第16話

絶望した。自分の不甲斐なさに責任感のなさに自分の弱さに。物事を深く考えるのはやめようと何度思ったことか。相手の一言に全てを察してしまう自分が嫌いだ。「わかりました」その一言の裏にどんな気持ちがあって、向こうでは自分の事をどう言われているかが手に取るように分かる。確認のしようはないのだが痛い程伝わってくる。明日はきっと大丈夫、明日からは。完璧な自分とは程遠い。鏡を見てみても情けない自分の姿に過去の自分を重ねてしまう。いつまでこんな自分でいるのだろうと、一生このままなのかと絶望した。何か一ついつもと変わった事をしてみてもそれはただのおまけで続きもしないし自分ではない。社会が自分を拒否しているのか自分が適応していないのか考えるまでもない。人間関係が上手くいかない訳ではない。相手のして欲しい事を先回りしてやったり気付かれなくてもよかれと思って余計な仕事をしてしまう。正直そんな事をしているせいで他の事が疎かになっているのではないかと最近思い始めた。周りを見ても必要以上の事をしている人はあまりいない。それなのに仕事は上手くいっているし人間関係も良好そうに見える。しかし、これは完全な自分の思い込みで、みんなそれぞれ理解されない苦悩を抱えているんだと分かっていても自分が一番可哀想に思えてくる。情けないが自分以外に可哀想な人を見る時だけが唯一少し心が優しくなれる気がする。

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