第112話 新たなレアスキル

 孵化装置に不死系統の卵をセットした日の翌朝。再びゲームへとログインした。


 あの日は結局、他のアイテムも妻に見せたわけだが……魔物の卵と孵化装置のときほど盛り上がることはなかった。

 反対に2人揃って落胆することはあったが。その原因は桜鋼の剣なのだが、鑑定結果を再び確認すれば一目瞭然だ。




桜鋼の剣

レア度:4 品質:最高

第1回公式イベント<ファーレンの春祭り>にてイベントポイントと交換することで入手可能。

桜色の輝きと花びらが舞うエフェクトが施された鋼の剣。武器としての利用は不可能で、クランハウスや店舗に飾ることを目的として作られた。

作成方法および製作者は不明。




 まず武器ですらありませんでした。

 鋼の剣っていったいどんな性能をしているのだろうと思い交換した俺は鑑定したときにとてもショックを受けた。

 剣が放つ輝きもエフェクトもとても美しく、クランハウスが完成すれば壁に固定して飾ればさぞかし映えるだろうが……期待していたものとは全く違うものだったので少しモヤモヤしてしまう。


 とはいえ、今更どうすることもできないので、仕方ないことだと割り切った方が楽だね。


 それと選択スキルスクロールとランダムレアスキルスクロールはまだ使用していない。

 選択スキルスクロールの方は新しく生まれてきた不死系統の子ができるだけ不自由しないように影魔法を覚えさせる用として置いておくつもりだ。影魔法が習得可能になるためにはいくつか条件があったが、それらは夜中のレベリングなどで可能な限り早く満たしてやりたいね。

 ランダムレアスキルスクロールを昨日使わなかったのに特に理由はない。孵化装置から桜鋼の剣の流れで感情をかき乱されたので後日でいいかとなったというだけ。なので今から使うつもりである。


「でも、なぁ。誰が使うかが問題なんだよな~」


 隣でお座りしているマモルを撫でながら独り言を呟いた。


 俺かマモルかバガードの誰が新たなスキルを手に入れるのか。

 ランダムとはいえ、レアスキルが確定で手に入るのでプレイヤーの俺が使うのが1番丸い。だが、うちのパーティーのメインアタッカーはマモルなので使ってあげるのもまた良いと思う。バガードの方はとても賢い子なので、どんなスキルがきても腐らせることなく活用してくれそうだなという意味で最適な気もしている。


 とりあえず本人に聞いてみるのが早いか。

 マモルは戦闘に積極的だし、強くなりたいという意思があるため欲しがると思うが。


「なぁ、マモル。新しいスキル欲しいかい?」

 

 俺の問いに対してマモルはすぐに返答を寄越す。


「えっ、俺が使えって?」


 どうやら今回のスキルスクロールは譲ってくれるらしい。


 マモルやバガードは従魔なので、俺が死ねば強制的に死亡扱いになる。なのでテイマーである俺が最も死んではいけない。それをマモルは理解しているようで新たなスキルを自分にくれと言わなかったようだ。


「バガードは?」


 さっきまで湖の上を好きに飛び回っていたはずのバガード。どうやら俺とマモルがやり取りをしている間に隣にきていたらしい。

 すぐそばにいたのなら内容も理解していると思うので聞いてみる。


 カーカー。


「そっか」


 この子もいらないみたいです。


 今あるスキルだけでもまだまだ使い方に改善の余地があるとか。それを潰していないうちに新しいものを手に入れても腐らせてしまうみたいなことらしい。


 そんなこと言われたら、いろんなスキルを行き当たりばったりで取得している俺の耳が痛い。バガードはこちらに言っているつもり全くないようだが、俺もこれを機にスキルについて見直してみてもいいかもね。


「じゃあ、俺が使うよ?」


 ランダムレアスキルスクロールを使用する前に最終確認をする。両隣にいる従魔の顔を見るがどちらも異論なしといった感じだ。


 よし、それじゃあ使おう。頼む、強いのか面白いスキルこい!




ハイト・アイザック(ヒューム)

メイン:見習いテイマー  Lv.14

サブ1:見習い錬金術師  Lv.7

サブ2:見習い戦士    Lv.9

HP:340/340 MP:300/300

力:31(+16)

耐:32(+42)

魔:37

速:19

運:31

スキル:テイム、火魔法、魔力操作、錬金術、剣術(初級)、槍術(初級)、盾、気配察知、聴覚強化、鑑定、解体、採取、潜水、伐採、採掘、緋色の紋章←new

称号:<ラビットキラー>

SP:12




「……緋色の紋章」


 なんですかそれ?



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