第13話 アラン、姫宮千花と寝なさい
「それで、報告は?」
「姉さんから頼まれて姫宮先生の事を色々と調べてみたけど、はっきり言って想像以上だったよ……」
放課後の空き教室で私はいつものようにアランから報告を聞いていた。快斗君にちょっかいを出そうとしている姫宮千花の過去をアランに調べさせたわけだが、うんざりしたような顔をしている様子を見るとかなり酷かったようだ。
生徒に手を出そうとしている時点でろくでもない人間だという事は既に分かっていたが、果たしてアランはどんな情報を仕入れてきたのだろうか。
ちなみに4月に配られた学内広報の新任教師紹介欄には姫宮千花のプロフィールとして出身地や卒業した高校と大学などの情報が載っていたため、それを活用させて貰った。
「まず姫宮先生は高校時代、地元でかなり有名になるくらい男癖が悪かったらしい。だから地元に居づらくなって関西州の近畿学院大学に進学したみたいだし」
「その情報は信用できるのかしら?」
「ああ、わざわざ姫宮先生の地元まで行って調べてきたんだから間違いない」
そう、私はアランに学校をサボらせてあの女の地元である東北州仙台市まで調査に行かせたのだ。そこからどうやって姫宮千花の情報まで辿り着いたのかは分からないが、何かしらの方法を使って調べたのだろう。
「それから今度は近畿学院大学の西宮キャンパスで姫宮先生の事を聞き始めたわけだけど、ここでも結構有名人だったらしくてすぐに情報が集まったよ。学内でもかなり評判の悪いヤリサーに入ってたらしくて、結構派手に遊んでたとか」
そう言ってアランは私に何枚か写真を見せてくる。そこには露出の多い服装で妖艶な表情を浮かべながら男に密着する見覚えのある顔の女が写っていた。写真の女は金髪で眼鏡をかけていなかったが間違いなく姫宮千花だ。
「今は清楚っぽい見た目をしてるけど、大学生の頃は割と派手だったのね」
「そうみたいだな。今とは外見が違いすぎるから最初は別人かと思ったけど、よくよくみたら顔が一緒だったし」
「今は教師になって猫を被ってるみたいだけど、学生時代の男にだらしない姿があの女の本性ってわけね」
私はアランの話を聞いてそう結論付けた。ここまでの話を聞く限りだと、やはり姫宮千花はろくな人間では無い。
「ちなみに姫宮先生は大の年下好きらしくて、サークル内の後輩全員と寝てたって話も聞いたよ」
「……もしかしてそれが目的で教師になったのかしら。だとしたらとんでもない変態ね」
そんな不純な動機で教師になったのだとしたら、流石の私でもドン引きだ。
「それで関西にも居づらくなったから今度は東京で教員採用試験を受けて、今に至るって感じらしい」
「なるほど、よく分かったわ。あの女をあのままのさばらせてもろくな事にならないに決まってるし、社会的に死んでもらいましょう」
私は姫宮千花を社会的に殺して学校から排除する事を決めた。問題はどうやって社会的に殺すかだが、すぐに良い方法を思いつく。
「アラン、姫宮千花と寝なさい」
「……えっ?」
アランは一体何を言われたのか分からないと言いたげな顔になった。それを見た私は大きなため息をつきながらもう一度分かりやすく説明をする。
「だからあの女とエッチしなさいって言ってるのよ」
「いや、流石にそれは……」
「ひょっとしてまさか嫌だと言うつもりじゃないでしょうね?」
明らかに嫌そうな顔をするアランに私は詰め寄って圧力をかけた。だがそれでもアランは中々首を縦に振ろうとしない。そんなアランの様子に私は業を煮やし、最終手段に出る。
「じゃあ、
「!?」
「……姉さんの言う通りにするよ」
「賢明な判断だわ。具体的な手段や方法に関してはあなたに全部任せるわ」
アランの言葉を聞いて満足した私はそう話した。あんなに嫌がっていたはずのアランがいとも簡単に従うようになるのだから、よっぽどバラされるのが嫌なのだろう。
「あっ、そうそう。ちゃんと忘れずに証拠写真を撮っておきなさいよ」
「分かった」
アランと姫宮千花が確かに寝たという証拠が無ければ勘違いで済まされる可能性があるため、写真は絶対に必要だ。後はその証拠写真を学校と教育委員会に送りつければ姫宮千花の教員人生は終わる。
「じゃあもうあなたに用は無いし、さっさと私の視界から消えなさい」
「……ああ」
アランは不本意そうな表情をしながら教室から出ていった。そんな様子を見つつ私は今後のシミュレーションを考え始める。
「姫宮千花の本性を知って絶望する快斗君をどうやって癒してあげよう」
かつて虐められて精神的に参っていた私を快斗君が助けてくれたのと全く同じように、彼を過酷な道から救済して依存させる事が目標だ。だから快斗君をどうやって癒やすかはかなり重要な要素と言える。
「早く私だけの物にならないかな」
目標の先にある理想の未来を想像した私はエクスタシーを感じながらそうつぶやいた。想像しただけで何度もイってしまうくらい快感を感じるのだから、快斗君が私だけの物になった時には一体どうなってしまうのだろうか。そんな事を思いながら私はトイレでぐちょぐちょに濡れてしまった下着を履き替えてから快斗君の待つ靴箱に向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます