第25話「彼女の願い」

先ほどの家を出て

会話をしながら街中を歩いていた

リオと中年男のトム。


「彼女がアンタに

呪術をかけた理由はな……

アンタが"チビデブハゲ"だからだ」


「なっ……!?」


「生前から大嫌いだったんだとよ

"そういう男"は

で、レヴナントとしてこの世に

復活した時たまたまアンタが

視界に入ったんで不快だから

殺してやろうと思ったんだとさ」


「……そ…そんな理由で……」


涙を流し、声を震わせるトム。


「でな、彼女のお願いなんだけどな

自分を殺した男を見つけ出してきて

連れてきて欲しいんだとよ

で、ソイツを自分の手で

殺させて欲しいとの事だ

それが叶えばこの世に対する未練が消えて

成仏できるんだとさ

そうなりゃアンタにかかってる呪術も

消えるっつーワケだ」


「か、彼女殺されたのか!?」


「ああ、今から約2週間前の夜に

外を歩いていたら

ある男に突然路地裏に連れ込まれて

そこで強姦され、その後に刃物で

メッタ斬りにされて殺されたんだとよ」


「な…なんてヒドイ事を……!!

よし!!んじゃ、早速その男を見つけ出そう!!

俺の命も懸かってるし!!

それで!?どんな見た目の奴なんだよ!?」


「身長は190cm前後で

体型は痩せ型、右人差し指に金の指輪」


「そ、それだけしか分からないのか……!?

顔は!?」


「覆面してて分からなかったとさ」


「マ、マジか……!?それじゃあ一体

どうやって探せばいいんだ……」


地面に崩れ落ちるトム。


「まぁそう悲観すんなっつの

方法はあるさ」


リオは自身の鼻を

右人差し指で

トントンとさせながら言った。


「?」


「おいおい分からねぇか?鼻だよ鼻!」  


「鼻!?」


「俺は生まれつき嗅覚が優れてんだよ

だからこれを使って犯人を見つける」


「な、何を言って………!?」


「……アンタ……朝食はトマトスープと

フレンチトースト4枚にバナナ5本……

締めは角砂糖9個入れたコーヒーだろ?」


「~~ッッ!!

なぜそれを!?」


「口周りに微かに残り香がついてる」


「すごい!!本当に鼻がいいんだな!!」


「へへ、すげーだろ?

てことなんでよ~

早速彼女の殺害現場に行って

犯人を追跡するとするぜ!!」


「場所は分かるのか?」


「彼女によると"アチアチ通り"にある

仕立屋と靴屋との間の路地裏らしい

俺はこの街の事分からんから

アンタが案内してくれ」


「分かった!!早速案内するよ!!

ん……ちょっと待てよ?

現場に行ったところで

どうやって男のにおいを認識するんだ!?

だって1度も会ったこともないワケだろ!?」


「俺がさっき話した男の特徴覚えてるか?

190cm前後の身長、痩せ型の体型……

あと1つは?」


「……右人差し指に金の指輪……?」


「そうだ、だから現場から金のにおいを

辿って行く」 


「なるほど!!実に天才的な発想だ!!」


その後2人は走って現場へと向かって行った。

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