第四話「出会い」
「ではあらためて、狼さんとの関係も含め話していきますね」
「まずは狼さんとの出会いから話しますね。」
―――――――――――――――――――
「あれはちょうどおばあちゃんが腰を悪くしてしまって、こっちに私が住むようになってから数日が経ったときでした、その時は珍しく雨と風が激しいときでした。」
「その時ドアの外から『トントン』とドアを叩く音がしたんです、珍しくお客様でも来たのかなと思ってドアを開けたんです。」
「そうしたらそこにいたのは大きな体つきの男の人で緑色のフードを被っていて表情などは見えなかったんですが、外の状況が状況だったので一旦家の中に招き入れ暖房の近くで温まってもらっていたんです。」
「そして、温まってもらっている間にお茶とかお菓子を用意して一旦話を聞ける状態にしたんです。」
「その時が初めて狼さんと出会ったときなんです。」
「とにかくその時狼さんは『すまない、少し迷ってしまったんだ大変申し訳ないのだが雨が止むまで泊めさせてもらってもいいか?』と聞いてきたんです。その時は少し戸惑いましたが、この外の状態で追い出すのも胸を痛めたので私とおばあちゃんの部屋に入らないを条件に雨が止むまでこの家に泊めることにしました。」
「狼さんは『本当にすまない』と言って暖炉の前でゆっくりと私が渡したお茶を飲みながらただただ、暖炉の方を向いていたんです。」
「しばらく経った時でした、ふと狼さんが『この家の家具はもしかして壊れかけているのか?』と私に聞いてきたんです。はじめどうしてそんなことを?と思ったんですけど、まぁ確かに結構古そうに見えるものねとも思ったので、『そうですね今座っている椅子でしたりテーブルとかはそろそろ買い替えないといけないですね』って答えたんですよ」
「そしたら狼さんは『そうか、ならば私が新しくここの家具を作ってしまってもいいか?』と尋ねてきたんです。」
「はじめは驚きました、ただ、実際家具とかはかなりきしんでたりしていたので、お願いしてもいいかなと思いお願いしたんです。」
「そこからですね、狼さんと交流が多くなったのは、はじめは半信半疑だったんですが、数日おきに家具を持ってきてもらって今おいている家具で新しいんものは大体狼さんが作ったものになったんです。」
「やはりというか、なんというかそういうわけだったか。それでその車椅子も狼が作ったんだよな?」
「そうですね、狼さんが何回か訪ねて家具を作り直してくれた時に私のおばあちゃんの話をしたんです。
「そうしたらこの車椅子を作ってくれたんです。」
「これで一応すべての証明はできたわけだな、あとはこれも聞いておきたいんだが、赤ずきんさんは狼についてどう思ってる?」
「そうですね、いい人だとは思います。お世話にもなっているし、一緒に夕飯などもお返しとして食べてもらったりとかもしているので、正直返しきれない恩は感じています。
「ただ...」
「ただ?」
「なんていうんでしょう、たまに何とも言えない感情に苛まれる《さいなまれる》ときがあるんです。言葉では表せない感情というんでしょうか、本当何とも言えない感情なんですけどそういった気持ちがあるっていう感じですね。」
(おいおい、これってよ)
(ええ、そうね、おそらくそういうことだと思うわ)
「なるほどわかりました。赤ずきんさんの気持ちも分かったことで、質問の連続で申し訳ないのですが、もしあなたたちお二人が、狼に襲われ食べられるとします、そしてその後食べられた後に救われてたとして、狼も一緒に助けることができるとしたらどうしますか?喜びますか?恨みますか?」
「・・・はっきりした答えを出すことはできませんが、きっと恨みはしないと思います。」
「それはどうして?」
「だって、それは狼さんだからです!」
「きっと狼さんのことなので理由もなしで襲ったりしないですし、襲ったとしても私たちは生きていると信じているからです。」
「どうしてそこまであいつのことを信じられるんだ?」
「どうしてって、それは長い間お世話になって、あの方を見てきたからなんとなくですけどわかるんです。そういう方なんだなって。」
「本当になんとなくですけど・・・」
というと赤ずきんは本当に朗らかな笑いをこちらに向けてきた。
ガシッ!
(いてぇ!これで今回何回目だよ!)
(たった3回よ)
(たったって・・・)
(たったよ、たった、あなたがまた険しそうな表情をしていたから蹴っただけじゃない)
(そんな顔してたか?)
(していたわ、それはもう親の仇のような顔をしていたわ、ほら見てみなさい赤ずきんを怯えているじゃない・・・)
そういわれカイトは赤ずきんの方を見てみると泣きそうな表情をしていて今にでも涙でも出すのではないだろうかと思うほどの顔つきをしていた。
「あ、すまない考え事をしていたんだ、怖がらせるつもりはなかったんだ」
「ヒッ...ヒッ...ッ...大丈夫です。別に泣いたりとかはしていないので」
(いや泣きそうな表情でしたよ...)
「いや本当にすまなかった。」
「いえいえ、ほんとうに気にしてないのでください。」
「そうか、まぁ泣きたいときは泣いた方がいいと思うぞ、そうした方が自分を解放できてスッキリするからな」
「そうしますね」
(ああ、その笑顔は誰でも落とすことできるんだろうな~)
「と、まぁいろいろ聞いたが、情報的には狩人は町にいる。そして問題なのが赤ずきんの中にある黒いやつなんだが、これはおそらく赤ずきんや場所とかで解決できる問題ではなさそうだ」
「つまりどういうことなんですか?」
「この黒いやつていうのは、基本的には入った宿主の精神状態、こころの状態に依存して変化するものなんだ、つまり個人に宿るため、基本は個人ごとに解決はできるが、どうやらあんたの黒いやつは個人で解決できるわけではないということだ」
「そして、解決するためにはおそらく狩人の方を解決しないといけないということなんだろう。あくまで憶測でしかないが」
「どうして、そこで狩人さんが絡んでくるんですか?」
「それはな赤ずきん、狼の方はもうすでに解決済みだからなんだよ、そしておばあさんの方は黒いやつの反応がなかった、ということはあと赤ずきんにかかわっている人間がいるとしたら狩人しかいないというわけなんだよ。」
「なるほど、なんとなくわかりました・・・」
「まぁ別にすべて理解できなくて大丈夫だ、ここらへんはこちらの話でしかないからな。」
「そうですか、ではこれ以上はあまり聞かないようにしますね。」
「あぁそうしてくれるとありがたい。」
「じゃあ、今日の話はこれくらいにしておくとしよう。いろいろ聞いてしまってすまないな。」
「いえいえ、大丈夫ですよ、スッキリした部分とかもあったので・・・それに魔法使いさんたちの力になれてよかったですし」
「よかったらこのまま泊まっていきますか?」
「そうだな、お言葉に甘えさせていただきます」
「あそこの部屋はおじいちゃんがいた部屋だったんですが、今は空いているのであそこを使ってください。」
「いいのか?使っても」
「おじいさんが使ってた部屋なんだろ?」
「えぇ大丈夫ですよ・・・おじいさんがいなくなってからきちんときれいにしましたし、ずっと使われないよりいいと思うので、使ってあげてください」
「そこまで言うなら、ありがたく使わせていただきます。」
「はい!」
(さてと部屋に向かいますかと、おばあさんの部屋の隣が開いてるんだよな。)
扉を開け見ると
「あ、一つ伝え忘れてました。そこ、元はおじいちゃんの部屋なので別途シングルなので一つしかないの忘れてました。」
というのを聞いた後にカイトは部屋の中を見て同時に思たのだった。『なるほどな、今日はスッキリ眠れないのだと』
「カイトわかっていると思うけど・・・」
「へいへい、こっちで寝させてもらいますは」
と手を振って部屋から出ていくカイトであった。
「そうわかっているならいのよ・・・」 (反対向いていたら別によかったのだけど・・・)
―――――――――――――――――――
「ファァ・・・ふう本当椅子の上で寝るのは肩がこるな・・・」
「あら、おはよう、どうしてそんなところで寝ていたの?」
「いやいや、うそでしょ!え、もしかして記憶なくした?オイオイ昨日お前が、え?」
「うそよ、あらためておはよう。すっきり眠れたは」
「そうかよ、よかったな」
「おはようございます、お二人はよく眠れましたか?」
「俺は無理だったけどね」
「そういえばどうしてそこで寝ていたんですか?」
「ああ、まぁ、気にしないでくれ」
「その人は椅子で寝るのが好きなのよ」
「なわけないだろ!たく、まぁ本当気にしなくていいよ、それより今から朝食作るのか?」
「いえ、もう作っているので今から準備しちゃいますね」
「すまないな、ありがとう」
「手伝いましょうか?」
「いえいえ、お客様なのでお気になさらず先に座っていてください」
「わかったわ、ではお言葉に甘えて」
「ではおばあちゃんを呼んできますね」
そういって赤ずきんはおばあさんの部屋までいき、おばあさんを車いすでつれきた。
「ではもう少し待っててくださいね」
朝食の準備が進み、目の前には木材の皿、スプーン、フォーク、そこに昨日と同じようにバケットにはいっぱいに盛られたパンと皿にスープが入った。
「ではいただきましょうか」
朝食を食べ終え今後の方針を話すのであった。
「まず、昨日言った黒いやつについてだが、今の段階ではどうすることができない、そのため一度俺たちは町まで行ってみようと思う。そこで一回狩人に会ってくる」
「おそらくその狩人に会うことで赤ずきんの黒いやつは解決できるはずだ、そして町から帰ってきたら、後はもう少ししないといけないことがあるがその時にまた話をする」
「では気を付けてくださいね、あそこの町はいいところもありますが、悪いところもあるので・・・」
「まぁ、なんとなくわかるよ、じゃあ行ってくる」
「はい、お気をつけて」
「すまない、どうやったら町まで行けるんだ?」
「町でしたら家を出てまっすぐいったら小道があるのでそこを右に曲がって後はまっすぐに行けば町の近くにある丘に出るのでそこから降りていけば町につきます」
「了解だ、ありがとう」
そして、カイト達は赤ずきんに教えてもらった道をたどり、丘までやってきた。
「やっと着いたな」
赤ずきんの言っていたとおり、丘の下に町があった、上から町を見て思ったが町に賑わいが少ない気がした、まったく賑わっていないわけではないが、思っていたより賑わいがある感じではなかった。
「結構暗そうね」
「そうだな、まぁ行くしかないし行くか」
「そうね」
(実際に町に来てみたが町の賑わいとしては上から見たときよりいないな。)
(道で行き交う人がまず少ない、ちらって見えてる人であっても何かから逃げるかのように、急いでどこかに向かっている。もしくは浮浪者のように髪が長いなどといった人たちがちらほら座っているていう感じか・・・)
(赤ずきんはこのことを言いたかったのか?)
(あの言い方はほかにもあるような気がするが今は気にしても意味がないか。)
「まずは狩人の場所を探さないといけないし、こういった場所はやっぱりあそこで情報取集しかないよな」
「行ってらっしゃい」
「え?いかないの?」
「行くわけないでしょあんなところ」
「いやだって、情報収集はあそこが一番いいじゃん、行かないのか?」
「あんな野蛮を体現化したところなんて行きたくないわ」
「じゃあ、お前は何してるんだよ」
「とりあえず、この町を見て回るわ、その間あなたはあっちで情報を探っておいて」
「ああ、なるほどね確かに手分けした方がいいか、了解だ。」
「じゃあ、気を付けて行ってこいよ結構きなくさそうだからなこの町は」
「ええ、せいぜいそっちも殺されないように気をつけなさいよ」
「それじゃ互いに頑張りますか、とりあえず1時間くらい経ったらここに集合というわけで」
「わかったわ」
ヒヨリを見送り俺は目的の場所へと向かった
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