第21話「満月の夜の悪夢」

ゴオオオオオオオオオッ


業火に包まれている

とある小さな村。

その中心地では不気味な長身の男が

奇声を発して暴れ回っていた。


「ヒャッハッハッハッハ!!!

It's a 殺戮タ~イム!!」


ザシュッ!!


「ぐあああああ!!!」


グシャアッ!!


「きゃああああ!!!」



(………やめろ………!)



「あぁぁぁ~!!!

次は誰かな~っと!!

おっ!メスガキ見~っけっと!!」



(………やめろ………!!)



「ヒャッハ~!!死ねやオルァ!!」


ザシュアッ!!!


「……がはっ…!!!」



(……やめろ……!!!)



「……はぁ~……!次はてめぇで最後だ……!

"マイラ・ウルフ"!!!」


ズバァッ!!!

ザシュッ!!!


「がはっ………!!!リ……リオ………!!!」






「やめろおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおーー!!!!!」



ドガアアアアアアンッ!!!!



ある日の夜の

ある森の中。

突如として謎の光が空に放たれ

辺り一帯を消し飛ばした。



シュウウウウウウウゥゥ~…



「ハァ……ハァ……ハァ……」


光の放たれた場所にいたのは

バチバチと稲妻のオーラを纏った

狼の化物……否、"リオ・ウルフ"であった。 


「ハァ……ハァ……夢か……

ん……?」


リオは自身の今の"姿"に気付く。


「……チィッ…!

またこの"姿"になっちまった…!

悪夢を見た時はいつもこうだ…!」


そう言ってリオは

元の"姿"へと戻る。


「…ス~…ハァ~…」


何度か深呼吸をして

心を落ち着かせる。

そして腰に付けてるポーチから

"ゼパム"という青色の実を取り出して

口に放り込んだ。

この実には精神を安定させる

作用があるのだ。


「フ~……」


ドサッ


実の作用で

だいぶ心が落ち着いてきたリオは

地面に座り込む。


「ん…?」


何気なく空を見上げると

満月が出ている事に気付いた。


「………そういや……"あの晩"も満月だったな……」


グググググッ


空を見上げながら

手を強く握り締めるリオ。


(おじさん……おばさん……

ティナ……母さん……

そして…殺された他のみんな…)


「向こうで見ててくれよ……

俺が絶対に"あの野郎"を

見つけ出して……ブチ殺して……

みんなのカタキを必ず取る……!!」

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