第109話 交換したアイテム確認(1)

「よし、俺も交換完了っと」


 マモルとバガードのおかげでたくさんあったイベントポイント。その全てをアイテムと交換した。この恩はいずれ何らかの形で返さないとね。主従関係であっても感謝と謝罪はしっかりとするべきものだと思うから。


「何を交換したの? 見せて!」


 隣にいる妻が早く交換したアイテムを見せろとせがんでくる。


「わかったよ。まずは安かったものからいくね」


 最初にアイテムボックスから取り出して見せたのは薬草だ。10個が1つの帯でまとめられているようなので、15帯とバラが4つ。

 低級ポーションを作成するために店で買ったりしたこともあったが、これだけの数を目にするのは初めてだ。


「すっごい量だね。薬草ってことは、錬金術の素材?」

「うん、ポイントが余ったからサブ職のレベリングに使えるアイテムを選んだんだ。これだけあれば1つ2つはレベルも上がりそうだし、良い選択だったと思ってるよ」


 続いては兎肉100とボア肉50だ。

 これは全て妻へ渡すつもりで交換した。


「肉だらけ……目の前が全部埋まってるよ!!!」


 突然、目の前に現れた肉の山。それを見た妻のテンションが露骨に上がる。


「いいでしょ。これで好きなだけ肉料理が食べられるよ」


 俺と妻の間に肉の壁が形成されているため、互いの姿は見えていない。名称と数だけをウィンドウで見ていたときにはこれほどになるとは思っていなかった。アイテムとして取り出して初めて量のすごさを実感した。


「いいね~。作って欲しくなったら、いつでも言ってね! お肉さえ渡してくれたら、その都度作るから!!」

「いや。これ全部、今渡すつもりで交換したんだよ。俺も肉が好きだから100%プレゼントとして、って気持ちで用意したわけではないけど。見習い料理人のレベリングに使えるし、いつでも好きなタイミングでやれるようにリーナが持ってた方がいいでしょ?」

「……もらっていいって言うなら、受け取るけど。流石にこの量受け取ると申し訳なさを感じるかも」


 本当に全てプレゼントとして用意した肉なので、全く申し訳なさを感じる必要はないのだが。受け取る方はそうもいかないようだ。


「じゃあ、兎肉30くらいだけ俺が持っておくよ。これはバガードのエサ用にする」

「う~ん……わかった。残りはもらうね。ありがと!」


 そもそも料理スキルのない俺が食材を持っていたとして意味がないから、エサくらいしか使用用途がないんだよね。


「あと料理繋がりでこれも」


 続いて俺が取り出したのは、石器12セットだ。コップやお皿、調理器具などから好きなものを1つ選択して交換するタイプだったので、石の大皿と小皿を5つずつ、それから石臼を2つ交換しておいた。


「私が選ばなかった石シリーズの器だね」

「人が使うものとしては色的に微妙だけど、従魔たちのエサを置くのには使えるかなって」

「あー、確かに使えるかも。これまでは手渡しで与えていたけど、置ける皿があるのは有難いね。でも……どうして石臼?」


 石臼。やっぱり気になるよね。俺も交換できるリストの中で、1つだけ異彩を放っていたこいつが気になって交換したのだ。おそらくこいつがアイテムとしてあるということは、もち米の役割を持つアイテムもどこかに存在するはず。いつ手に入るかはわからないが、経営地で餅つきでもできればいいなと思っている。


「ここでみんなで餅つきしたくない?」

「したい!!」

「でしょ? だから交換しておいた」

「そういう理由なら、文句なし! でも、これで目標の1つにもち米の発見が追加されたね」


 できれば、うちの経営地で栽培して増やせるといいな。定期的に知り合いのNPC陣を招いて餅つき大会とかしてみたいし。


「そうだね。経営地のことが一通り片付いたら、探してみよう」


 俺の言葉に妻が大きく頷いて返した。


「――――じゃあ、次いくよ?」


 ここで満を持して、アイテムボックスからごろイモの種を取り出す。


「あー!!! 種だ!」


 見習い農家の妻、大喜びです。


「これは今回の春祭りをすっぽかしたお詫びの品……みたいなものだと思ってくれると」


 他にも妻に渡すものはあるが、これがメインとなる。


「いいの!? すっごい嬉しいよ。ありがとね! この子が育ってお芋が取れたら、さっきくれたお肉と一緒に使って何か作るね」

「それは楽しみだね! はやくごろイモ育たないかな~」


 妻の手料理を頂く約束をしました。

 これはしばらくゲームのモチベーションが爆上げだ。早く育って欲しいのでごろイモの栽培を手伝いたいのだが、何か方法はないのだろうか。栽培スキルは見習い農家にならないと取得できないので、他のやり方で。


 さてと、ここでいったん一区切りといったところかな。

 ここまで色々なアイテムを見せてきたが、それらは細々したアイテムに過ぎず、俺の本命ではない。ここからが交換レートがとても高く、購入制限までかけられていた物たちだ。中には妻も興味深々だった魔物の卵もある。1つ1つ楽しみながら、交換したアイテムの確認をしていこう。



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