第15話
どうやら完全に覚醒したらしい
「これで、この旧図書室もわたしとあなたの二人だけになったわね。」
その言葉に僕はどう答えればよいのかわからなかった。
その日の放課後、どこかご機嫌な様子の
「
「遊びってなんなんだよ。アブリルが裏切った今、もう僕たちも安全じゃいられないんだぞ。」
いきりたつ僕を鎮めるように、
手渡された画集を僕はしげしげと見つめる。世界の野鳥を題材とした水彩画を集めているらしいその本は、金属のリングで綴じられていた。
「まだ気がつかないのかしら。」
僕が画集とにらめっこをしていると、呆れたようなため息をこぼした
いきなりの
その内容を読み進めるにしたがって、僕はこれがいったいなんなのかを理解した。
「
目の前に広がっていたのは、本人ですら知っているか疑わしい
「
「
僕は信じられなかった。
「わたしはただ、職員室にお邪魔して先生のフォルダーを拝見させていただいただけよ。」
「
「……それで、これはいったいなんなのかな。」
気を取り直して、僕は
「あら、敵を知ることは勝利への最短経路よ?」
「
僕はどこか素っ頓狂な声をあげてしまう。
「簡単なことよ、
「
「
「
だからこそ、と
「
「
「公然と反旗を翻すことはないものの、願望を備え不満も抱えている、実に
底冷えのするような悪意を纏いながら、
「
「あ、うん。」
朝礼前の教室に一歩足を踏み入れると、遠くから
「
「む、
「別にたいしたことじゃないの、
僕の目の前で
教室から遠く離れた旧音楽室に、
旧音楽室は防音設備もきちんとしているし、なにより今になっても鍵が機能している数少ない教室の一つだった。内緒話をするにはうってつけだ。
「それで、こんなところにまで吾輩を連れこんで一体どうしようというのだ? …はっ、もしかして一昨日の封筒の中身でも聞き出そうというのか! それは無理というものだ、あれは吾輩と
「
途端、
「…なんだ、
「あら、ごめんなさいね。ここ数日はいろいろと忙しかったの。」
抑揚のない機械のような声色で、
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