第5話「リオの評判」

ミアの旅の目的…

それは…

2年前に突如失踪した双子の姉

「ミラ」を見つけ出すことである。


姉の情報を集めるべく

「ンニャピ」へとやって来た訳だったが

情報を聞き出す前に先に調べたいことがあった。

それは森の中で出会った長身男

リオ・ウルフのことである。


「誰に聞こうか…」


街の周りをキョロキョロしてると

剣を腰にかけた綺麗な女性を見つけた。

おそらく同業者だろうと思ったミアは

女性に近づき話しかける。


「あの~、ちょっといいですか?」


「ん?なぁに?」


「お姉さん、スレイヤーですよね?」


「ええ、そうだけど?」


女性はそう答える。


「実はちょっとお聞きしたいことがあって…

リオ・ウルフのことなんですけど…」


「リオ・ウルフ?」


「ええ、何か噂によると

ものすごいヤバい奴だって聞いたんですけど

どうヤバいんですか?」


ミアの質問に対し

女性は質問で返す。


「あなた…スレイヤー?」


「ええ、そうですけど」


「ウッソ!スレイヤーやっててアイツのこと知らないなんて信じられないわ!」


「へへ、田舎モンな者で…結構知らないことだらけなんです」


「そうだったの…そうねぇ…アイツのヤバいところ…

やっぱりなんと言っても残忍な性格じゃないかしら?」


「残忍…具体的にはどういう感じで?」


「例えば~…依頼人を金銭関係で揉めて半殺しにしたり

自信の仕事の邪魔をした同業者の片腕を切断したり

接客態度の悪かった酒屋の店員の耳を引きちぎったり

あげればキリがないわね…」


ミアには信じられなかった。

あんな気の良さそうな青年が

そんなことをするなんて。


「しかもさ、そんな性格に加えて

異次元レベルに腕が立つのよねアイツ…

討伐難易度Sランクの

「プリケツタイガー」を一人で倒しちゃうし

しかも素手で」


「なっ!?一人で!?しかも素手!?」


「ええ、イカれてるでしょ?

しかもその時酔っ払ってたらしいわ」


「げっ…マジですか…!?」


「まぁとにかく、アイツを見かけたら

迂闊に近づかないほうがいいわ

情緒不安定で何してくるか分かんないから…

あ、そうだ、アイツの見た目って分かる?」


「2m越えてそうな長身に、首に狼のタトゥー…ですよね?」


「そうそう、ったくさ~何食えばあんなにでかく

なるのかしらね~…」


ミアは色々教えてくれた彼女に礼を言い

その場を後にした。




~その日の晩のとある宿~


旅の疲れを癒すため

ベッドに横になっていたミアは

あることを思い出した。


「リオ・ウルフ…リオ・ウルフ…

そうだ…!思い出した…!」


ミアはベッドから

勢いよく起き上がる。


「アイツ…多分、ガロウのクレイジーウルフだ!」


ミアは、まだ自分がスレイヤー養成学校に通っていた頃に

周りで話題になっていたある噂のことを思い出したのだ。

その噂というのは

ガロウという村出身の

リオ・ウルフというスレイヤーが

悪名高い盗賊一味を一人で皆殺しにしたり

某王国の騎士団に単身喧嘩を吹っ掛けたりしたというものであった。

それらのブッ飛んだ内容から

周りの人達はリオのことをクレイジーウルフと呼んでいた。


「そっか…アイツが噂のクレイジーウルフだったのか…」


そう呟いた数秒後

ミアは就寝した。


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