第1話「碧眼の少女」
~ここは剣と魔法と科学が融合した世界~
~とある大陸~
~とある森の中~
ザッザッザッザッ
「フシュー…!フシュー…!フシュー…!」
顔はハイエナ、首から下は人間のような体をした魔物が息を荒げながら必死に何かから走って逃げている。
その魔物は走りながらこう思った。
一体自分はどれくらい走ったのだろうか?
もう奴は追ってきてないだろうか?
そう思った矢先
ザンッ!!!
突如飛んできた斬撃がその魔物の首を切断する。
ブシャー!!!
切断された部分から血が吹き出す。
ドサッ!!
首の失くなった魔物は地面に倒れ落ちる。
先程まで元気に走っていた生物が
ただの肉の塊と化した。
それから数秒後、その死骸の近くの茂みから
ガサガサと音を立てながら、10代後半くらいの
少女が顔を出す。
「フ~…結構時間掛かっちゃった…
思ったより逃げ足が速いんだな~コイツ」
サイドを刈り上げた金髪のショートヘアに
サファイア宝石の様な碧眼。
服装は、紐なし&ヘソ出しの水色のキャミソールに黒のショートパンツ、黒のニーソックス、黄土色のショートブーツ。
さらにその上から短い黒色のマントを羽織い、右手には剣を持っている。
そんな彼女の名前はミア・ハーパー。
彼女の職業は魔物退治を専門とした「スレイヤ-」であり、「あるモノ」を探して世界中を旅して回っている。
今日は、偶然立ちよった村の住人達から依頼を受け、現在地面に倒れている魔物を討伐しに来たという訳だ。
「さーてと、やることもやったし
村へ戻って報告しよっと」
ミアは切断した魔物の首を手に取り、村へと歩きだした。
なぜ首を持ち帰るのか?
それはこの魔物を討伐をしたという証拠になるからだ。
~ネギマ村~
人口30人ほどの小さな村。
ミアは森から歩いて40分ほどでこの場所へ着いた。
すると畑で作業をしていた一人の村人がミアの存在に気付き、大声で叫ぶ。
「おーい!みんなー!帰ってきたぞー!」
そう叫びだした数秒後、他の村人達が一斉にミアの元へと集まってくる。
「スレイヤー様、よくぞご無事で!」
「正直死んだかと思ってました!」
村人達がそう言うとミアは
「えへへ皆さん、ただいま戻りました
例の魔物はこの通りブチ殺しました」
そう言いながら先程殺した魔物の首を村人達に見せる。
「す、すごい!本当に殺ったんだ!」
村人達が驚いていると奥の方から小柄な老人がこちらへ向かって歩いてくる。この村の村長だ。
村長はミアの元へと着くとこう言った。
「お勤めご苦労様です
まさか本当に討伐してしまうとは…
マジで感謝感激ッス!」
「いえいえそんな大した事じゃないですよ」
「いやはや~あの魔物には本当に
困ってたんですよ
家畜は殺すわ畑は荒らすわで」
「ええ、その様ですね
でももう平気ですよ」
ミアはそう言いながら手に持っていた魔物の首を地面に置き
くるっと180°回転した。
「じゃあ私そろそろ行きますね
その首の処理はそちらでお願いします」
そう言って立ち去ろうとすると
「あ!ちょっと待ってください!
これを!」
村長はミアを呼び止め、小さい巾着袋を彼女に差し出す。
「これは?」
ミアが聞くと
村長は答える。
「報酬金です
受け取ってください」
村長がそう言うとミアは即答する。
「いえ、結構です
そのお金は皆さんでパーッと使ってください」
「え?い、いや…しかし…」
「私はお金なんかよりも
もっといいものをいただきました
それは皆様の笑顔です」
そう言うとミアは颯爽と去っていった。
それを見た村人達は涙を流しながら
こう言った。
「な、なんてぐう聖なんやぁ…」
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