第12話
空きが深まるにつれて高校を取り巻く森の紅葉はより一層深みを増していく。校舎の窓の外に広がる絶景に目を奪われているふりをしながら僕は横目で
今日も
調整の進み具合を確認するためか、二人がいったん練習を止めて話しあっている。その光景をぼんやりと眺めていた僕にふとひとつの疑問が沸き上がってきた。
果たして
あの日図書室まで
「
自分以外の人間の考えが聞きたくて僕は背後の椅子に座っている
「もちろん、知っているに決まっているじゃないの。」
動揺する僕を見て取ったのか、
「冷静に考えて、
完全に内心の思考を言い当てられた僕はぐうの音も出なかった。
確かに、
パキ……、パキ……、パキ……。
そう一人反省していると、なにやら固いものを割るような音が聞こえてくる。最近耳にし過ぎてもう飽き飽きしているその物音の正体を僕はすでに嫌というほど知っていた。
「…
「
ポリポリと剥いた栗を口に放りこむ
今までも野菜類や穀物類を嫌っていたのは変わらないのだが、最近になって
実はしばらく前に奮発して裏山から採れた栗で頑張って焼き栗もどきを作ってみたのだが、驚いたことに
感触はやめるよう何度も口を酸っぱくして言い聞かせようとしたのだが、数奇院ん《すうきいん》には馬耳東風で、挙句の果てには普通の食事にすら差し支えるようになっていた。
基礎代謝がよいのか、まったく体重が増えないのも問題に拍車をかけている。その事実を口実にして
「まったく、食欲の秋なのだからあなたも楽しんだらどう? 栗はちょうど今頃が旬なのでしょう?」
「うん、そういえばチンゲン菜とかも旬だったね。またあったら買っておこうか。」
ようやく口の中の栗を飲みこんだ
まったく、
「そんな仏頂面はやめなさい、眉間に皺が寄るわよ? ほら、甘いものでも口にしたらどうかしら。」
視界いっぱいに愉快げな
ほんのりと温かい栗のぬくもりと優しい甘さに目を白黒させる僕に
仕返しというわけではないが、そんな
「あらあら、口では勝てないからといって力を使うの? それはつまりあなたがわたしの考えが正しいと認めたということに………。」
「あ~はいはい、晩御飯までこれは没収します。それまできちんと反省してなさい。」
なにやら抗議してくる
「そうやって人の話を聞かないのは、はたしていいことなのかしら。自分と違った考えを受け入れないのは、一途なのではなくて頑迷と呼ぶのよ?」
未だ不満げな
肩を両手でしっかりとつかみ、
「今度は情にでも訴えかけるつもりなのかしら?」
「僕はただ
「あら、どうしてわたしに長生きしてほしいのかしら? 別にわたしがいくつまで生きようとも関係ないでしょう?」
「いや、大いに関係あるね。君に長生きしてもらわないと僕は心配でしかたがないんだ。」
「まるでずっとわたしのそばにいるつもりみたいな言い方ね。」
「うん、そのつもりなんだけれど。」
「っ……!?」
僕がすべての質問を肯定していくにつれて、
「いい? このままこの生活を続けるようだと僕は
「……った。」
「今までもひどかったのに最近になって
「わかった、わかったから!」
わずかに赤みがかった顔で
最近僕も学習してきたのだが、こうやって真正面から
「そんな歯の浮くような台詞をよく本気で口にできるわね。ほんとうにシラフで言っているのかしら……。」
「どういうこと?」
「…………なんでもないわ。」
どちらにしろようやく
「ほら、
窓の外を眺めると、確かに
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