第22話 若き血
先ずこの大会のルールについて説明しておこう。死にはしない。と言うか死ねない。会場は特殊な加護があるらしく死には至らない。でもそれじゃ決着はつかないよねという事で、痛覚はあり、ダメージが致死量に達したらその瞬間与えたチームの旗が審判から上がるという事、戦う場所は円形で、各チーム一人ずつ入り、外にいる仲間にタッチすると交代する。まぁプロレスみたいなもんだなこれは....っと。もっともほとんどフヴィアスさんから聞いたことなんだが。
「緊張しますね...」
見るとフヴィアスが少し小刻みに震えていた。
「そうか....だがしかし。」
入口を指差す。
「初戦だ。」
席を立ち、ふと鏡を見ると全身鎧の変人がいた。
「フヴィアス....」
「あ、準備はできました!行きましょう!」
遂に覚悟を決めたような顔をしていた。こんな時に自分の見た目については聞けないな。
「あぁ、そうだな。」
....多分馬鹿か図太いかどっちだろうな。
「さぁさぁ両チーム選手出揃いました。ルールは通常戦、チームバカラ対チームアイスゼロ。両チーム意気込みをお願いします。ではチームバカラのタリィ・ハスカ選手とナタリー・クウェイ選手!」
「潰す。」
不機嫌そうな顔でコメントする。まぁ戦士なんだしタリィさんそれで良いんだけど....というか確か23だしまぁそんなもんよね。
「まぁまぁ良いん感じに戦いたいものですよ。だって」
ナタリーさんが俺のことを睨む。やめろ美人に睨まれるのはなんか色々と嫌なんだ。
「貴族学校の子はともかく鎧の方の戦力は未知数だからね。悪いねお嬢ちゃん。こっちも全力でいかせてもらうよ!」
熱気に包まれる。
「ではアイスゼロのルフティ・スビ・フヴィアス選手とレイ選手!」
「あ、あ、頑張ります。」
応援の声が聞こえることには聞こえる。まぁ初々しいからな。
「あ〜すいません。レイさんも....」
あ、すまない司会の人。
「やるだけやる。」
なんか微妙な雰囲気が広がる。あんま深く詮索されないように無口でいたけどこれ普通に精神にくる。恥ずかしい....散々こんな人を掲示板で弄っておいて自分がなるとはな!はっ!
「では両者配置につきましたね?先鋒はタリィ選手とルフティ選手!第三グループ第一試合、開始!」
アナウンスと共に太鼓が鳴り試合開始を告げる。
「スキル:縛られぬ地!」
おっと先手を取られたか。しかも相手がいきなりスキル発動とは。まぁスキルについてはあまりわからないが魔力消費して、技の威力を上げたり状態異常をもたらしたりするやつと習ったが。
「おっといきなり相伝のスキル発動だ!ハスカ家に伝わる特殊スキル!いきなり勝負を決めに来た!」
ほぉ。地形を変え、素早く迫ってきてるな。単純。しかし避け難い。事実フヴィアスも.....あぁ名前で呼んでくれって言ってたな。えールフティも体力強化を使ってギリギリだしな。
「っく.....スキルか.....ならっ!」
ルフティは体力強化魔法と並行しながら手を構え詠唱する。
「氷結魔法!アイスブレード!」
右手に左手を乗せ、更に続ける。
「術式にコールドバスターを追加。」
笑みを浮かべ言う。
「メニーアイスアロー!」
「お、こいつは.....」
弾幕を張るつもりか。張れば相手は地形を変え、盾とするだろう。さすれば自分のターンだ。
「だがしかし。」
相手がそこまでの
特殊スキル:縛られぬ地 ハスカ家に伝わる特殊スキル。自分の足裏の接した面の形状や物質を変化させることが可能。通常ならそこまでの能力。しかし、タリィ・ハスカはこれを極め、大量の魔力こそ消費するが地に触れたとき、それを増量させることができる。
「なっ.....」
ルフティは驚愕していた。相手が速度を落とさず真っすぐ突っ込んできたのだ。
「っ.....まだまだ!」
弾幕密度を集中させる。
「ふんっ!」
その瞬間相手は鉄の壁を増やした。無論、鉄は氷を防ぐ。しかし少しずつ傷がついていき、あと少しで破れそうになった。
「やっ.....」
「敵うとでも?」
その瞬間タリィはスキルを解き、スピードに乗ったまま剣で切りかかる。口には魔力消費により吐血した血痕があった。.....相手も
「おうら!」
「うっ.....!」
辛うじて氷でバリアを張り防げたが次はない。魔力も消耗し、満身創痍気味だ。
「おい。」
はっとルフティは後ろを向くとレイが立っていた。
「これはタッグマッチだ。自分でなんでもしようとするな。」
レイは手を差し出し言う。
「さぁ変わろうか
このままじゃ初戦黒星だ。それだけは何としても避けたい。相手も同じだろうが絶対に避けたい。期待の
「さて、チェンジだ。」
「おっとチームアイスゼロ!ここでチェンジだ!」
歓声を背中に受けながらルフティとタッチする。
「すいませんレイさん....」
「構わんさ。」
なんだかこれをつけていると戦いを求めるようだ。そういう魔法でもかけてあるんだろうか。
「さて、」
交代を待ってくれた素晴らしくも実戦で真っ先に死にそうないい人間してる相手を見つめてから言う。
「始めようか。」
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