第6話 世代間な異世界バトルって、Hだな。高齢者は、孫がかわいいんだよ。「今の女子も、幸せじゃ。新卒の強い男にあこがれる」だそうです。

 あの思い出の気持ち良さは、翌朝にやってくる。

 「あ、ばあば!」

 「おはよう、ファイト」

 ヨネは、ばあば専用の部屋の中で、何かの箱の中を探っていた。

 「ばあば?その箱は、何?」

 「大切な物を入れる箱、じゃ…」

 「へえ」

 「もしもボックスと、いうんじゃ」

 「もしもボックス…?」

 「ファイトや?一緒に、入るかい?」

 「ばあば!」

 「一緒になろうではないか?」

 「…ばあば?箱の中に、きれいな花が入っているねえ」

 「ああ」

 「それ、何の花?」

 「世界に 1つだけの花、じゃ!」

 「ばあば、そっちは?」

 「コロンバインの花、じゃ。オダマキとも、呼ばれておる」

 「…ふうん」

 「コロンバインの花言葉は、あの方が気がかり!」

 「ふうん」

 「あの方とは、ファイト?お前のことかもしれんなあ。ひひひ…」

 「あ!…そっちは!」

 「これかい?」

 「それって、大学の入学式で一緒に撮った、ばあばとお父さんとお母さんとの、ラブラブ写真じゃないか!」

 「おやすみ、大好きなファイトや」

 ヨネは、もしもボックスに入っていった。

 「ばあば!」

 「ファイトや…」

 「ばあば!」

 「お前も、今の女子も、幸せじゃな。女の子は、お前のような強い男にあこがれる」

 「ばあば!」

 「その未来を、わしが、抱きとめよう」

 「ばあば!」

 「就職氷河期世代の子たちから、金も仕事も奪いとって、返さない。学校にいって努力をしなくても、就職ができる。なのに、学校にいけないと言って泣く。友達に会えないからと言って、泣く。…ああ。かわいいのう」

 「ばあば!」

 「さあ、ファイト!」

 「な、何をするんだ!」

 ヨネによって、もしもボックスの中に、引き寄せられた。体力的に高齢者レベルの新卒な彼には、抵抗できなかった。

 「きなさい!ファイト一発!」

 「ばあばー!」

 ヨネは、もしもボックスの中で、 150万円とファイトとともに、息を引き取った。

 ファイト、道ずれ。

 孫は、かわいいもんな。

 どこからどこまでが現実で、仮想空間?

 「ヨネVSファイト」

 対戦結果は…。

 どっちも、どっちだなあ。



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(高齢者vs孫②)メタバースな異世界空間で、あの人たちが愛のバトルをやったら? 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935

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