第18話「魔術師」

「要するにぃ~…頭を破壊すればいいの?」


「ソデスヨ」


「ハッ!!わざわざ弱点を教えてくれるなんて

アホな事この上なし!!」


ダッ!!


ミアは氣を全開状態にして

ゴーレムの頭を狙い突っ込む。


「正面カラ突ッ込ンデクルナンテ

ゴッツアホヤンケ」


ゴーレムは右手から

5体のダイヤモンドアサシン(以下、ダイアサ)を

召喚する。


「ユケイ!!」


ゴーレムがそう言うと

ダイアサ達は一斉にミアに襲いかかる。


「上等だオルァァァ!!!」


ミアはそのまま突っ込み

まずは一体のダイアサを縦に真っ二つに斬る。

すると二体目が

ダイヤモンドブレード(以下、ダイブレ)を

ミアに振り下ろしたため、それを剣でガードする。

次に三体目、四体目が左右から攻めて来たので

すぐさま二体目のダイブレを渾身の力で弾き返し

そのまま首を切断。

その直後に左右から来た二体を回転斬りで一掃。

そして残る五体目は……と思ったら

ミアの視界にはいなかった。


(消えた?上か!?)


いない。


(後ろか!?)


いない。


(!?どこに消えた!?)


そう思うや否やミアは神経を集中させる。

ダイアサの氣を感じ取っているのだ。


(…………地面の中か…!)


「そこだぁ!!!」


ミアは自身の右横に剣を振りかざす。

すると直後にその地面の下からダイアサが出てきた。

ダイアサはミアの斬撃を喰らい死亡。


「ルァァァァァァ!!

てんで話にならねぇっての!!」


ミアが

そう叫んだ直後に

後ろからゴーレムが現れる。


「ヤリマスネェ!」


ゴシャアッ!!


ドガァァァァン!!


ゴーレムのパンチを喰らい、吹き飛ぶミア。


「……ぐっ…」


ミアが起き上がろうとすると

ゴーレムは追撃の踏みつけを喰らわせる。


ドガァァッ!!

ドガァァッ!!

ドガァァッ!!


あまりの威力に洞窟全体が揺れる。


「オラオラァ!!」


攻め続けるゴーレム。

しかし途中でガッと左手で防御され

そのまま右ストレートで吹き飛ばされる。


ドゴォン!!


「……ハァ……ハァ……

随分やってくれたじゃん……」


フラフラになりながら立ち上がるミア。

彼女は相当なダメージを受けていた。

自慢のブロンドヘアが

自身の頭から流れた大量の血によって

スカーレットヘアに変わっていた。


「グルルル~、アレダケノ攻撃ヲ喰ラッテ

五体満足トハ……

サスガ、スレイヤーダナ」


ゴーレムは称賛しつつ

次の攻撃を仕掛ける。


「サファイアブラスト!」


ゴーレムの右手から

大量のサファイア宝石が

ミアに向かって飛び出していく。 


ミアは旋回して避けつつ

ゴーレムの方へと走って行く。


「フェター!!」


走りながら、初級魔法"フェター"で

ゴーレムを鎖で縛る。


「マタコレカ!!コンナモノ…!!」


ゴーレムは鎖を千切ろうとした。

しかし、千切れなかった。


「!?

ドウナッテヤガル!?」


ミアは"フェター"を1回と見せかけて

10回連続で放ったのだ。

10重ねることにより

より強度が増したというワケだ。


「チィッ…!!ナメルナヨ…!!」


ゴーレムは目一杯力を振り絞る。

するとブチィンと音を立て鎖は千切れた。

強度が増したとはいえ

およそ3秒程で鎖は千切られてしまった。

だが、その3秒という時間は

ミアにとっては充分すぎる時間だった。


なんと、3秒の間にゴーレムの頭に跳び移り

攻撃の態勢に入っていたのだ。


(ナッ!!イツノ間ニ!?)


「死ねやオラァァァァァ!!!!」


ザシュ!!ザシュ!!ザシュ!!

ザシュ!!ザシュ!!ザシュ!!


ミアはゴーレムの頭をメッタ刺しにする。

また蘇生しないよう、核が残らないよう

何度も何度も刺しまくる。


「アッハッハッハッハ!!

私の勝ちだぁぁぁぁ!!!

アッハッハッハ…………ハ…?」


ミアは刺してる最中に異変に気付いた。

なんと、刺していたのはゴーレムではなく

先ほど殺したダイアサの頭だったのだ。


「!!??!?」


あまりの出来事に言葉を失うミア。


「イイ夢見レタカ?」


ガッ!!


突然現れたゴーレムは両手でミアを掴んだ。

そして力一杯強く握り締めた。


ギュウウウウウウウウ~


「ああああ!!」


痛みで大声を出すミア。


「お前さんは鎖を出した時点で

俺の幻術にハマっていたのさ」


突然、流暢な言葉遣いで説明しだすゴーレム。

そして握る力をさらに強める。


ギュウウウウウウウウ!!


(ぐっ……!!このままじゃ…ヤバい…!!

マジに死ぬ!!)


「へっへっへ、死ねい!」


(クソッ…!!こうなったら……

制御はできないかもだけど……

"アレ"を使うしか助かる道はない…!!)


そう思ってミアが

"アレ"を使おうとしたその時!


「ハウッ!!!??」


突然ゴーレムの動きが止まり

ミアを手から離す。


ドシャッ


地面に落ちるミア。


「い、一体何が……」


「!!」


よく見るとゴーレムの全身に

太い翡翠色の鎖が巻かれていたのである。

これは中級魔法の

"アナコンダストゥラングル"である。


「蛇に睨まれた蛙」


そう言いながら

奥から黒髪の長身女性が

こちらに向かって歩いてきた。


「あ…あなたは…一体…!?」


ミアが聞くと

女性はこう答えた。


「通りすがりの魔術師」


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