第3話 支配の権利
地下牢獄の牢屋に俺は今いる。
「坊主、死にたくなかったら大人しく命令を聞けよ。可哀そうだがお前は人質だ。」
ガラの悪そうな男たちが取り囲んでそう言った。可哀そうって絶対思っていないだろうその口ぶり。
「あぁあとそうだ。おい、新入りくん。ちゃああああああんと見張ってろよ。お前たちがなぜ食えてるかその小さい頭で考えろよ。」
何故ちゃんとを無駄に長くして強調させる。部屋の隅に立っている少年(もっとも俺の今の年齢より年上だが)に向かってそう言った。身寄りのない孤児出身の少年兵といったところだろう。バンッ!とドアを閉める音(そんなに大きい音立てる必要ないだろ。)を立てて男たちは去っていった。
「くそっ、あんな野郎に.....」
うーん。絶対ストレスたまってるな。一か八か挑発してみるか。
「そこの少年。」
「なんだ!」
大きい声出すなよ。まぁいい。
「あいつらに一泡吹かせてやろうと思わないか?」
彼の顔は困惑していた。そんなことが出来るかというのとこいつはやるかもしれないという期待の絶妙なブレンドだ。
「まぁ、耳を貸せって。」
俺はそう言い銀英伝から学んだ(パクった)作戦を吹き込んだ。
俺は今、ガラの悪い男のトップ格の男とその幹部の前に手錠をし、深刻な顔で先程の見張りをしていた少年兵に頭に銃を向けられて正座して座っている。
「おいおい坊主、逃げ出すとはなかなか馬鹿な真似をしたな。それじゃあ死ぬか。でも逃がしたおまえにも責任はあるなぁ。」
トップの男は笑っていたがをしていたがそれをできたのはほんのわずかだった。俺の手錠をして自由を封じられたはずの手が顎にアッパーを食らわせたのだ。無論、幹部たちは俺を殺そうとしたが先刻まで俺の頭に向けられてた銃が幹部たちに向かって火を噴いた。そう、クーデターの始まりである。
「よし、この機械を使えば命令を出せれるのか?」
「あぁ、そのはずだ。兵士一人づつに箱みたいな機器が配られててそれから作戦を知ったりするんだ。もっとも俺ら少年兵にはそんなもんないけどね。」
俺は少し悩んだがある決定を下した。
「そうか。それは好都合だ。少年達を巻き込まないで済む。」
「お、おいまさか...」
「第二十三会議室に『お前たち』が憎んでいる人間を集めてくれ。」
「に、二十三って...」
少年の顔には恐怖の感情とこれを実行させようとする俺に対しての敬意が出ている。俺はなんとなくだが頷き作戦を実行させた。
「さて、次の作戦はなんだぁ?」
大人たちが馬鹿らしい顔をして第二十三会議室に集まっている。確かに憎いがこの作戦は彼らを皆殺しにする作戦だ。不意に肩をたたかれた。この作戦を思いついた元人質の少年だ。私よりも若いのにとてもすごい。
「はい。なんですか?」
「....なんで敬語?」
「あ、いえ。今回の作戦を思いついたことに対しての敬意です。」
「そうか。ところで君の名前なんだっけ。まだ聞いてないよね。」
「私の名前は.....ありません。少年兵1と呼ばれてました。」
少年は考え込んでいたがふとこんなことを言った。
「サイキ....サイキ・フォン・ローエングラムはどうだ。」
「サイキ....フォン.....ローエングラム..」
私はしばらくその名の響きを堪能していたが首を縦に振った。
「サイキ以外の少年兵にもフォンというミドルネームをつけさせたらどうだ?そなたらには信頼があるだろう。家族のように....」
このお方は見透かしている。私達一緒に厳しい生活を過ごした少年兵の友情すべてのことを。私は頷き、敬礼した。
まったく調子に乗ってバカなことをした。なんだよサイキって名前。そしてフォンに関しては帝国貴族の丸パクリじゃん。ついでにローエングラム。ラインハルトじゃねーか。
「閣下。」
呼ぶ声がしたので振り返ると「サイキ」という名前を与えられ心なしか嬉しそうな顔をした少年がいた。
「うむ、なんだ。」
「はい、少年兵全員集まりました。」
サイキの後ろには40人ほどの10代の少年たちがいた。こいつに従うのかという俺に対しての目線もあるが期待のほうがでかい。サイキは作戦を実行させた。
「う、なんだ?」
大人の誰かが言ったその声の後、次々に悲鳴を上げて行った。第二十三会議室は一部がマジックミラーになっている。これはさっき、トップと幹部を殺した部屋の隅にあった隠し扉の中にあった紙切れから知った。それを解除した瞬間、魔力が最大限にこもったガトリング砲を向けた少年たちを見たのだ。
「撃て!」
サイキがそう言うと一気に赤い血で会議室が染まった。
「こ、これで俺たちは自由だ!」
誰かが言って少年たちは歓声を上げた。さて、帰るか。
「お待ち下さい!」
サイキ....ではなく俺より少し年上(13くらい?)の少年が引き留めた。
「貴方の頭脳と行動で私達は解放されました。ありがとうございます!」
「そうか。今後の行動は...」
「よろしければ今後もあなたの指揮のもと行動したいのですが。似たような境遇の少年らを救いたいのですがよろしいですか。」
「しかしそなたらの行動はサイキが指揮して行えば良いのではないか?」
一瞬サイキという名前に戸惑ったようだが俺のことを閣下と呼ぶものだと伝えると
「確かにリーダー、いやサイキさんも十分非凡ですがサイキさんはあなたに心酔しているのです。私達はサイキさんを尊敬しています。その人が尊敬する人がいるのならその人、つまりあなたですね。ついていきたいのです。」
なんか尊敬されてんだが。
「そうか。それは皆思っていることなのか。」
「なぁみんな。どうだ?」
歓声が上がった。認めてるらしい。
「とのことです。サイキさん、いいですよね?」
「あぁもちろん私としても閣下の下で働けるとなると嬉しい。」
サイキもそんなことを言うので、調子乗ってバカなことを言ってしまった。
「そうかでは私はそなたらを指揮し、そならのような境遇の少年らを救う!」
また歓声が上がった。そして俺は絶賛後悔の嵐。帰るんじゃなかったのか。なあ。
「ついていきますぜ兄貴!」
「いや兄貴は違うだろ。」
「じゃあ皇帝はどうだ?」
「皇帝陛下か?それはちょっと...」
「ならカイザーはどうだ。意味は同じだが。」
俺が言った。理由は無論ラインハルトと同じだからだ。みんな次々に賛同する。
「カイザーか。いいな。」
「カイザー...あまり堅苦しくなくていいな。」
ってことで俺は今をもってカイザーとなった。やっぱラインハルトと同じでいいな。
「ではカイザー、これからよろしくお願いします。」
「あぁ、卿らの行動にも期待する。」
卿らの意味が分からなかったようで教えるとなるほどーという顔になった。
「はい!我らはカイザーのために戦います!」
こうして革命組織...ではなく少年兵を解放する組織が誕生した。
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