第14話 ふふっ、剣城君ならきっとそういうと思ってたよ

 姫宮先生から今週の日曜日エッチしようと誘われてから今日で3日だ。俺は姫宮先生とエッチするかどうか本気で迷い続けていた。童貞卒業のためにエッチしたい俺がいる一方、先生とエッチするのは倫理的に良くないと思う俺もいたため、その2つの間で激しく葛藤している。


「でもそろそろ結論を出さないとタイムオーバーになるよな……」


 今日が木曜日の夜で約束の日曜日までは後2日しかなく、明後日が土曜日で学校が休みな事を考えるとタイムリミットは金曜日の明日だ。だから明日までに何かしらの結論を出さなければならない。

 俺はそんな事を考えながらベッドに入るわけだが、中々結論を出す事は出来なかった。結局結論を出す頃には明け方になってしまっていたため、完全に寝不足になってしまった事は言うまでもない。

 それから俺は寝不足の体に鞭打って学校に行くわけだが、クラスに着くと何やら教室の中が騒がしかった。朝から一体何に盛り上がっているのかと思う俺だったが、耳を傾けてみるとどうやら近々うちのクラスに転校生の女子がくるらしい。

 らしいと言うのは、朝用事があって職員室に行った奴が偶然その話を聞いただけで確定情報では無いからだ。ただそれを話していたのが学年主任だったらしいので、信憑性は極めて高いと言えるだろう。


「まあ、転校生が来ても俺にはあんまり関係なさそうだけど」


 同性ならともかく異性の転校生と関わる機会なんてそうそう無いはずだ。そんな事を考えているうちに1時間目の授業が始まったため俺は授業に集中し始める。そしてあっという間に時間は過ぎ去り、気付けば放課後になっていた。

 俺は荷物を持って職員室に行き姫宮先生の席に向かう。すると俺がやってきた事に気付いた姫宮先生は顔を上げてにこやかな表情で話し始める。


「わざわざ私に会いに来てくれたって事は、日曜日の件だよね。それで結局どうするかは決まったのかな?」


「はい、その……日曜日はよろしくお願いします」


 そう、俺はひたすら悩みに悩み続けた結果、姫宮先生とエッチする事を決めたのだ。はっきり言って俺の選択は自分でも間違っていると思っている。だが悲しい事に自分の性欲には打ち勝てなかった。


「ふふっ、剣城君ならきっとそういうと思ってたよ。じゃあ詳しい事とかはLIMEで話そうか、私のIDを書いておいたから友達に追加しておいてね」


「分かりました」


 妖艶な笑みを浮かべた姫宮先生からチャットアプリであるLIMEのIDが書かれた付箋を受け取った俺は職員室を後にする。その後はいつものようにエレンと一緒に帰り始める俺だったが、日曜日の事で頭がいっぱいになってしまい会話は何一つ入って来なかった。

 それから家に帰った俺はリュックサックから付箋を取り出して早速LIMEにIDを入力して検索し始める。ID検索をした結果、Chikaという名前で後ろ姿の写真がアイコンの人物が出てきた。


「……多分これが姫宮先生だよな」


 俺は少し緊張しながら姫宮先生をLIMEの友達に追加する。そしてどんなメッセージ送ろうか考え始める俺だったが、なんとそれよりも先に姫宮先生からメッセージが送られてきたのだ。

 メッセージには日曜日の集合時間や場所などが可愛い絵文字付きで書かれていたわけだが、女性とあまりLIMEでやり取りした事が無かった俺はそれだけでかなりドキドキさせられた。

 ちなみにピルを飲むからコンドームは着けなくても良いとも書かれていたため、今から興奮が収まりそうにない。


「……やばいな、さっきから下半身がずっと勃ったままだ」


 姫宮先生への返信を考え始める俺だったが、下半身が元気になり過ぎてしまって正直それどころでは無かった。だが遂に夢にまで見ていた童貞を卒業できるのだ、興奮するなという方が到底無理な話しに違いない。


「ついに俺も童貞卒業か。高校生の間は多分無理かなと思ってたけど、何が起こる分からないもんだよな」


 何故か理由は分からないが気になっていた人や好きになった人がみんなアランを好きになってしまうため、俺の事を好きになってくれる人なんてこの世界のどこにもいないんじゃないかと思い始めていた。

 しかし姫宮先生からエッチに誘ってきたという事はきっと俺の事が好きに違いない。17歳の俺に対して姫宮先生は23歳であるため6歳も差があるわけだが、愛の前には年齢差なんて些細なものだ。


「早く日曜日にならないかな。本当待ち遠しい」


 そんな事をつぶやきながら俺はスマホでエッチの流れを調べ始める。姫宮先生は俺が童貞だと知っているためある程度リードしてくれるだろうが、男として恥だけはかきたくないのだ。

 ちなみにAVやエロ漫画などはそこそこ見る方だが、あれはあくまで創作物であるため参考にはならないらしい。


「へー、前戯とかはこんなふうにすれば良いのか」


 童貞だから全然知らなかったが前戯にも流れや順番があるようだ。引き続き流れについて調べるわけだが、そんな浮かれた俺の様子を監視カメラで見ている人物がいる事を今はまだ知らない。

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