第17話

理想と現実の狭間で溺れていても誰も助けてはくれない。手を差し伸べてさえくれない。自力で這い上がるしかないのだ。しかし相手に希望を少しでも抱く事は誰しもあるだろう。頭では分かっていてもきっと自分の事を好意的に思っているはずだと言い聞かせている。現実逃避に近いのかもしれない。みんな本当の気持ちばかりを表に出している訳ではないのだから。亀の様にずっと背中しか見えないように、ひっくり返して初めて中身が分かる。どんなに明るくおしゃべりな人でもそれは同じだ。本心は自分で消化するしかないのだ。みんなが皆んな殻を取ったらどんな世界になるのだろう。少しは生きやすくなるのだろうか、それとももっと生きづらくなるのだろうか。言いたい言葉を飲み込む度に体が受け止めている。そして、それはいずれ大きな時限爆弾になる。

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