第二夢『藤峰 満』
僕、新行内 凪兎は学校に向かう途中、父に言われた
「あ、おはよう。凪兎君!」
「おはようございます。
出迎えてくれたのは剣さんの奥さん、希空さんだった。
「さぁ、入って、入って。橙里さんから詳しくは聞いていないけど事情は多少聞いてるよ。リビングにいるから、どうぞ。」
「お邪魔します。」
リビングのドアを開けると椅子に座った剣さんが居た。
「来たね。・・・取り敢えず座って話をしようか。」
「話したいところなんですが・・時間が限られていて・・・あの!協力してくれませんか?」
内容も伝えていないのに手伝ってくれるとは思っていなかった。でも剣さんの返って来た返答は
「・・・もちろん協力するつもりだよ。・・そうだな。どこかこれから行くところがあるの?」
「はい・・・学校に。ある人を助けたくて・・・・」
「そうか、分かった。じゃあ、行こう。車で話は聞く。それでいい?」
「・・・・え、あ、はい!ありがとうございます。」
「私も話聞きたいからここに連れて来て!」
遠くから希空さんの声が聞こえた。剣さんは「了解」と言って家を出た。「失礼します」と言いながら車に乗った。学校の場所を教えて剣さんに夢のことを教えた。剣さんは僕の夢のことを知っているので理解してくれたが『死ぬ』ことについては頭が追い付いていないらしい。
「藤峰 満・・・。」
「・・・・どうやったら救えるでしょうか。」
「難しい問題だね。凪兎君の夢は絶対なんでしょう?」
「はい・・・昔に変えてみようとしたのですが変えようとした瞬間、倒れてしまって・・・」
「結末を変えるなと言うことか・・・。おっと、もう着いたぞ。」
いつの間にか学校に着いていて駐車場に車を停めた。
「何組?」
「三年E組です。でもその前にA組に行って来ます。」
「何言ってるの?俺も行く。」
「え、剣さん行くんですか?」
「当たり前だ。新行内の息子に何かあったら富野原が怒られる。」
そう言いながら車を降りていた。僕も降りて「そうですか・・・」と言って諦めた。剣さんと校舎に入った。受付に用があると告げA組まで行った。
「剣さんここで待ってて下さい。呼んで来ます。」
剣さんは頷いて階段の壁に寄りかかった。僕はA組のドアを開けた。
「あ、新行内君だよね?どうしたの?」
「あの、
ドアを開け最初に声を掛けてくれた女子生徒に言う。彼女は「OK」と言って呼びに行ってくれた。
「
彼女は僕を指差して言う。
「凪兎?どうした?」
「あれ?聞いてない?」
京は彼女にお礼を言い僕に向き直した。
「ちょっと待って・・・・これか・・来てたよ。ほら」
スマホの画面を見せて言う。
「・・・・・そう言うことなんだけど・・・」
「協力だろ?もちろんするさ。後でもう一回お前の口から聞くからな。」
「うん・・・分かった。」
頷いた僕に「よし」と言って教室の方を向いた。近くにいた生徒に
「ねぇ、担任に早退するって伝えといて。よろしく」
「わ、分かった。」
生徒の返答に満足いったのかバックを持って来て
「で、どこ行くの?」
「E組。その前に来て・・」
京を剣さんのところに連れて行った。
「もしかしてもう一人の・・・」
「うん。」
京は僕の頷きを見てため息を吐いた。諦めたのか
「俺は真井 京と言います。凪兎とは従兄弟です。」
「・・・いとこ・・あぁ、ごめん。俺は富野原 剣。よろしく。従兄弟と言うことは君も・・」
「いいえ、凪兎みたいな力はありません。でも夢に入ることは出来ます。俺の家系はそう言うのです。」
剣さんは納得したように頷いた。
「凪兎、E組行こう。」
「う、うん」
京に言われ全員でE組まで行こうとした時チャイムが鳴った。
「二時間目始まったな。」
独り言を呟いた京。廊下にいた生徒が教室に入って行く。
「E組・・で、着いたけどどうするの?」
「何も考えてない」
「だろうと思った。・・・失礼します。凪兎、誰だっけ?」
「藤峰 満・・」
「そそ、藤峰 満。いませんか?」
急に開いたドアにびっくりしたのか全員反応に遅れた。
「真井君と凪兎君?」
最初に声を発したのは一番前に座っている
「藤峰いない?」
「いるよ。あそこに」
槌馬さんは一番奥を指差して言う。そこには机に堂々と寝ている満が居た。京はクラスに入り満に近づいた。
「凪兎。おはよう。休みじゃなかったの?」
「おはよう。今日は休みだよ。満に用があって。」
「なるほどね。」
声を掛けて来たのは槌馬さんの隣に座っている歌斗だった。
「凪兎君、おはよう。満起きないね。」
「・・おはよう。そうだね。ア、アハハ」
近くに来たのは
「あ、そういえば先生は?」
「あぁ。そそ。先生来てなくてね。委員長が今、呼びに・・・」
「あ、
「先生、もう三年だからいいでしょうってタバコ吸ってたよ。」
僕は歌斗に聞いて答えている途中に小梛さんが廊下を見て言う。その後に委員長の
「全然起きないね・・」
僕がそう言いながら肩を揺らすと
「ねぇ、真井君、新行内君、なんで藤峰に用があるの?」
満の隣の席の
「君に関係ないと思うけど・・何?」
冷たい声で言う。すると夛田目さんの前に座っていた
「なんで?」
「話があるの。」
「誰に?」
「二人に・・」
「別に俺は無い。」
京は二人を無視してどうしたら満が起きるのか腕を組んで考え出した。
「南呑さん、有馬さん・・・ごめんなさい。今日だけは・・満がいないと解決しないから・・・・」
「おい!満。起きろ!」
京が大きい声を出して体を揺さぶった。すると顔を上げた。目を擦り「誰?」と言う。
「第一声がそれか?・・・まぁ良い。」
「・・・・お!凪兎か。おはよう!隣の奴は誰だ?」
「A組の真井 京だよ。満、大事な用があるんだけど。早退してもらえない?」
「珍しいな・・真面目な凪兎が・・・その凪兎が大事って言うなら相当なんだな、よし、いいよ。早退してやる。」
そう言ってバックを持って教室を出た。いつの間にか三時間目も終わっていた。
凪兎は気づいていない。凪兎のことを終始見ていた『誰か』がいることを。その目は嫉妬。獲物を狙い目をしていた。
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