第三章 王国バトルトーナメント編
第18話 相棒とは
「え、俺?」
ライルの奴、恐らくだが選手に俺を登録してあるんだろう。まぁ、最悪1人ならそれなりにやって終われるのだが.....
「そ、お前と...誰か。」
「は?.....あぁなるほど。つまりタッグパートナーを探せと。」
「そうだよ。シングルはもう締め切られてるから。」
溜息ついた後、一回言おう。
「...縁切ろうか。ライル君。」
「すいませんそれだけはマジ勘弁してください。」
「勝手に戦わせようとするの二度目だぞ。」
あの先輩の件で既に前科持ちだからなこいつ。
「でもさ、このトーナメントに出るかボランティア活動しないと長期休みの宿題達成できないぞ。」
「は?」
「いやだって来週から一か月半の長期休みに入るだろ。」
「いや.....そうだが.....」
まぁ、筆記とかの書類系の大半はかたずけておいたが.....
「まぁ、ボランティア行けばいいだろ。」
「え?正気?あんなめんどいのに?老人とかのお世話するんだぞ。」
「それは未来を担う者の当たり前の責務なんだろ。」
実際46ともなると体の不調も感じやすくなるし。少し階段上っただけで息上がった時の絶望感は凄かったな.....
「.....イル!カイル!何ボケッとしてんだ!」
「あ、すまない。少し考え事をしていただけだ。」
「じゃあ早く申し込めよ。俺はもうすでに申し込んであるけど。」
「バトルトーナ.....いや、ボランティアにか.....あれ、君さ。自分でやるのは面倒臭いんだぞと人には言ったのに自分はするんだ。へぇ。ふぅん。」
「いや.....あのさ。戦いは苦手だからね。俺平和主義者やん。」
「人を戦いに巻き込んどいてよく言うな。見上げた根性だよ。」
「えへへ。すまないって。」
本当にこいつはなぁ.....
「は!?締切だって!?」
受付のお姉さんに向かって叫ぶとか言うここじゃ学生だけど実年齢考えたら随分恥ずかしい事をしてしまったが.....期限は言ってくれ.....
「はい、申し訳ございません。何せ毎年応募者が少ないものでして.....」
「.....」
まったくこの学校の生徒は戦いのことしか考えないのか(偏見) ってそんなこと言ってる場合じゃなくてこりゃ課題を完全に終わらせるには戦うしかないのでは.....?
「ま、カイル。」
ライルが俺の肩に手を置いて言う。
「ファイト!」
「.....」
こいつ.....もしかして嵌めたか?
「.....どうしたらいいんだよ。」
取り敢えず寮に帰ってきたがいい考えが浮かばない。取り敢えず知り合いに声をかけてみたが「もういる」とかで断られるし。ウィディも転生者の誼で組んでくれないだろうか。もっともライルが完全完璧に悪だが、抗議したところでどうにもならないしな。もっと建設的なことをしないといけない。
「すいません!」
ん?なんか叫び声が聞こえる。食堂からか。
「うるさいな。さっさとほら、金。」
「い、今は.....」
「あん?誰に口きいてんだボケナス!」
「すいませんすいません。」
「このお方はダリス様だぞ。」
「すいませんすいません。
カツアゲ?いやパワハラか.....って違うわ。カツアゲかパワハラかなんてどうでもいいことだよ。
「こんの.....すいませんしか言えないのか!」
あ、手あげようとしてる。うーん、揉め事になるのは面倒だけども見過ごすっていうのも人としてあれだしな。こういう時にはラノベの主人公は「やれやれ」とかと言いながら登場するんだろうが生憎そんな趣味は無いのでそこは割愛させてもらう。俺を憎むくらいなら自分を憎めよ。
「なぁ、君。」
リーダー格のおそらくダリス君であろう人物の手を掴んでから言う。
「あん?誰だおま.....」
どんどん声が小さくなってくるな。エコーじゃないんだからさ。まぁ、その第二皇子サマと武闘派の先輩を倒したのだからその界隈の人には顔が知れてても仕方ないか。一年坊どもには顔も名前も知られていてもそれが普通だが上級生サマ方となると名前だけになる可能性もあるしな。何せ学校が無駄に広い。
「こいつは.....ちとやりすぎじゃないかな?ダリス君.....でよかったかな?」
「あ、はい。まぁ.....えぇと.....」
目が泳いでモゴモゴ言い出した。こういうのが一番大変なんだよな。よくいるけどさ.....あぁ根気よく粘ろう。
「返答。」
「はい?」
「やりすぎじゃないかという問いに対しての返答を私は待っているのだが。個人的にはその線はあまり信じたくはないのだがそのモゴモゴ言うのが君の返答なのかい?」
少し威圧的かな。
「す、すいませんでした!ほらお前らも逃げろ!」
「いやダリスさん。こんなチビ俺でも.....」
「早く逃げろ。消し炭にされるぞ。」
しないよ。俺も大人だしね。寛大な心をもってお出迎えするさ。
「いやだって.....」
「この人が『カイル・サス・サイサルセッチュー』なんだよ!」
「え?」
顔を知らない人がまだいたのね。うーん。でも血の気引き出したか。吐いた跡みたいに顔が青いぜこいつ。
「さぁ、君らには選択肢がある。一つ、私に喧嘩を売る。二つ、さっさと消える。さぁどちらだい?」
まぁ正直言ってどちらでもいいのだが。その寛大な心のお出迎えの方法でね。
「そんな.....おま.....」
宣戦布告と受け取っていいか。魔力を練り始めよう。まぁこの程度の脅しで帰ってくれるとありがたいんだが。
「あやっぱ違いますすいません!消えます消えます!」
「ふーん。じゃあ.....」
これが大人だクソガキども。今生覚えていやがれ。
「さっさと去ねや。」
「はいいいいいい!」
あら音速で飛んでった。拍子抜けだな。
「あ.....ありがとう.....ございました。」
あ、そうだ居たんだ。
「うん、そうだね。大丈夫でしたかい?」
「はい.....あなたが有名なカイル君なのだね。」
「はい。」
「申し遅れました。私の名前はルフティ・スビ・フヴィアスです。二年。」
「初めまして。これは失礼、先輩でしたか。敬語なんて使わないでください。むずかゆくって仕方ありませんよ。僕はカイル・サス・サイサルセッチューです。一年です。」
とするとあのダリス君も二年だろうか。ま、いっか。
「しかし君.....怖かったねえ.....何か怒っていたのかい。うん、言ってみなよ。ほらほら先輩だぞ。」
「ははは。そうですか。実はですね.....」
「ふむふむなるほど。君はバトルトーナメントに出場しなくてはならないこと。シングルは締め切られていて、タッグを組まないとならないがいい人が見つからない事。そういう事だね。」
「理解が早くて助かります。」
「上級生を舐めるもんじゃないよ。まぁでも助けてくれたお礼くらいに.....」
前髪をかき上げてから上級生様は言った。
「一緒に出てやろう。去年はボランティアにしちまったしな。」
.....おぉっとこいつは.....中々お人よしな人なことで。
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