパソコン苦手だから、ユーチューブの設定とか、配信の準備とか友達のコイツにお願いしてる感じなんだ』
『友達じゃなくてビジネスパートナーだろ』
『意味一緒でしょ?』
『違う。ビジネスパートナーの方が、響きがカッコイイだろ!!』
……それはどうだろう。厨二センスが痛々しい気もするけれど。
ちょっと引いてるらんさんとレナさんと私を置き去りにして、ヴォイドさんが「確かに。俺もビジネスパートナー探そうかな」と同調していた。
『あの、コラボ配信って具体的に何するんですか? どうしてこんなバラバラなメンバーで?』
おずおずとした様子でらんさんがまっとうな疑問を投げかける。
たしかに、イケボ(笑)とカワボVtuberとギャルとプロゲーマーって謎な組み合わせだよね。闇鍋かデスゲームでも始めるつもりなのかな?
『私がS&Fのゲーム配信やりたいって言ったら、オタクがコラボ配信にした方がいいって言いだして、メンバーはオタクに任せたんだよね』
『男女2人ずつが良いって言ってたから、カワボVtuberとして活躍しているらんちゃんと、一番尊敬しているプロゲーマーのヴォイドさん。そして、自分が最近ハマってるイケボ配信者のマコトさんに来てもらいました!!』
ファンがいる!!
そりゃ、登録者数1万人を超えて、自他ともに伸びてきていると認められるような配信者になったけれど。やっぱり目の前にファンが居るのは気分が良いね。
……さすがに調子乗りすぎ?
『らんちゃん、本当に声可愛いよね。ゲームとか得意なの?』
『ありがとう。S&Fは結構やってるよ。まぁ、今日はプロがいるから敵わないと思うけど……』
『ああ、いえ。らんさんとマコトくんのプレイ、一通り見ましたけど、2人ともなかなか上手かったですよ。らんさんは押し引きのタイミングが素晴らしかったですし、マコトさんはエイムと咄嗟の判断がなかなか良かったです。なんなら、一緒に大会出れますよ』
『ありがとうございます。プロゲーマーの方にそう言ってもらえて光栄です!!』
「あ、ありがとうございます……」
『ねぇ、ヴォイドさん私は?』
『お前はまずゲームすらやってねぇだろうが』
やっべぇ、ちょっと会話しただけなのにめっちゃ緊張した~!! 私、上手く話せてるよね? 言っちゃいけないこととか失礼なこと言ってないよね!?
いや、褒められて感謝を言っただけじゃ会話とは呼べないか。
『じゃあ、オタクくんの綺麗なツッコミが入ったところで、真面目に打ち合わせしますか~?』
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