第17話 景子と若菜そして千晶

「中林タカシ…覚醒剤取締法違反で逮捕状が出た。殺人事件にも関与している。速やかに拘束せよ!」

 

神奈川県警はついに、中林タカシを川瀬景子殺人事件の重要参考人として押さえるため、覚醒剤取締法違反の逮捕状を踏まえて、逮捕へ向かった…。


しかし、早朝の港の見える公園で、中林タカシの残虐死体が発見された…。




タカシのスマホの中…。


keepのトークルームの部屋に景子はいた…。


すると、何処からか若菜も現れる…。


「ガガ…ガガ…ガ…」


「ガガガガ…ガ…」


若菜が言った…。


「景子さん…」


景子が言う…。


「タカシを喰らってやった…」


若菜が思念を送る…。


もう、怨みは消えたろ?

こんなことはもう止めよう…。


うるさい!私は全てを失った…。

まだ、他人の怨みを糧にして、理不尽に生きるやつらを殺してやる!


景子も思念で返す…。


そんな事して、どうするの?

私やあなたみたいな化け物を増やし続けるの?

私は誰も怨んでない。

私は元の私に戻りたい…。


若菜は必死で景子を諭す…。


「若菜…若菜?」


千晶から、若菜へ思念が送られる…。


「今ね、中林タカシって人の死体が発見された…。死んだけど川瀬景子さんの殺人犯人として逮捕されるって…」


千晶の思念は景子にも届いた…。


「ほら、私達だって、keepのトークルームに入れば、友達と話せるよ…景子さんだって友達作れるよ…」


若菜は景子を見つめ訴えた…。


景子は異様な姿から、美しい生きていた頃の景子の容姿に戻っていた…。


そして、少しだけ微笑むとタカシのスマホから出て行った…。


「ちーちゃん…私も元に戻ったよ…もう誰も怨まない…もう、誰も殺さない…」


「うん、若菜、私のスマホにずっといて…

若菜は死んでも私の親友だもん」

 

若菜は千晶のスマホに移った…。


いつか、天へ旅立つ日まで、千晶や宗介を見守る為に…。




「ねぇねぇ…keepの噂って知ってる?」


「あぁ、都市伝説みたいなやつね…」


「うん、でも、人を呪うと代わりにkeepの霊が殺してくれるんだって…」


「お手軽だよねーもう、書き込んでいるんだー!」


「えぇー?怖いなー誰を呪ってるの?」


「それはお前に決まっているだろ!!」



その時、スマホの画面が光り、keepのトークルームに文字が浮かんだ…。


アイザワ マナさんがあなたを招待しました。

覗いてみますか?


はい…いいえ…。  




ワカナ…お前は私を殺したね…。


チアキ…お前のせいで私は死んだ…。


だから、お前らは…殺して喰らってやる…ガ…ガガ…ガ…ガ…。


真那は耳まで裂けた赤い口を開き、若菜と千晶を怨み呪っていた…。  完


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