第2話「謎の長身男」

「ルンルルンルル~ン

良いことした後は気分良いな~」 


ミアは「ンニャピ」という街を目指し

森の中を軽快なリズムで歩いていた…が

突然顔色を変え立ち止まる。


「……近い」


一流スレイヤーである彼女は

近くにいる魔物の気配を感じとったのだ。


「数は一体……強さは…Aランクってとこか…」


左腰に掛けている剣を鞘から抜き

気配のする茂みの方に身を構える。

身を構えた直後、それに反応するかのように

茂みからガサガサと音を立てながら

一匹の魔物が叫びながら現れた。


「ンガァァァァァァァァァァァ!!!!」


現れたのは、頭頂部以外の部分を白い毛皮で包み

鋭い牙、鋭い爪を持った筋肉隆々のゴリラのような魔物だった。


「こいつは…!!ステハゲビースト!!」



~ステハゲビースト~

体長:約3m(個体により差がある)。

重さ:約320kg(個体により差がある)。

生息地:洞窟や森の中。

食事:鹿、鳥など。

備考:縄張り意識が高く、自信のテリトリーに踏み込んだ者は容赦なく襲う(それで年間300人ほどの人間が殺されている)。

また、全身を包んでいる毛皮と爪と牙は、武器屋や服屋で高値で取り引きされている。


これはラッキー。

コイツを仕留めて毛皮や牙を売って旅の資金にしよう。

そう思ったミアは剣を強く握りしめ

体勢を低く構える。


「一撃で仕留める…」


ミアは魔物がこちらに攻撃を仕掛けた瞬間

カウンターで首を吹っ飛ばそうと考えていた。


「ンガァァァァァァァァァァァ!!!」


魔物は爪でミアを切り裂こうと腕を振り下ろす。


今だ!!

そう思った直後


ザンッ!!!


謎の斬撃が魔物の体を上半身と下半身に真っ二つに分けた。


ブシャアアアアア!!!


魔物から大量の血が吹き出し

ミアの全身に降り掛かる。


ドシャアッ!!


魔物は絶命し地面に落ちる。


「な…な…な…」


ミアは突然の出来事に絶句していた。

すると真っ二つになった魔物の後ろの茂みから

2mは越えてるであろう一人の長身の男が姿を現した。

そして魔物の方を見つめ、こう言った。


「隙だらけスギィ!!」


男の外見は、前髪を一本たらんと垂れ流した金髪のショートヘアに、自信と同じ碧眼。 

首には狼のタトゥーが刻まれている。

服装は黒のマウンテンパーカーに黒のチノパン、黒の靴。

右手には白い刀を持っている。

年齢は10代後半から20代前半くらいだろうか。


ミアが男を見ていると

それに気付いたのか男も彼女の方を向いた。

すると突然顔色を変え、彼女に駆け寄り

こう言った。


「き、君!!大丈夫か!?血まみれじゃねぇか!!誰にやられたんだ!?」


「お前じゃああああああ!!!」


バキィッ!!!!


「ガッ…!!」


ミアは男の顔に右フックを浴びせた。


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