第24話「怨念」

家に着いたリオと中年男。

するとリオは中年に

ある質問をした。


「なぁ、1つ聞くんだが………

アンタ、ここ数年で女性から

怨まれる様な事したか?

嘘とか一切なしに正直に答えてくれよ?」


「俺が……!?まさか!?

俺はチビでデブでハゲだが

紳士道は大切にしてるんだ!!

女性にはいつも優しく………あっ…………」


「何だ?」


「2ヶ月前………飲みの席で……

酒に酔って若い姉ちゃんの

オッパイ揉んじまった………」


「………そんくらいなら平気だな……」


2人はそんな会話をしながら

いつも霊が出ると言う

寝室へと向かった。


部屋に入ると

リオは顔をやや歪めた。

部屋全体にとてつもなく大きい"霊氣"を

感じたからだ。


(近くにいるな………)


「な、なぁ……!深刻そうな顔してるけど

何かヤバい事でもあるのか……!?」


「ああ…その毎晩出るとか言うヤツ……

今もこの部屋にいるよ」


「~~ッッ!!ウッソだろ!?」


「悪いがマジだ」


そう言うとリオは

右手に"紫色のオーラ"を纏い

それを部屋全体へと放った。

すると部屋の隅から

黒髪ロングヘアの全身血塗れの女性が

姿を現した。

怨めしそうな顔で2人を睨んでいる。


「ひぎゃああああああああああ

ああああああああああああああ

ああああああああああああ!!!!

"ソイツ"だああああああああああ!!!!」

南無三!!!南無三!!!南無三!!!

悪霊退散!!!」


取り乱し、リオの背中に隠れる中年。


「落ち着け、"レヴナント"っつーのは

基本的に昼間は攻撃してこない

なぜなら夜に比べて力が弱まってるからな」


「ほ、本当か……!?」


「ああ」


リオはそう言いながら

血塗れの女性の方へと近づく。


「あああああああああああ!!!」


リオが近づくと彼女はひどく取り乱し

その場から逃げようとした。

多分リオがスレイヤーである事に気付き

狩られると思ったのだろう。

そしてリオは直ぐ様

逃げようとする彼女の手を掴んで止める。


「待って……!君に危害を加えたりしない!

俺はただ君と話がしたいだけなんだ!」


それを聞いてピタッと止まる彼女。

そんな彼女の頬にリオは優しく手を添える。


「大丈夫……落ち着いて……

俺は敵じゃない……」


「………………」


敵意がないと分かったのか

彼女は大人しくなった。


「なぁ…君にこれからいくつか

質問したい事があるんだが

いいかな?」


彼女はコクッと頷く。


「じゃあ…まず最初に…

君は、今向こうにいる

あの中年男の前に毎晩現れて

呪術をかけていた……

これに間違いはない?」


彼女は頷く。


「そうか……それは一体どうして?

呪術をかけるなんて相当な怨みが

あると見える……

生前、あの男に何かされたのかい?」


彼女はブンブンと首を横に振る。

どうやらあの中年とは生前に接点は

なかった様だ。


「ええ……!?じゃあ俺……何で呪術なんか……」


困惑する中年。

そんな中、彼女はリオの右手を握った。


「ん?何だい?」


リオがそう聞くと

彼女はリオに「目を閉じてくれ」と

ジェスチャーをした。


「………なるほど、テレパシーか……」


リオは彼女の要望通り目を閉じた。

するとリオの頭の中に生前の彼女の記憶が

ブワーッと流れ込んでくる。

そしてしばらくしてリオは目を開ける。


「………なるほど……そういう事か……」


全てを理解したリオ。


「!?」


そしてどういう事か全く分からない中年。


「了解……捜して見るよ……

で、見つかり次第またここに来るよ

無理やり呼び起こして悪かったね……

それじゃ、また後でね……」


リオがそう言うと彼女は

ペコッと頭を下げて

スーッと消えていった。


「じょ、成仏したのか!?」


中年はリオに聞く。


「いや、成仏はしてねぇ

単に眠りについただけだ」


「そ、そんなぁ~……!!

じゃあ俺まだ絶賛呪術継続中か~!!」


涙目で残念がってる中年に

リオはある事を聞いた。


「なぁ、聞きたい事があんだけどさ……

最近……この街で変な事件とか起きてないか?」


「事件……?

ああ……そういえば最近……

この近辺で20代前半くらいの

若い女の子達が何人も失踪してるって

噂を聞いたよ」


「そうか……」


「……な、なぁ!

さっきあの霊と何を話してたんだ!?

俺はどうして呪術をかけられるハメに

なったんだ!?

そして一体何を捜すってんだ!?

詳しく教えテーナ!!」

 

「詳しい事は外で話す

とりあえず一旦ここを出よう

あとそれから……今日は多分長丁場になるぜ……

しっかり気を引き締めてけよ」


「へ?」

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