第80話 レベル差と装備の差
バガードがレベルアップを果たした翌日。仕事から帰るとすぐにフリフロへログインした。今日は妻がいるので月光草探しではなく、サクラボアの肉を狙ってひたすらファス平原で狩りを続けている。
現在、サクラボア38体を討伐して手に入った肉は3つ。この前よりはマシな引きだが、相変わらず運がない。その代わり経験値はそこそこ入ったようで俺と妻のレベルが上がった。
ハイト・アイザック(ヒューム)
メイン:見習いテイマー Lv.14
サブ1:見習い錬金術師 Lv.7
サブ2:見習い戦士 Lv.8
HP:320/320 MP:300/300
力:29(+11)
耐:30(+42)
魔:37
速:19
運:31
スキル:テイム、火魔法、魔力操作、錬金術、剣術(初級)、槍術(初級)、盾、気配察知、聴覚強化、鑑定、解体、採取、潜水、伐採
称号:<ラビットキラー>
SP:12
リーナ・アイザック(ダークエルフ)
メイン:見習いテイマー Lv.13
サブ1:見習い料理人 Lv.6
サブ2:見習い農家 Lv.1
HP:160/160 MP:230/230
力:11(+1)
耐:4(+9)
魔:48(+5)
速:30
運:15
スキル:テイム、鑑定、料理、栽培、伐採、採掘、植物魔法、水魔法、闇魔法、短剣術(初級)
称号:―
SP:24
俺の見習いテイマーとしてのレベルが14になった。15で転職が可能となるらしいので、次のレベルアップが楽しみだ。
「ハイトはいいな~、装備も更新してるしサブ職のレベルもどんどん上がるし……」
未だに見習い農家のレベルが1である妻からそんなことを言われた。
「サブ職のレベルを上げるためにファーレンで畑でも借りる? って前に聞いたら、経営地にクラン専用の畑ができるからそれまで我慢するって自分で言ってた気がするけど」
生産職は基本的にその職業専用の生産活動をすることで初めて経験値を得られるようになっている。なのでどれだけ妻が戦闘しようとも、見習い農家としてのレベルが上がることはない。俺の見習い錬金術師のレベルがそこそこ育っているのは、経営地にいるときはできるだけ錬金術を使うようにしているからだ。その結果、アイテムボックス内の低級ポーションはもうすぐ100を超える。
「そうは言ったけど、やっぱりこうステータスとして目に見える形で差ができると悔しくなるのー!」
その気持ちはわかる。俺もマモルのステータスと自分のステータスを見比べて落ち込むことが何度もあったから。どうしてレベルアップした回数が多い俺の方が能力負けしているんだと。最近は装備の質を上げたことで差が縮まり気になることも少なくなったが。
「今からでも畑を借りてみる?」
基本的に商店にしろ畑にしろ、生産活動のために必要な初心者用アイテムや土地は冒険者ギルドでがんばって依頼をこなせば、買える借りられる値段に設定されている。だから今の俺たちなら、それほど懐を痛めずに借りられるはずだ。
妻がレベルアップをしたいと言うのなら、別に畑を借りることを止めるつもりはない。
「それは……いい」
ちょっと不貞腐れたような声で返事がきたが……ほっぺをぷくっと膨らませながらそういうのするとただかわいいだけなんだよな。
これを言葉にすると妻が怒りそうなので、心の中だけに閉まっておく。
「じゃあ、文句言わないの」
「はーい」
「でも、装備の更新の方は流石にした方がいいね。素材が足りないなら、集めるの手伝おうか?」
未だに妻の防具は普通の皮シリーズだし、武器に至ってはNPCのショップで見つけてきたらしい性能の低い杖のみ。サブ武器として短剣を買おうと言っていたものの、これもまだ。
流石に俺と装備の差があり過ぎるので、ここらで一度妻の装備を全てできるだけ強いものに更新したい。
なんだかんだいつも装備作成に必要な素材は俺優先にしてくれているので、足りない素材があるなら今からでも一緒に集めに向かうつもりだ。
「いいの!? ありがとー! でも、実は防具の素材は全部揃ってるんだよね。この前、1人でログインしたときにもう1回レッサーコングキング倒しに行ってきたから」
ソロでレッサーコングキングを倒してきたなら、俺と同じく奴の皮を使って鎧……いや、妻は魔法型だしできればローブを作りたいな。
またミミちゃんにお願いしたいけど、予定空いてるかなぁ。後で保護者のイッテツさんにメッセージを送って聞いてみよう。
「それならこの前話してたミミちゃんに防具の作成を頼んでみるね」
「やったー! 依頼しに行くときは私も一緒に行くね。かわいいゴスロリ少女なんでしょ? 早く会いたいな~」
妻はかわいいものが好きだ。会えば十中八九抱きついたりしようとするだろう。子供用のセーフティー機能があるから触れることはできないけど。
人見知りが激しいミミちゃんはいきなりそんなことをされると最悪泣いてしまう。
これは事前に注意しておくべきだね。
「会っても絶対抱きついたりしたらダメだよ」
「えっ、うん。わかってるよ?」
「あと仲良くなろうとしてがつがつするのも禁止」
「は、はい」
「ミミちゃんに紹介するのは、それが守れるならの話だからね」
「大丈夫、ちゃんとする」
少し悲しそうな顔を見せたものの、納得はしたようだ。興味の対象へグイグイいきたい派の妻だけど、本気で人が嫌がることはしないからこれで大丈夫だろう。
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