第23話 外道?




リーナ・アイザック(ダークエルフ)

メイン:見習いテイマー Lv.11

サブ1:見習い料理人  Lv.1

サブ2:見習い農家   Lv.1

HP:90/140 MP:94/160

力:10(+1)

耐:3(+9)

魔:36(+5)

速:28

運:13

スキル:テイム、料理、栽培、鑑定、採掘←new、植物魔法、水魔法、闇魔法←new、短剣術(初級)←new

称号:―

SP:16




 え~と、妻が新しく覚えたのは採掘、闇魔法、短剣術(初級)か……運良くない?

 生産、遠、近距離攻撃、全てまんべんなく手に入ってるんですが。


 闇魔法の解釈は作品によりけりだが、俺のイメージとしては高火力の魔法もしくは相手をデバフてんこ盛りにするいやらしい魔法のどちらかだ。このゲームでもそうとは限らないが、使えないものではないと思う。それに扱える魔法の属性が増えるとこの先、特定の属性に対して耐性を持つ魔物なんかが出てきても臨機応変に対応できるので当たりだろう。

 短剣術(初級)は名前から効果は推測できるが、これもないよりある方がいい。妻は魔法が得意なのでメインウェポンは杖だが、接近された際の護身用にサブウェポンとそれに対応するスキルを取るように勧めようかと考えたことがあった。このスキルを覚えたことでその問題は解消された。あとで短剣を買うことにしよう。

 採掘も名前から内容は大方予想できるが、このスキルを持っていると鉱山などのフィールドによくある採掘ポイントで鉱石などを手に入れることができる。もちろんツルハシなどの採掘道具は必須だが。


「ステータス上の運は俺の方が良いはずなのに……ランダムスキルスクロールで手に入ったスキルの質で負けた気がする」

「たしかにハイトは武器スキルが2種類になっちゃったもんね。いっそ、槍も買って練習してみたら?」

「そうするつもりだよ。せっかく手に入れたスキルを無駄にしたくないし」


 続いて、すらっちのステータスも覗いてみる。




すらっち(スライム)

Lv.9

HP:8/70 MP:18/44

力:14

耐:21

魔:6

速:10

運:10

スキル:溶解液、液状化、物理耐性、再生←new、投擲術(初級)←new

称号:<外道>←new




 手に入ったスキルは再生と投擲術(初級)。再生は自分のHPを徐々に回復させるスキルか。そして投擲術(初級)はアイテムやスキル、とにかく何でも投げさえすれば補正が入るっぽいな。これで溶解液を飛ばす射程とかコントロールに補正が入ったら、けっこう凶悪な気がする。

 すらっちはかなり自分に合ったスキルを手に入れられたみたいだ。だが、それ以上にどうしても気になる箇所がある。


 ――――称号<外道>だ。


 取得条件は読んで字のごとく外道な行為をすれば良いんだろうが、なぜ取得できた!?

 もしや怨嗟の大将兎の傷口に溶解液ぶっかける等の行いがこの称号を呼び寄せたのだろうか。あれは戦略であって、決してすらっちが道を外れたわけではないのだが!


「リ、リーナ、そのすらっちの称号なんだけど……」


 とても内容を聞きづらい。自分の従魔が外道なんて称号を与えられたら俺なら凹むし、妻もきっと……。


「酷い称号だよね! すらっちかわいいのに。でも、いいの。この称号のおかげで、すらっちが相手の弱点を突いた時のダメージが増えるみたいだから」

「それはすごいな、名前から想像できないくらい良い効果だ。俺の兎限定称号とは大違いだよ」


 ユニークボスに絡まれるきっかけにもなったし、とても迷惑な称号だよ。ほんとに。

 俺たちは勝てたから、報酬もらって大喜びできた。だが、負け続けていたら穏やかな草原には足を踏み入れられないようになっていたし、その先へ進めなかっただろう。

 今回、大活躍したマモルは初回限定盤購入特典のランダムレアチケットから出た従魔なので他の魔物より強力だ。きっといくつか先のフィールドで出会うことになる魔物なのだと思う。そんなマモルがいてもギリギリの勝利。他の人なら、怨嗟の大将兎を倒すのはけっこう厳しかったのではないだろうか。


「たしかにね~。でも、称号があるだけマシだよ。私はまだ1つも持ってないからがんばらないと!」


 妻も称号が欲しいみたいだ。従魔に先を越されたのが悔しかったのかな。


「称号って狙って取るものなのかな? どうしても欲しかったら掲示板漁れば1つくらいは取得条件が明かされているものもあるだろうけど。やりたいようにプレイしていれば、そのうち取れそうだし焦る必要はないと思うな」


 俺たちの称号だって取れるとわかってやったわけじゃないし。好きなようにやっていけば誰しも1つ2つくらいは取れるのではないだろうか。


「う~ん、それもそっか。じゃあ、称号は後回しにする。その代わり! 帰ったら早速、お料理に挑戦したいと思います!!」

「いいね! うぅー、楽しみだな~」


 大将兎肉が手に入ったので、ついに妻が料理をするみたい。現実とは違いスキルの補助があるので怪我などもあまり心配する必要がなさそうだ。というか、あくまでもゲーム内なので怪我をしたとしても本当に体が傷つくわけじゃないから、安心できる。


「というわけで、お料理が終わるまでハイトは宿へ立ち入り禁止!」

「えっ、どうして?」


 せっかく妻が台所で料理しているのを後ろから眺められると思ったのに。そういうの地味に憧れだったんだけど。


「1人で全部やってみたいの。ハイト近くにいると、口出ししたくなるでしょ?」

「う、たしかにそうかも。なら、俺はマモルと一緒に深夜の町を散策してるよ」

「ありがと。料理が完成したら、連絡するから急いで戻ってきてね? それじゃあ、また後で!」


 このあと、全員でファーレンへと戻る。そして妻の料理が完成するまでマモルとお散歩するわけだが、何か面白いものでも見つかるといいな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る