僕が夢を見なければ・・・
風冬 紅
第一夢 『一人目・・大事な友人?』
僕に出来ることは何だったのだろうか。夢を見ることしか出来ない僕なんかに・・・・事件が起きてすぐに止めるべきだった?彼女を説得するべきだった?僕が寝る行為をしなければ良かった?考えても考えても答えは思いつかない。
なんで、なんで、君は彼を『××』したの?
僕は、
例えば・・・夢で告られたら現実でも起こる・・・とか。
僕はこの力が要らなかった。だって、もし、もしも夢で大事な人が死んだら、それが本当になっちゃう・・・。うんん。大丈夫。今までそんなこと無かったから、大丈夫。
僕は中学三年生。来年は高校生になる。担任には「このままいけば希望するところには入れるね」と言われていた。僕もこのまま高校で楽しい青春を味わえると思っていた。
「よぉ〜凪兎。どうだった?二者面談。まぁ〜お前ならどこでも行けるって言われたんだろう?良いなぁ〜俺も頑張らないと」
クラスメイトの
「うん。満が言った通りこのままいけば大丈夫って言ってたよ。でも安心出来ないからもっと頑張らないと。良ければ勉強教えるよ。歌斗もどう?」
同じくクラスメイトの
「え、良いのか?教えてもらえるのは嬉しいが負担にならないか?このバカと一緒だと」
「全然。よく言うじゃん勉強教えた方が頭に入るって。だから僕の勉強にもなるよ。遠慮しないで。」
返事をする前に満が「おい!バカって言ったか?」と言っていたが無視して返事をしたら「聞いてねぇし」と言っていた。
「凪兎ありがと・・・」
「じゃあ、俺と歌斗をよろしくな」
歌斗が何かを言う前に満が遮った。満の頭を歌斗が叩いた。「遮るな」と言い「叩くほどじゃないだろ・・」と言う会話を聞いてつい「平和」だと呟いてしまった。
夢
僕は夢を見た。見てしまった。寝てしまった。今日こそ寝なければ良かった。
どうして、どうして、何で夢に出てくるの?
———あぁぁ、見てしまった。あれは、あの人影は
「藤峰満」。
どうして、やめて、やめて。満を殺さないで・・
僕が夢を見たから?僕が、僕が、少しでも『夢で人が死んでしまったら』と想像したから?
違う、違う。僕は満を殺したくない。だって、だって満は大事な、大事な・・・クラスメイト。・・・・あれ?何でここで『友達』って出てこないの?
あぁぁぁ、満は大事な、大事な・・クラスメイト。
ダメだ。ダメだ。死なせたら、だって、だって一緒に勉強するって約束が・・・・・苦しい。苦しい。あ、待って、待って、まだ覚めないで、現実に戻りたくない・・・・・
「・・・あ、あぁぁあああ。どうして、どうして・・・はぁ、はぁ」
飛び起きて荒い息をする。叫び声が聞こえたのかドアが勢いよく開いた。
「どうした!凪兎!大丈夫か?顔が真っ青だぞ。・・・夢・・・何を見たんだ?」
「凪兎・・・」
母と父が入って来た。父は僕の側まで来てしゃがんだ。母はドアの近くで不安そうに僕を見ている。
「凪兎。この家の家訓一は何だ?」
「・・・・一、夢を見たら何の夢だったかを言葉で教えること・・・」
「そうだ。凪兎、言いなさい。どんな夢でもお前のせいじゃない。
手を握り僕の顔を覗き込む父。
「凪兎・・・」
心配そうに見つめる母。僕は、涙を流しながら
「ご、ごめんなさい。ごめんなさい。僕が、僕が夢を見たから。ごめんなさい・・・・ごめん・・・」
「凪兎!大丈夫。大丈夫だ。誰も責めない。だから話してくれ・・・
父は母に頼み母は頷き部屋から出て行った。母が戻ってくるまでの間父は僕の背中を摩ってくれた。
「
コップを受け取り僕は少しずつ飲んだ。水がなくなり父がコップを僕の手から取り棚の上に置いた。僕は深呼吸をして夢を話し始めた。
「夢で・・夢でクラスメイトの藤峰 満がし、死んじゃう。誰かが殺して満が・・・・・・・うぅ。お父さん。どうしよう。満が・・・・」
涙を流しながら言う。父と母は驚いた顔をする。
「凪兎。苦しいよな。辛いよな。よく頑張った。偉い。偉いよ凪兎。今日はもう寝なさい。明日、明日このことは考えよう。大丈夫。大丈夫だから。安心しなさい。」
頭を撫でながら父は僕の口に薬を入れた。水を飲まされてその薬を飲んでしまった。僕の意識はだんだんと消えていった。
「うぅ。」
呻き声をあげ目を覚ました。まだ完全に覚醒していないのかボーっとしていた。数分経って体を起こした。すると頭に痛みが走った。頭を抑えてベットから出る。部屋から出て一階に降りると話し声が聞こえて来た。
『人が死ぬなんて前代未聞だ。我々にはどうすることも出来ん。ただ、犯人や、その場所ぐらいはお前さんの息子も夢の世界に入れば出来るだろう。何回も教えているはずだろう?
『その名前は呼ばないでください。それは夢の世界の名前なので・・・』
『そうか、そうか。』
『・・・・お祖父様。今日はありがとうございます。』
『いいや、特に何もアドバイス出来んかったしな。良い。では失礼する。』
話が終わったのを感じてリビングのドアを開けた。
「おはよう。お父さん、お母さん」
「!おはよう、凪兎。体調はどうだ?」
「平気。ねぇ、今日やりたいことがあるから学校休んでもいい?」
「・・・・あぁ。全力でやって来い。家訓二」
「「やりたいことは全力で・・」」
父と息を合わせて言う。母はふふと笑っていた。
「そうだ、真井家の子と富野原を連れて行け、役に立つだろう。」
「うん。」
僕は返事をし、出された朝ご飯を急いで食べた。
私服に着替えて家に出た。父と母に「行って来ます」と言い、外の道を進んで行く。学校の方向に・・・
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