第137話 次の展開
「おかえり、ハイト!」
「ただいま」
パルムを連れての初戦闘を終えた俺たちは経営地へと帰還。クランハウスに入ると妻が出迎えてくれた。
「パルム、どうだった? ちゃんと戦えた?」
初めて卵の状態から育てた従魔だからだろうか。妻はとても心配そうな表情で俺へ問う。
「もちろん。ちょっとしたミスはあったけど、十分に戦えてたよ」
音を鳴らしたことで俺たちの存在が敵にバレたのは痛かった。しかし、その後しっかりとフェザースライムとの1対1に勝利して見せたので初戦闘としては申し分ないだろう。
「それならよかった! ログインしたらハイトたちがいなかったから、山で戦ってるんだろうなーって予想はすぐについたんだけど。パルムはこれまでずっと経営地で育った子だからちゃんと戦えるか心配だったんだよね」
「まぁ、マモルがフェザースライム2匹を相手してくれてたのもデカかったかな。そのおかげで俺もパルムも相手とタイマンできたんだし」
「へぇ~、そうなんだ。流石頼りになるね、マモル! じゃあ、がんばって戦った子たちにはご褒美をあげないとね。はい、どうぞっ!」
妻はアイテムボックスから獣の遺骨を取り出した。そしてパルムとマモルに2つずつ差し出す。
骨身の従魔2体は大喜びでそれを受け取った。マモルはガシガシと噛みついて遊んでいる。パルムの方はバリバリと嚙み砕いて食べていた。
俺の方からも獣の遺骨をご褒美としてあげる約束をしていたが、どうしようか。せっかくなら何か別のアイテムを用意してあげてもいいけど。
「マモルにパルム。俺からのご褒美は何がいい? 獣の遺骨以外でもいいよ」
すぐに返事がくる。
2体とも別の何かではなく骨がいいと即答だ。
「わかった。じゃあ、これ」
アイテムボックスから4つ獣の遺骨を取り出して渡す。
時間ができたら別の魔物の骨がアイテムとして手に入らないか調べてみよう。獣だけ遺骨をドロップするってわけじゃないだろうから。
その後、俺はすぐにログアウトする。
明日から仕事が理由でしばらく朝が早くなる。あまり遅くまでゲームをして寝坊でもしてしまったらシャレにならないからね。
――――パルムが初戦闘を経験したときから現実で1週間が経過した。
その間、ほとんどフリフロにログインすることはなく、仕事一色の日々。あと10日間ほどは同じ状態だと思う。ただ、ゲームをする時間はなくともちょろっと通勤中に掲示板を覗いたりすることはできる。そのおかげで次のアップデートの情報も知ることができた。
重要な情報は次のアップデートに合わせてフリーフロンティアオンラインの追加生産分が発売となるということだろう。こちらは日本で販売される分だけでも50000本ある。フリフロの評判は非常に良くテレビなどでも話題に上がっているためすぐに完売しそうだ。よってアプデ後はプレイヤーが爆増すると思われる。
更にそれに合わせて新規プレイヤー歓迎イベントのようなものも開催されるらしい。詳しい内容はまだ告知されていないものの、掲示板などでは一定レベルになるまで取得経験値増加やファーレン周辺で魔物討伐時のレアアイテムのドロップ率微増などが実施されるのではないかと予想されていた。
ただ、それだけでは初回販売分を購入して遊んでいる俺たちのようなプレイヤーにはほとんど得がないため、別枠で何かしら用意されているのではないかという意見もあった。
他にも第2陣を追加した2週間後から夏イベントが開催されるという情報も解禁されており、掲示板は大いに賑わっていた。しかも前回のイベントと違ってその夏イベントはしっかりとシナリオが用意されているらしいので、そこは俺も楽しみにしている。妻もストーリーがあるなら全部見たいねと言っていたので、珍しくガチでゲームをすることになるかもしれない。
まだしばらく従魔たちと遊べないのは寂しいが、この先もフリフロではたくさんのイベントが実施されるというのだからとても楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます