第9話「尋常に勝負!」

広場へと着いたミア。

すると目の前には

傷付き倒れた数人の男達。

そしてその先には左目に傷のある

黒褐色の竜が腕を組んで立っていた。


「フハハハハ!てんで話にならねぇぜ!

もっと強いヤツはいないんか!?」


竜がそう言うと

ミアが声をかける。


「ちょっと!そこのドミグラス!」


「ぬぅぅ?」


竜がミアの方を向く。


「アンタねぇ!最強を目指してるか

何なのか知らないけど

人里に来てこんなことするなんて迷惑だっつの!

とっとと家帰れ!」


それに対し竜は返答する。


「シャラップ!ドブス!」


「なっ…!?ドブス…!?」


ミアはカチンときた。

もう許さん。

絶対泣かす。

そう決めると腰にかけていた剣を地面に置き

マントを脱ぐ。


「いざ、尋常に勝負!!!」


ミアはそう言うと竜に突っ込んで行く。


「上等!!!」


竜は戦闘態勢に入る。


「だらぁ!!」


先に攻撃を仕掛けたのはミア。

竜の左足に右ローキックを放つ。


「ヌッ!響く!!!」


思っていたよりも強い威力で竜は驚く。

そして竜はすぐさま

ミアから少し距離をとり

ステップを踏み出す。


「このステップ…空手か…!」


「御名答!」 


ザッ!


竜は素早くステップしてミアに接近し

ワンツーパンチを顔に放つ。

そしてミアがガードを上に上げ

ボディがガラ空きになったところに

前蹴りを喰らわす。


「ぐっ…!」


ミアはやや顔を歪め

少し後退するが

負けじと前に出て

左ジャブのフェイントからの右ボディフック。

そして右足に左ローキックを浴びせる。


左ローによりバランスを崩す竜。

ミアはチャンスと思い

竜の顔面に右のオーバーハンドを放つ。

すると竜は待ってましたと言わんばかりの

表情を浮かべ

ミアの顔面にカウンターの

左オーバーハンドを浴びせる。


「がはっ…!」


グラつき足がよろめくミア。


「いくぜ必殺!!!」


ゴシャッ!!


竜は追加で伝家の宝刀である

後ろ回し蹴りをミアの側頭部に喰らわせる。


ドシャアッ!


地面に崩れ落ちるミア。

そして竜はさらに追加で

パウンドを浴びせるため

ミアに馬乗りになろうとする。


「バカが!!!」


ガッガッ!!


ミアは竜が乗っかってきた瞬間

すぐさま竜の首と片腕を両足でとらえる。

これは三角絞めの体勢だ。


ググググググ


ミアは力強く絞めながら

ニヤリと笑い

勝ち誇った顔で竜に言う。


「私…実はグラウンドの方が強かったりして」


すると竜はミアに対して言う。


「……この程度の絞めで

勝った気になるなよ小娘…!!!」


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