大奥 PTA(朝の連続ネット小説)35,000PV感謝

知良うらら

第一章 吹き矢のゆくえ

其の一 プロローグ

 大奥おおおく(PTA)、それはお子を人質に取られるがゆえ、一度入ったら二度と逃れる事が出来ない女の牢獄。女の怨みのむくろが、そこここに散らばっておるのでございます。


 いづれの御代みよに御座いましたでしょうか。御吟味方ごきんみがた(選出委員)が決まらぬ場合、吹き矢(くじ引き)にて選ぶ運びとなり、ここ大奥(PTA)は混乱の極みとなっておりました。


「どうかお許しください、私めにはこちらに通う太郎の他に、数え三つの幼な子がおり、更に身重みおもの身に御座います。このような折、いかにしてお役目を果たすことができましょうや。どうか此度こたびだけは、御役目をお免じいただくことはかないませんでしょうか。」


 安子やすこ様は切々と訴えるのだが、御組総取締おくみそうとりしまり(クラス委員長)の春日かすが様は厳しい表情をなさり、お役をお免じになるご様子はない。


「誰ぞ、ほかに御吟味方ごぎんみがた(選出委員)をお引き受けになれる者はおらぬのか」



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