第12話 夜の王都で悪魔は踊る その②
はたしていつからだったのだろう。私がこの世界に興味が無くなったのは。すべてが滑稽に見えた。上に媚び諂い、下には弾圧を加える。そして私達は下側。笑えない。いつも私たち奴隷の女は虐げられた。人として見られずただの道具だった。もし、もしそれだけだったのなら私は躊躇なく死ねた。でも同じ場所には私より小さな少女もいた。私一人で守らないといけない。ずっとそう思っていた。銀河帝国が来るまでは。
「うわ、こいつはひでぇや。」
「仕方ないだろ、ほら付いてこい軍曹。」
返り血を浴びて血の匂いを全身からに漂わせなが近づく彼らは私たちに向かって言った。
「俺たちは銀河帝国って者だ。お前らを助けに来た。」
私は怪しげな集団だと思った。口だけでは助けると言えるとも。しかしそれは虐げる人が変わるだけで本質的には何も変わらない。何も救われない。やがて沈黙が数分で間続いていると
「ちょっとラス曹長。こいつら全然喋りませんよ!」
「仕方ないだろ。これだけ傷付けられてらショックで話せなくなってるかもしれん....あぁ、すまないがロン軍曹、少し黙っててくれ。考えをまとめたい。」
「考えがあったんですか!?」
「当たり前だろ。何せ部下を持つ曹長だからな。」
「しかし....
「ありがたいな。」
「え?」
「だってそうだろう、明確な身分差が生まれて。」
「それが好きじゃないんですけど。」
「それじゃこいつらは救えないだろ。」
私たちを指差して言った。
「それもそうですが...」
「もう馴れ合いじゃ無いんだよ。『自分達の意思』で『自分達の憎む相手』を第二十三会議室で殺した時からずっとな。」
おちゃらけている様に見えた彼からの声は節々から真剣さが伝わってきた。もしかしたら少しは希望になるかもしれない。
「あの...助けてくれるのですか...?」
勇気を出して声を出した。
「うん、ようやく喋ったか。あぁその通りだよお嬢さん。我々は君たちのような人たちを助ける兵隊なんだ。後ろの子たちもね。」
怖がられないように少し空笑いしながらもそう言った。
「そうですか彼女らを大切にしてください。」
「勿論さ。」
「ありがとうございます....私は良いのです...」
そう言って服を脱ごうとすると
「おねぇちゃん!」
そう呼び止められた。小さな子たちの中の一人だった。
「止めないでいいのよ...これで貴女たちが幸せになるならね。いい。私はあなた達が幸せになるためにね.....」
「嫌だ!おねぇちゃんも一緒に!」
そう言うと泣き出してしまった。どうしようと思っていると
「ゴ、ゴホン!えーとだね。そう!そういうのを求めないで助けるのがね!銀河帝国なので.....あぁだから.....そのね。そう!ぬ、脱がなくてよろしい!」
「あ、曹長顔赤くしてる。」
「う、うるさい!仕方ないだろ見たことないし。お嬢さんも無闇矢鱈に肌を見せないんだぞ。そう言うのは好きな相手とやってくれ。」
「はい...」
そうして彼らは私達を助けてくれた。お風呂も美味しい食事も食べさせてくれた。ふかふかのベッドで寝れた。働き口も紹介してくれた。気分が良くなったからで良いと言われた。一連の流れが終わった時、私は泣いた。今までただ諦めて過ごして、守ってなどいなく、現状維持だけしてた自分が情けなかった。
しばらくしてから私は紹介してくれた食堂のウエイトレスではなく隠密行動部隊に入る事に決めた。奴隷時代に微かな食事で動き、その微かな食事を調達する為に鍛えた体術により無事合格した。少女らは祝ってくれたし、助けた彼らも祝ってはくれたが
「分かってるだろうけど戦場に行くってことは常に死と隣り合わせなんだからな。あの子達も居るんだしくれぐれも無茶はするなよ。」
そう忠告してくれた。兵隊さんなのに優しい人だと言うと頬を赤らめた。こうして私は隠密行動部隊に入る事になった。そして破壊工作を幾つか仕掛け今、組織のナンバー2でもしばらく会っていない
「それで、私などが恐れながら直接コンタクトを取る事に至った要因は...」
「うむ。」
「今、この
「ほう...悪魔か...」
中二病?って一瞬思ったけど少し回想してみるといい歳した大人が要塞に「ダブルウイング」って名付けてんだからな。それに銀河帝国って事は当然サイキが目を通してるんだろうし、信用できるから問題はないか。
「信じがたいでしょうか。」
「いや、サイキが目を通しているのだろうし信じるぞ。」
「ありがとうございます。」
「うむ。」
こうして俺は王都で.....そうだな悪魔狩り。悪魔狩りをする事になった。王都でドンパチする事にならないといいのだがな。
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