銀英伝好きの俺(46)が異世界転生したのでとりあえず革命起こす。

第21話 予選開始

寮の自室で色々と準備をしながら作戦を立てていると

「やぁ、カイルくん、途中交代する人は見つかったのかい?」

そう先輩から声をかけられた。

「あ、どうもフヴィアス先輩。えぇ、見つかりましたよ。」

交代するのは肉体だけだがな。

「うーん。これから一緒に少しは戦うんだし....苗字呼びというのも....あ、そうだ。いつまでカイルは戦うんだい?」

「戦いませんよ。もっとも知り合いの彼は本戦まで行くつもりでしょうが」

「本戦までって....君の知り合いは自信家だねぇ。」

「あ。」

そうか予選でも腕利きの奴らはいるんだ。その事を忘れかけていた。まぁ、何とかなるだろう。

「あ、そうだ先輩。」

「ん?」

「元は親戚の兄ちゃんにする予定だったのですが、予定が合わず、近所の人にしました。」

「はぁ。よく連絡ついたな。」

「此間王都で偶々会いました。」

勿論嘘八百である。

「へぇ、奇跡。」

「えぇ、奇跡ですよ。それとですね、」

「まだあるのかい?」

「はい。彼は極度の恥ずかしがり屋故、全身を防具で固めているのであります。多分すぐ分かるでしょう。」

「そんな変人....」

「悪かったですね。」

今から一週間ほど前、カイルが心意気に感動し、部屋を後にした後、とんでもない約束をしたリベルは膝から崩れ落ちた。

「あ...うあまた...やわ....」

「ちょっとあんた!」

クレイはリベルに寄り、倒れそうになったのをどうにか支えあげた。

「あぁ、クレイ、すまない。もう大丈夫だ。」

「大丈夫って...あんたまだ震えてるわよ。」

「武者震いさ。どうってこたぁない。」

そう言いながらもリベルは分かっていた。自分が今、昼寝から起きたら周囲を謎の像に囲まれていた子供時代の懐かしい思い出の中のような気持ちという事を。

「そんなんで開発なんか...」

「出来るさ。四日もあれば。」

「じゃあなんでまだ震えてるのよ。」

クレイの質問は至極真っ当なものだが人というのは不条理の生き物である。

「さっき...ナイフを首に突きつけられたろ?あの時にただナイフを突きつけられただけじゃなくてなんかこう...恐ろしい何かに包まれる様な感覚がしたんだ。」

「何よそれって...」

「それが分からないから....」

そうして会話している二人に近づき、

「おやおやお熱いお二人さん、別に構わないんだがここは職場なんだがな。」

と、ポプランは背後から肩を叩き、水を差すように言った。

「し、失礼しました!」

「いだぁ!」

クレイがいきなり手を離して敬礼したため、背中を支えられていたリベルは床に落とされたのである。

「あ、ごめん。」

「ごめんじゃないだろ....」

「やれやれ。我らの開発主任の子供を見るのもそう遠く無いだろうな。」

「どっち似だろうか。」

「どちらでも愛の重い子供でしょうね。」

どちらの部署からも笑い声が響く中、先ほどまでの静寂を戻す様にポプランは言った。

「科任、先程何かに包まれるような感覚と言ったな?」

「科任....」

腑に落ちないという声で反芻する。

「略し方は突っ込まなくて良いだろう。なぁ、そなたらも良いと思わないか科任。なぁ。」

両部門の技術者達は外方を向く。

「...まぁよい。あれには理由があってな。いや、説と言った方が正しいな。皇帝（カイザー）は最初年相応の感じだったろう。あれがいつのまにか我らよりも随分経験を積んだ様な風貌になったろう?あれが....別の世界からある程度歳をとった状態の記憶を持ったままこちらへ来たのではないかという...あー突拍子もない話だ。」

ざわめきが広がる。

「そんな事が....」

「ま、説程度なのさ。それじゃあ諸君。頑張りたまえ。今夜は素敵なレディーを待たせているんでね。」

そう言ってポプランは颯爽と去っていった。

「ほんと...何なんだろうねあの人...」

「と言うか....」

「ん?どうしたんだいクレイ?」

「さっきの話、その不思議なものに包まれる様な感覚と関係あるの?」

「....あんまりないよね。」

銀河商会地下、機械人形との初の同期だ。

「では皇帝（カイザー）、こちらの中へ。」

でかい瓶みたいなものだな

「どうぞこちらの器具を全身に着けてください。」

さてさて着けてみたはいいが時計じかけのオレンジみたいになったな。

「じゃあポプラン。」

「はい。同期開始!」

「3....2....1....同期!」

「魔力接合。電磁波異常無し。心拍数異常無し。CHSKA接続。BFKVTをON.ルディシルドカイ正常。デュエルシステム及び各種補正システム作動。魔力メーター及びフィジカルメーター正常。システムオールグリーン。ZBF-153 皇帝（カイザー）専用機、起動!」

数秒間上下感覚と視覚がなくなり、嘔吐感に襲われた後、先程より視界が高くなった。

「これは....」

「せっ....成功です。」

それから少しして歓声が上がり泣き崩れる者までいた。

「ほう....成功か。リベルとやら。」

「はっ!」

「昇進おめでとう。」

「はっ....!」

今にも泣きそうなのを頑張って抑えてる様だ。

「さて武具は....」

「はっ!腰部に高エネルギー特殊形魔法杖を二つ。これは拳銃の弾を魔力に置き換え、高い貫通性及び威力を獲得したものです。そして腕部にはグレネードランチャー、ビーム剣、そして背中に実体剣のジュールスレイブレイドを装備。足元には小型超振動ナイフ、ミレニアムデュエルを二つずつ装備してます。そしてこの鎧の全体に対魔力コーティングを施している為、規格外の魔力量の攻撃でもない限り殆どの魔法系攻撃を防げます。」

.....多分凄く強いんだろうなこれ。

「えーと。レイさん?」

ロビーに座っていると声をかけられた。

「私、ルフティ・スビ・フヴィアスと言います。カイル君のパートナーでした。」

「うむ。レイだ。そのカイルの代役さ。」

「あの、彼はどうして代わったのか.....もし差し支えなければ教えて下さい。」

うーん。納得できそうな理由は.....

「実は友人が死去されたらしい。喪に服すためだそうだ。」

「あっ.....それは.....」

「君と約束した後、その旨を伝える手紙が届いていたことに気付いたらしい。」

「あっ.....」

納得してくれているようで良かった。しかしよくもまぁこんなに嘘をべらべらと並べれるようになったな。俺はペテン師の才能でもあるんじゃないか。

「じゃあ行こうか。」

「はい.....」

まぁどうなってもいいか。

「おうこぉくばぁとぉぉるとぉおおなめんつ！予選だあいさんぐろぉぅぷ開☆幕☆」

歓声が上がり、コロシアムは熱気に包まれる。

「この第三グループは王都の実力者が集まる激戦グループ!先ずは対戦相手をこちらの箱に入りしくじを引き、決定するのであります!つまり予選は本線とは違い対戦相手がその時まで分からないんだ!くぅ痺れるねぇ。合計勝ち星を＋得点、黒星を－得点として合計得点が多い上位三チームが決勝に進出できるのです。」

熱い声援と野次が飛ぶ。

「それではブラーさん、選手紹介をお願いします!」

「さぁ、選手紹介DA☆先ずはチームデス・プロフェッサー。傭兵と魔術師のコンビなんDA☆」

ブーイングが早速飛ぶ。それを止めたのが

「あぁん?俺になんか用か?誰だいそこからコソコソと悪態だけをつくのは。」

と、傭兵さんのバステェスである。

「まぁ口先だけの腰抜けですから相手にするまでもないですよ。」

と、魔術師のタスティー。

「さぁ、続いてはこの王国のドリームチームDA☆チームホスピタル・ストライク!今年も勇者パーティからの刺客!実に256年振りの女勇者のナタシー・ルケルーノとヒーラーのブラスティの異色コンビDA☆」

先程と打って変わり、黄色い声援が飛び交う。流石勇者パーティと言ったところだろうか。いや、さっきのチームも傭兵と魔術師で、別に盗賊でも何でもないよな。確かにチーム名こそ不穏だが。デス・プロフェッサーだから....死の教授とかか?

「さぁお次は.....」

しかし無駄になっげぇな。少し寝るか。

「.....さん!レイさん!」

「ん。」

あ、長かったから少し寝てたのか。

「寝ないでくださいよ。レイさん。」

「.....すまなかった。」

「この券引いてください。これは対戦相手を決めるものですから慎重に.....」

「えい。」

「あああああああ!」

「チーム代表の方々全員お引きになりましたね。それでは開封を、お願いします!」

「「「「「「「せーのっ!」」」」」」」

各々に緊張が走る。

「なっ.....」

「これは.....」

どうやら面白い事になったそうだな。分からないが。

「さぁまず第一戦、チームバカラVSチームアイスゼロ!」

寝てたせいで分からないな。

「なぁフヴィアス。」

「えぇ、バカラはかなりの強敵ですね。」

ん?そうなのか。

「でも、勝つのは私たちのアイスゼロです!」

.....そっかチーム名はこの人に一任したんだった。初戦かぁ.....