第25話
視線を感じる。
化学室の居心地の悪い丸椅子に座って勉強をしている僕は、その脇から感じる熱烈な視線にとうとう耐えきれなくなった。
「どうしたの、
僕が声をかけると、
「ようやくこっちを向いてくれたのだ。」
猫にでもなったのか、ぐりぐりと肩に頭を擦りつけてくる
あの日、あの山奥の小屋で
ここ数日、
それがどうした、と思う人もいるのかもしれない。だが、ここでいう"ずっと"は辞書通りの意味なのだ。つまりトイレやらなんやらのプライベート空間もすべて
初めて女子トイレに足を踏み入れた時を思い出し、羞恥心に襲われる。
男子トイレで僕が用を足すときまで引っついてきたことから想像するべきだったのだが、
女子トイレまでついてきて欲しいと要求された時に僕は咄嗟に断ってしまったのだが、なんと
さすがにそこまで堕ちた
ことの全てを説明して見張りを頼んだ時の
見ざる聞かざるの信念でことを行っている
ここで一応断っておくと、僕は何度も
それに、最悪の事態も起こりかけた。
ある日の夜、化学室の実験机の上で横になっている間、僕の体に絡みついていた
さしもの
僕の姿を求めて迷子の幼児のように泣き叫びながらしばらく化学室をさまよった
なにをしようとしていたかは考えたくもない。今となっては僕の浅はかな企みを猛省するばかりである。
すぐさま姿を現した僕はまたいなくなるのではないかと目を閉じられなくなった
それから僕は決して
「
僕の首筋に頬ずりしながら
最近、僕は
そして、なによりも
とにかく何事をするにしても僕の承認がなければ動けない。承認欲求の全てを僕に依存しているかのような
もちろん、こんなことが長続きするはずがない。
ここ数日は控えているものの、シャワーもお風呂にだって入れやしない現状をこれ以上続けることはできないし、よしんばそれらの問題を解決したとてその先も前途多難である。
そもそも高校を卒業してからいったいどうするというのだろう。
ここまで僕に依存してしまっている
「相変わらずうっとうしいわ、
「それでどうしたんや、
「いや、さすがに
僕が離れたがっていることを仄めかすと、背中で
「まあ、
「それは根本的な解決にならないっていうか………。」
「やったら簡単や。そないに
「それはできない。
「そないに優しいから
僕はそっと背後の
「どうして
「吾輩には
「ほんま、全くその通りやわ。
余計な口を挟んだ
「そんなことはないよ、
しかし、
「嘘だ。どうして吾輩のことを気にする人間がいるというのだ? 吾輩と仲良くしてもなんの利点もない。平凡な吾輩のことを考えてくれるのは優しい
「嘘なんかじゃない、
「結果、結果を出さなければ意味がないのだ! どんなに努力したとしても結果を出さなければ吾輩は無価値なのだ!」
しばらくの間、
「ほんとうはわかっておるのだ、
しばらくして
「だが、吾輩にはもう
その背中を撫でながら、僕はゆっくりと
「大丈夫、
「
僕は覚悟を決めた。今の
「うん、今度の体育祭で一位をとろう。もしダメだったらその時は僕が一生傍にいるよ、なにがあろうとも絶対に。」
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