第4話 熱き薔薇の騎士達

こっちの世界で11になった俺は久しぶりにサイキが実質的に率いる組織のアジトに来た。まぁ、年齢的にそう沢山組織に出入りできないという点は皆、大目に見てくれている。いい部下を持ったな俺。

「あっ、皇帝カイザー!初めまして。」

はて、初めましてって言われるような部下はいたっけ?

「あ、僕..いいえ、私はこないだ入ってきた4889番です。」

「4889番....」

あぁそうか。俺がまともに指揮してないから自分たちで解放始めてるのね。

「あっサイキさん、カイザーがお見えになりました。」

ふと振り返るとサイキが立っていた。

「カイザー、お久しぶりです!」

なんかたくましくなってた。鍛えすぎてる感はないけど。憧れるな。

「組織、拠点の整備は進んでいるか?」

ここは皇帝カイザーらしく振舞っておこう。

「はい、拠点は今3か所の要塞と2か所の農場。現在人員は28000人ほどです。」

「2っ!」

「はい、あの少ないでしょうか。」

「いや、十分だ。」

え、そんなに増えたのか。こんな組織に。拠点も人員もか。それを食わせてるってサイキ.....途轍もなく有能な男だ。

「そして1000人近くが現在敵対している敵組織からの亡命者で...」

「亡命者?」

亡命してくるほどいい組織かね。ここは。

「はい。しかしスパイの可能性もあるため今は軟禁をしていますが。こちらの4889番もその一人です。」

ふむふむそういうことか。ならまぁ.....少し遊ばせてもらうよ。

「サイキ、軍の状況は?」

「先程も申し上げた通り28000人で....」

「違う、陸海空軍の配分は?」

「あっ失礼いたしました。陸軍17000、海軍は2000、空軍は8000人程度かと。」

「いや、私の言葉足らずだ。謝ることではない。さて、ではその亡命者達を陸軍白兵戦特別部隊にしろ。」

「亡命者達を!?」

「あぁ、白兵戦なら乱戦になる確率が増える。もし、まぁいないだろうがスパイがいたとしても本当の味方に殺されるのがオチさ。」

「で、でも私たちにも信頼を置いてください!」

そう言ったのはサイキではなく4889番だ。少し怒ったような顔をしている。いや、すまないな。

「サイキ、現在白兵戦部隊はいるか?」

「いません....」

「4889番、勝ち戦になると通常銃火器でそれこそタコ殴りにするから白兵戦部隊は本来いらぬ部隊だ。だが追い詰められた相手が窮鼠となる可能性がある。その時に命惜しい兵しかいないと.....まぁ簡単な事だ。」

名も無き亡命者の目を見て言う。

「負けとなる。」

圧に驚いたのか青年は少し後退りした。

「一番重要なのが白兵戦部隊なんだ。裏切られては困る。まぁ死んで来いと言ってるのには違いないがな。で、4889番に頼むんだがその白兵戦部隊のリーダーやってくれるか?」

4889番の顔が驚きの表情に変わる。こいつがまとめ上げられるのかという心配もあるけどまぁいいか。その時は代役でもたてるさ。

「は、はい!もちろんでず!」

あ、嚙んだなこいつ。

「卿に『ワルター・フォン・シェーンコップ』という名を授ける。」

「ワルター・フォン・シェーンコップ....」

なんか感動してるっぽい。良かった。

「卿の指揮する白兵戦部隊のローゼンリッター....薔薇の騎士ローゼンリッター連隊を任せる。亡命者で構成される連隊だ。良いな?」

「はい!お任せください!」

4889番...いやワルター・フォン・シェーンコップが誇らしそうに返事をした。

特定の部隊の人間に銀英伝のキャラの名前つけるの良いかもしれない。

「で、私がここに来た理由は分かるかサイキ?」

「あ、いえ分かりません....」

さて、サイキに全部任せるわけにはいかないから働くか。

「攻めるぞ。亡命者を出すようなクソな組織にな!」

「りょ、了解いたしました。すぐ出撃用意をさせます!」

「もしかしたらシェーンコップにも働いてもらうかもしれないな。時間が少ないがまとめ上げれるか?」

「はい!亡命者達を集めてきます。」

まぁ、自分の為にも給料分は働くか。見せてみせよう。皇帝カイザーの魔術を!

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