第7話 オトハ


「ねえ聞いた?首をなんかライオンみたいのに、丸ごと噛みきられた女子高生の死体があったんだって…」


「え?どこで?」


「西区らしいよ?」


「横浜の西区?」


「うん」


「って、すぐ近くじゃん…こわー」


「これもね、keepの霊の仕業って噂だよー」


「マジか?マジ怖いんですけど…」


「うん、でも、警察が捜査始めたってさ…」


噂は広まり、警察までも動き出した…。




カラオケへ行った翌日、オトハは登校するも、いつもの3人は学校へ来ていない…。


冬花も今日も来ていない…。


「なんかさぁ、冬花、行方不明なんだって」


クラスメートの話し声が聞こえてきた…。


「みなみが死んで、冬花もいなくなるのかな?」


「やっぱそれって、オトハ達の…」


「しっ!!聞こえるよ」


クラスメートは、ノリで冬花を無視していたが、本気でイジメをしたい訳では無かった…。


ただ、ボスのオトハが恐かっただけだった。


「気分が悪いから帰るって先生に言っといて」


近くにいたクラスメートにそう言うと、オトハは学校を抜け出し家に帰る。


「皆、休みなんだからかな…つまんないな」


自宅に着くと、頭が痛いから帰って来たと母親に言い、寝るから、部屋に来ないでと言い放ち、自部屋へ入った…。


カーテンを閉め、部屋を暗くし、寝転んでスマホをいじる。


インスタを見ても楽しく無かった。


母親の出掛ける気配を感じて、キッチンへ行き、プリンやお菓子と飲み物を持って部屋に戻る。


そして、スマホの動画サイトでアニメを観ながらお菓子を摘む。


しばらくすると、それにも飽き、アユミにラインをする。


待っていても既読にならない。


マサヨにもイクコにもラインを打った。


皆、返事も来なければ、既読にすらならない。


「皆、どうしたんだ?」


スマホのゲームでもやろうかと、スマホ画面でアプリを立ち上げようとした時、ラインの着信があった…。


着信 冬花


「冬花?」


ラインを開く…。


開くとkeepのトークルームの画面になった。


すると、文字が浮き上がってくる…。


サワダ トウカさんがあなたを招待しました。

覗いてみますか?


はい…いいえ


「なんだこれ?冬花の嫌がらせ?あいつ、舐めてんな…学校で覚えておけよ」


オトハは、はい…をクリックした…。


画面が暗転し、薄暗いどこかの部屋の中が映し出される…。


部屋の中央に手術台のような物が置かれていて、そこは、血痕で汚れて見える…。


床には、生首がみっつ転がっていた…。


よく見ると、その首はアユミとマサヨとイクコのものだった…。


薄気味悪くなり、スマホをそのまま投げ出した…。


床でスマホの画面が光っている…。


気味が悪いので、スマホを拾い上げ、電源を落とそうと屈んで手を伸ばすと、スマホの画面の中から一本の腕が伸びて来て、オトハの首を掴むと画面の中にオトハを引き摺り込んだ…。


引き摺り込まれた部屋は、さっき画面で見た薄暗い部屋の中だった…。


床に転がる友達の顔は皆虚ろな目をしている。


背中に何やら気配を感じ振り向くと、そこには異様な顔をした、冬花が立っていた。


よじれた髪の間から見える冬花の目は、瞳はとても小さくて、瞳の周りの白目の部分は毛細血管が浮き上がり、赤い血管で斑模様に見えた。


耳まで裂けた赤い口を大きく開くと、まるでウツボかピラニアの様な、小さく鋭い歯が幾重にも幾重にも生えていて、それでも冬花の顔だと判るのだが、それはとても恐ろしい顔でオトハを睨んでいた…。


「お…お…とは…お…とは…」


冬花は、オトハの名前を呼ぶ…。


「なんだお前!冬花だろ?ふざけんな!!」


「おとは…お前は許さない…」


「舐めてんのか?仮面を取れ!!」


「オトハ…お前は私を覗いたね…私の部屋を覗いたね…だからお前を部屋へ連れて来た…逃げられないよお前はね…だけどそれは今日じゃない…今日はお前をkeepする…わけないだろ!お前はいますぐ魂までも消してやる!!」


冬花はオトハの首を掴み、右手の人差し指を食い千切る…。


床に指を吐き出し、次に中指と薬指を一緒に食い千切った…。


首を掴まれたオトハは身動きも、藻掻く事さえ出来なかった…。


「お前私を覗いたね…この目で私を覗いたね」


冬花はオトハの目玉をくり抜いた…。目から繋がる神経は、無理矢理伸ばされ、ぷつっと切れた。


「お前は汚いこの口で私の事を罵った」


冬花はオトハの口の中に手を差し込み、舌と下顎を一緒に引き裂いた…。


オトハは既に意識を失っていた…。


冬花は左手から、寸刻みに食い千切り、足から胴体、頭を食い千切った時には、身体の全てがただの肉片となって、魂までも消え去っていった…。


夜になり、夕食に降りて来ないオトハを呼びに母親が部屋の前まで来る。


「オトハ!ご飯だよ!」


返事が無い…。


ドアをノックしても返事が無い…。


「開けるよ」


母親はドアを開いた…。


部屋の中には血にまみれた、肉片が散らばっていた…。


「ぎゃぁぁぁぁー!!!」


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