第9話
結局体育の授業が終わって地獄から解放されたのは、虚ろな目をした僕が
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……。」
「い、
「
未だツンツンしている
いったいどうして
僕が首を傾げていると、教室の扉がガラリと開かれた。が、扉を開けたであろう人の姿がみえない。もしやポルターガイストなるものなのだろうか。
「ぬっ、そこにいるのは
高校生とは思えぬソプラノボイスに視線を下げてみれば、背の低いなりに
「
目をパチクリさせながら、
「
「余計な口を叩くな、
確かにあの時、僕は
「
「吾輩はそこの
して、存分に頼ってくれて構わないぞ。」
「そうなんか、それやったらこれからよろしくな! うちは
なんだかデジャブを感じる光景だ。たしか僕が
また僕が
「そこのあなたたち、おしゃべりに興じるのも構わないけれどそろそろお開きにしたらどうかしら?」
会話に加わらずに自分の席でずっと本を読んでいた
「むっ、そういえば
「同じ"銀行屋"として
「そうね、
猛禽類を想起させる鋭く冷徹な黄金の瞳、それが僕にむけられる。どうやら
実のところ、
でも、どうせ
「いや、それは
「別に遠慮することはないのよ?」
「いや、別にそれほど困るというわけでは」
「急いでいるのでしょう、
「……うむ、
まいったな、ほんとうに今から
僕がため息をついていると、脇をツンツンとつつかれる。振り返ると、
「あのさ、
そうか、
「ああ、
「もしなにか入用なら吾輩に申しつけるとよいぞ! すぐにひとっ走りしてなんでも仕入れてみせるからな。」
へえ、と感心したように頷く
何気に力強い
「……もしかしてやけど、
「な、なんのことかな?」
ギッと
「
これは喜ぶべきことなのか、それとも嘆くべきなのだろうか。人を疑うということを知らなかった
「そうや、哀しいことにうちもこの高校ではおよそ道徳っちゅうもんが機能しとらんことに気がついたんや。」
顔を掴まれて無理やり目をあわせられる。
「で、
「ど、どうかな~?」
冷や汗が止まらない。なまじ前科があるだけに再犯がバレてしまったらどんな目にあうか……!
「ちなみに、
「ああもうこんな時間だ、そろそろアブリルにこの封筒を届けないと暗くなる前に帰ってこれないなぁっ! ごめんだけど話ならまた後に聞くねっ!」
本能に従って教室から飛び出す。背後の教室が不気味なほど静かなことに恐怖しながら僕は昇降口目掛けて駆け出した。
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