第66話 スライムは可能性の塊?
すらっち(スライム)
Lv.12
HP:85/85 MP:53/53
力:17
耐:24
魔:7
速:12
運:10
スキル:溶解液、液状化、物理耐性、再生、投擲術(初級)
称号:<外道>
↓
すらっち(ヒールスライム)
Lv.1
HP:75/75 MP:68/68
力:7
耐:24
魔:22
速:12
運:10
スキル:液状化、物理耐性、再生、投擲術(初級)、治癒液←new
称号:<外道>
HPと力が落ちて、MPと魔力が上がった感じか。落ち幅より上がり幅の方が大きいし、やっぱり進化すると強くなるようだ。
「ほんとに攻撃役から回復役へポジションチェンジした感じだね」
「これまでみたいにすらっちの溶解液で援護はできなくなったけど、代わりに治癒液で回復役をしてくれるから頼ってあげて」
「わかった。これからもよろしくね、すらっち」
まだ見慣れない黄緑色のすらっちを軽く手で撫でると、ぷるぷると震えた。
「こちらこそ、だって。でも、まさかすらっちがテイマースレに載ってる進化先とは別の魔物になるなんて思ってもなかったな~」
「あ~、たしかに。モフアイさんが載せた情報によるとウォータースライムっていう水魔法を使えるスライムに進化したんだっけ?」
従魔を進化させたのは妻だけではない。掲示板に挙がっている報告だけでも15人近くが既に従魔の初進化を終えている。その中でも一早く進化させ、報告したのがモフアイさんだ。流石はテイマースレの大黒柱。彼女の従魔情報のさらけ出し具合を見ていると、マモルのステータスを伏せているのが悪いことのように感じてくる。そのモフアイさん自身が他の人は無理して情報を載せなくても大丈夫だよ。と書き込んでいたので、俺は結局お言葉に甘えているが。
「そうそう。他にもファイヤースライムに進化したって人もいたよ」
「その2種を見るに最低でも魔法の属性の数だけスライムの進化先は存在しそうだね。ヒールスライムみたいな例外もあるみたいだし、実際はもっと多いんだろうけど」
今のところ確認できている魔法の種類は、基礎となる火魔法、水魔法、風魔法、土魔法。妻が覚えた闇魔法に植物魔法。それからアネットさんが見せてくれた火魔法の上位互換である炎魔法の7種類となる。火魔法だけに上位版があるというのもおかしな話なので、水魔法、風魔法、土魔法もそれぞれに対応する上位互換魔法が存在すると思われる。また闇魔法の対となる光魔法。氷魔法や雷魔法などのゲームで出てくる定番属性もあるだろうからスライムはかなり進化先の多い魔物である可能性が高い。
炎魔法などの上位互換系のスライムが存在したとすれば、おそらくファイヤースライムなどが更にもう1段階進化した姿である可能性は高いので、普通のスライムからの進化先ではないと思うけど。
「やっぱりそう思うよね……私、決めた! 新しいスライムをテイムしてくる」
妻の突然の宣言に、すらっちが体をガクガクブルブルさせる。
「すらっち何心配してるの? 私が従魔を捨てるはずないでしょ。いろいろな進化先があるスライムっていう種族への興味が強くなったから新しい子も仲間にしようとしてるだけだよ」
すらっちがいつもと違う震え方をしているように見えたのは間違いではなかった。どうやら妻が新たなスライムをテイムしてすらっちを捨てると勘違いしたらしい。
「俺も1体だけスライムをテイムしてみようかなぁ」
これだけ多岐に進化先が展開されているとワクワクしてくる。
それに従魔枠は現在の熟練度でも2枠空きがあるのでスライムで1つ埋めても問題ない。あと普通のスライムがいれば、また溶解液で援護してくれる存在がパーティーに入るしね。
「お~、ハイトもスライムデビューするの? 夫婦揃ってスライムテイマーになっちゃう!?」
「なっちゃおう! 俺の場合、テイムするスライムは1体に抑えるけどね」
この感じだと妻は残りの従魔枠を全てスライムで潰してしまうかもしれない。
「じゃあ、善は急げってことで……今からテイムしに行こっ!」
ぶーちゃん顔負けの猪突猛進具合で経営地を飛び出した妻。俺は急いでその後を追う。
――――ファス平原。
目的地に辿り着いた俺はようやく妻を見つける。
「リーナ、速いよ」
「えへへ、ごめん。ハイトとステータス差があるの忘れてダッシュしちゃった」
「今度から覚えていてくれると嬉しいな」
「うん、次からは大丈夫! あれ、ハイトはマモルたち連れてこなかったの?」
妻は肩にすらっちを乗せた状態で、俺に聞く。
「あー、湖で遊んでたから邪魔しないでおこうと思って」
経営地を出る前にうちの従魔たちを誘おうかと思い彼等の方を見ると、湖で漁を行ってるところだった。夢中になっている様子だったので今回はお留守番していてもらうことにした。
今の俺なら1人でもファス平原の魔物に後れを取ることもないからね。
あと、ぶーちゃんは湖の畔でうちの従魔たちが水遊びしているのを羨ましそうに眺めていた。マモルとバガードは仲間外れにするような子たちではないので、おそらくぶーちゃんは水が怖いのだろう。
「なるほど。ぶーちゃんはお留守番してるし……これるメンバーは全員揃ったってことか」
「そうなるね」
「じゃあ、早速スライム探しをしよう! ハイト、探すのは任せるよ?」
「りょーかい!」
こうして俺たちのスライムテイムが始まるのだった。
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