第15話「強敵登場」

「…………どうしよう」


ミアが洞窟に入ってから約40分。

彼女は悩んでいた。

なぜなら目の前には

二つの分かれ道があったからだ。


「…コイントスで決めますか」


表なら右、裏なら左へ進もう。

そう決めるとポーチからコインを取り出し

トスをする。


ピーンッ

パシッ


「…表か」


ミアは右へ進むことにした。

道なりに進んでいると

あちこちに人間の白骨遺体が

転がっているのに気づいた。


「夢を求め…死んでいった者達か…」


ミアは自身の父親の事を思い出していた。

ミアの父親は冒険家で、ミアが幼い頃に

冒険中の事故で亡くなってしまっている。


父を思い出し

ややナーバスな気分になりながらも

奥へ奥へと進んでいくミア。

すると突然、結晶で覆われた

横の壁から鋭い斬撃が飛んできた。



ズザァッ!


ミアは瞬時に前方へとローリングして躱した。


「あっぶな!私じゃなかったら

当たってたな!」


そう言いながら

ミアが地面から立ち上がると

壁からメキメキと音を立てながら

一体の魔物が現れる。


「こいつは……」


現れたのは

虹色に輝く無色透明のダイヤモンドで

全身を覆っている人型の魔物

「ダイヤモンドアサシン」だった。


「……なるほどね~…そうやって壁に擬態して

今までに何人もの通りかかった人間を

殺してきたってワケね」


ミアはここにくるまでに

約50体の強力な魔物達を狩ってきたが

この魔物からは今までの連中とは

比べ物にならないくらいの

禍々しいオーラが放たれていた。

それもそのはず

この魔物の討伐難易度はSランクだからだ。


「フシュルルル…………アララァ……」


魔物は不気味な唸り声をあげながら

殺気立った鋭い目でミアを見つめつつ

右手をブレードへと変化させる。

これは「ダイヤモンドブレード」と呼ばれている

ダイヤモンドアサシンの最大の武器である。

その切れ味は凄まじいもので

厚さ5mの鉄板をも真っ二つにしてしまうほどだ。


「ハッ!殺る気満々じゃん!」


ミアも剣を抜き

臨戦態勢に入る。


「さぁて…!始めようか!死合をね!」


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