第11話

人間体験した事しか体感は分からないと言ったが、例外がある。想像や妄想ではなく実際に自分が体験したかのような感覚に陥る事がある。他人の痛みや感情が全身を巡る。今まで何故こんなにも分かるのだろうと不思議に思っていた。そして、調べてみるとある言葉が出てきた。『エンパス』聞いた事がある人はいるだろうか。少なくとも自分は初めて知った。特徴や特性など見れば見るほど自分だった。それと同時に何故か自分の分からなくてモヤモヤした気持ちが知りたくて調べていたのに分かった瞬間少し残念な気持ちになった。それは便利な言葉で片付けられた感があるからだ。自分はそんな単純な人間ではない、もっと特別で個性的で誰とも似つかないものだと無意識にそうであってほしいと望んでいたのかもしれない。もっともそれ以上は見たくなくなり途中で画面を閉じた。その為全てが当てはまっているのかは分からない。それに自分を解説されるというのはいい気はしない。人間には遺伝子というパターンや型があり、それを元に形成されていくもの。特別な人間など存在しないのかも。

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