Part5

「…」


ユキに振り下ろされた剣。だがその剣は、ユキの顔にギリギリ当たらず、一人の剣士が防いだ。


「…お前か、サラ」


「久しぶりだな、剣士狩り。いや、リパ」


サラは剣を、ユキの顔に当たる直前に、当たらないギリギリを狙い、リパの剣の攻撃を防ぎつつ、ユキの顔の真横に剣を地面に刺した。


「この女は、お前の関係者か?」


「私の、弟子だ!」


サラはリパの剣を振りほどいた。


「サラ、さん…」


ユキは意識が遠のき、気を失った。


「サラ、いかに第二位のお前と言えど、一人で我々剣士狩りを相手にするのか?」


「いや、私は一人じゃない。既に仲間の剣士を呼んである。もちろん、第一位もな。どうするリパ、ここで我々、剣士組上位者と戦うか?」


「…」


「…」


睨みあうリパとサラ。


「…引くぞ」


「了解しました」


リパの言葉を合図に、仲間の剣士狩りはみな了承した。


「サラ、我々剣士狩りは、狙った獲物は逃がさない。精々その女を守ることだな」


「…」


リパはそう言い、剣士狩りたちは瞬間移動で去っていった。


サラは、ユキをだき抱え、サラの家に連れていった。


〈数十分後〉


「…う、うーん」


「あ、お姉ちゃん!」


「…ミユキ」


ミユキはサラに呼ばれ、サラの家に来ていた。


「よかった、お姉ちゃん。生きてて」


「…ごめんねミユキ。心配かけて」


「ううん、お姉ちゃんが無事でよかった」


「…」


「ユキさん、ご無事ですか?」


「…サオリさんも」


「サラさんから事情は聞きました。ご無事なようでよかったです」


「はい、ボクはもう大丈夫です。!サラさんに聞いたってことは、ここは…」


「あぁ、私の家だよ」


「サラさん」


「ユキ、もう痛みはないか?」


「はい、すいませんサラさん、弟子のかっこ悪い所見せちゃって」


「そんな事はない、弟子が無事に生きていてくれている。師匠はそれがなにより嬉しい。だから、かっこ悪いなんて事はない」


「サラさん…」


「…」


「サラさん、ユキさんを襲った剣士狩り、リパは、何者なんですか?」


「…そうだな、ここにいる皆には、話しておくよ」


サラは、その場にいたユキ、ミユキ、サオリに、剣士狩りのトップであるリパ、通称死神について、話し始めた。


「リパ、ヤツは剣士狩りのトップの人物だ。剣士たちからは、死神と恐れられている。言ってしまえばおとぎ話上の人物と思われている」


「死神、ですか」


「おとぎ話、そんな人物と思われているのに、存在するんですね」


「あぁ、ヤツが実在するのは、ホントだ。そしてヤツは、元ランキング第二位だ」


「!?」


元ランキング第二位、その言葉を聞き、ユキたちは驚いた。


「ランキング、第二位…」


「あぁ、直接剣を交えたユキなら分かると思うが、ヤツの強さはホンモノだ」


「でも、元って、どういう事ですか?」


ユキがサラに聞いた。


「ヤツは昔、ランキング第一位のユウマによって、殺された、はずだった」


「はずだった?」


「あぁ、当時のリパは、その強さと功績から、ランキング第二位に上り詰めた。だが、ランキング上位者と言う立場を利用し、度重なる剣士狩りをした果てに、上層部からユウマに命令が下った。リパを殺せと。その場にはユウマとヤツしかいなかったみたいだが、リパが殺され、私がランキング第二位になった時、ユウマから聞いた話しだ。ユウマが言うには、確かにヤツは殺したと言っていた。だが、未だにヤツは生きている。私がヤツの顔を知っていたのは、ヤツがランキング第二位にいた頃のデータが、ギリギリ残っていた時に、ユウマから見せてもらった。今は、ランキング上位者の汚点として、上層部がもみ消した。だから今は残っていない」


「だから、ヤツはおとぎ話のような扱いに」


「あぁ、その通りだユキ。だが、ヤツはどういう訳か、まだ存在している。上層部もその事には気づいている。私が報告したからな。ヤツとは一度だけ対峙したことがあるが、私もヤツを殺す前に、逃げられてしまった。だから、今度こそ、ヤツを含めた剣士狩りをまとめて片付ける」


「それは、クエストとして出るのですか?サラさん」


「それはまだ分からない。上層部次第だろう。だが、もしクエストだとしても、もし、我々剣士組上位者が組むチームだとしても、私は、この場にいる、ユキ、サオリ、ミユキ、君たちと組みたいと思っている。このチームは、私が考えうる限り、最も信頼し、強力な人材と考える。だが、ユキは、あんな事があった後だ、どうするかは、ユキにも、当然サオリやミユキにも、本人の意思に任せる」


「…」


ユキは、考えた。この戦いに参加するか否か。だが、サオリとミユキを含め、答えは決まっていた。


「サラさん、ボクを、ボクをサラさんのチームに入れてください。もう足でまといは嫌です。サラさんのお荷物にならないよう、強くなります。そして、剣士狩りは、やっぱり放ってはおけないです。あんな危険な人たちを野放しにはしちゃいけない。だから、ボクは、サラさんのチームに入りたいです!」


「ユキ…」


「私も、ユキさんと同じです。チームに入るなら、サラさんのチームが良いです」


「私もです。お姉ちゃんやサオリさんに負けないよう、私も強くなります」


「みんな…」


「私たちが、剣士狩りの歴史を終わらせましょう」


「…そうだな、改めて頼む、ユキ、サオリ、ミユキ」


「はい!」


こうして、サラを含めたユキたちのチームは一つになった。


そして、剣士狩り討伐命令が下るまで、サラ、ユキ、ミユキ、サオリは、その日から四人でサラを師匠とし、特訓を開始した。

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