第4話
「ほんとうにすみませんでした!」
目の前で
「いや、いきなり謝られてもなんのことかまったくわからないよ。それに僕は別に何されたとしても気を悪くしたりしないから、謝る必要なんてないしね。」
僕がいろいろと言葉をかけても、
「俺はよりにもよって
頭を地面にこすりつけたまま、
「そのうえで、厚かましいとは重々承知しているがもう一度だけ機会をくれねえか! 今度こそ俺は間違えたりしねえ、兄貴のためだったらなんだってやってやる。」
別に嘘でもなんでもなく、
立ち上がってもなお申し訳なさげにしている
「なんでそんなに気にしているのか知らないけれど、これでチャラでいいから。」
いまだなにか言いたげな
「…………ほんとうに、あなたはお人好しなのね。」
近くにいるとなにを言い出してくるのか全く分からない
「そうかな? 僕は普通のことだと思うけど。」
「人類すべてがあなたと同じだったなら、争いはこの世からなくなってしまうのかもしれないわね。その前にほかの生物との生存競争に勝てたかは怪しいけれど。」
呆れたように
それはこの廃教室も例外ではない。"銀行屋"として搾取の限りを尽くしている
さすがの
そんな
「今日はすこし気合を入れて料理してみたんだ。なにしろコンロの前にたったのは久しぶりだったからね。」
「あら、それは楽しみ。」
当然とばかりに栄養バーやら得体のしれない錠剤を手渡してくる
なにはともあれ、久しぶりに作った料理は密かな不安をかき消すほどには美味しかったことをここに明記しておこう。
食事を終えた
しばらくの間続いた沈黙は、背後からの物音に破られる。
僕が振り返ると、ひそかに近づいてきていたらしい一人の女子生徒と目があった。背後で頭を抱えた
しばらくして意を決したらしきその生徒はいきなり僕を突き飛ばしてきた。
いきなりのことに目を白黒させる僕を尻目に、
いったい
目の前に
困惑したように眉が顰められた天使もかくやと言わんばかりのその容貌が、文字通り目と鼻の先にある。
どうやら倒れる僕を支えようとした
いまだかつて経験したことのない事態に理解の追いつかない僕が視線をあちらこちらに移動させ続けていると、
その瞬間、あの夜無理やり
「
いつまでも固まって上にのしかかったままの
どこか気恥ずかしくなりながら僕と
「
「さぁ、わたしには見当もつかないわ。」
ふと
「……そういえば、これはたまたま気になっただけなのだけれど次に廃教室にいくのはいったいいつになるのかしら。」
「だいたい三日後だけど。どうして?」
「別に。知りたかっただけよ。それと、
「え、なんで?」
「教えない。」
まったく意味の分からない言葉を残して
廃教室でのひと悶着の次の日は久しぶりの雷雨だった。ゴロゴロとご機嫌斜めなお天道様にこっちまで気分が滅入りそうになる。
することもなく手持ち無沙汰な僕は、
しばらく歩いていると、遠くに見慣れた人影を見つける。
なにか
まるでなにかに怯えているかのようにひっきりなしに周囲を見渡しながら廊下を足早に駆け抜けていくその姿は明らかになにか隠し事をしていた。
気になった僕は悪いことだとは理解していながらもその後を無言でついていくことにする。なぜか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます