第13話「姉の情報」

「バナナ茶…初めて飲みましたが

バナナの甘味とほのかな茶の苦味が

良いアクセントですね」


「ああ、俺も初めて飲んだ時は

あまりの美味しさに脱糞したよ」


「またまたご冗談を」


セロリ宅にて椅子に座り

他愛もない会話をするミアとセロリ。


「それで?俺に聞きたい事と言うのはなんだい?

スレイヤーさん」


セロリがそう言うとミアはポーチから

姉の肖像画を取り出して

テーブルへと置く。


「私、この人物を捜しているんですけど

何か知ってる事があれば教えていただけませんか?」


ミアがそう言うと

セロリは肖像画を手に取り

自身の顔に近づける。


「彼女はミラ・ハーパー

私の双子の姉なんですが

二年ほど前に突然失踪して…

それ以来私、ずっとあちこち捜して来たんですが

中々見つけられなくて…

それで、情報屋のセロリさんなら

何か知ってるんじゃないかと思って

訪ねたんです」


「……なるほど…」


セロリはそう言うと

肖像画をミアのもとへと返す。


「俺知ってるよ、彼女の情報」


「本当ですか!?」


「ああ、といっても居場所ではないけどね」


「構いません!!教えてください!!」


ミアは迫真顔でセロリに言う。

するとセロリは


「悪いけど…タダでは教えられないかな…

一応こっちも商売なんでね」


「あ…!そうですよね…!

お金ですよね?いくらですか?」


「いや、俺が欲しいのは金じゃない…」


「お金じゃない…?………ハッ!!

まさか…私の体…とか?」


「……プッ!…ハッハッハッハッ!!」


ミアの問いに

セロリは突然笑いだした。


「ハッハッハ!!…いやいや体って…

創作物の読みすぎじゃないか?

いや~面白いな君は!」


「それに悪いけどさ…俺、ゲイでウケなんだ

だからさ、君に対して性的魅力は一切感じないんだよ

あ、誤解しないでくれよ?

これはあくまでゲイ目線からの評価だから

ノンケ目線から見たら

君は相当な美貌だと思うよ」


薄々と感じてはいたが

やはりこの人はそうなんだと

ミアは思った。

というかウケの情報いるか?と

ミアは思った。


「あの~…それで…欲しい物というのは?」


「ああ…俺が欲しい物…

それは「ブラッディルビー」だ」


「ブラッディルビー?」


「ああ、パクチーから

南西に20km程の場所にある

コランダム洞窟の

奥にあると言われている宝石だ」


「コランダム洞窟…」


「ああそうだ、スレイヤーの君なら

聞いた事ぐらいあるだろう?」


「ええ、聞いた事ありますよ…

あの洞窟では高価な宝石が

大量に採掘できると言われていて

億万長者を夢見る多くのトレジャーハンター達が

そこに入っていき、皆命を落としていった…

そしてそれが由縁となり、その洞窟は別名で

死者の洞窟と呼ばれるようになった…」


「なぜ皆命を落としていったか

知っているかい?」


「…アソコには鉱物を好物とする

A~Sランクの凶悪な魔物達が

ゴロゴロいるからですよね?」


「そのとおり、そのため

俺みたいなヘタレ一般人は

あの辺に近寄る事すらできない」


「……なるほど…わかりました…!

採ってきますよ!そのルビー」


「本気かい?」


「ええ、もちのろん本気ですよ

ミラの情報を知りたいですしね」


そう言ってミアは家の玄関に向かう。


「三日以内には戻ります

なのでそれまでこの街にいてくださいね!」


ミアはそう言い残し

セロリ宅を出て行った。


「……無事に帰ってきてくれよ…

最悪ルビーなんざどうでもいいからさ…」


セロリは心配そうな表情で呟いた。

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