Part4

サラとの会話を終え、森から一人帰っていたユキ。


「(剣士狩り、どれぐらいの強さなんだろう)」


そんなユキを、木の影に隠れながら、追ってくる者たちがいた。


「(ふふ、今日の獲物、発見)」


「(剣士狩りの時間だ)」


一人の剣士狩りが、音を出さずに、後ろからユキに向かって斬りかかった。


「っ!」


その斬撃を、ギリギリの所でかわしたユキ。


「あぁ」


「…」


「お前、なんで今のが避けれた」


「気配を感じ、常に警戒しろ。そう教わったからね」


「へぇ、そうかいそうかい」


ユキと対面した一人の剣士狩りが、腕を上げ、他の仲間に合図し、他の剣士狩りが姿を現した。


「…もしかして、君たちが剣士狩りか」


「へぇー、俺たちの事を知ってるのか」


「…」


「俺たちを知ってるヤツが、お前に教えたんだな。なるほどなるほど。なら、今から何をするかは、分かるな?」


その剣士狩りは、鋭い視線をユキに向け、ユキも警戒した。


「…」


ユキは剣を抜いた。剣士狩りと戦うために。


「おもしれえな、一対多数で戦う気か?」


「ボクは、まだ死ぬわけにはいかなくてね」


「そうかい、でも、ここでお前は終わりだ」


ユキと話していた剣士狩りは、剣を握り、襲いかかってきた。


「んあっ!」


「っ!」


ユキは初撃を剣で防ぎ、二撃三撃も、剣で防いでみせた。


「へぇ、やるなお前」


ユキと戦っていた剣士狩りは、そこまで剣が早くない者だった為、ユキも特に苦戦はせず戦えていた。


「っ!(この人、強い。でも、戦えてる、剣士狩りと)」


「ならこれはどうだ!」


今度の攻撃は、たくさんの魔力を剣に込め、パワーでユキに勝負を挑んできた。


「っ(パワーなら、ボクも負けない!)」


ユキも、その勝負にのり、魔力を剣に込め、挑んだ。


「んっ」


二人の剣がぶつかり、パワーの差は、ほぼ互角だった。


「(これなら、勝てる)」


「お前」


「…」


「バカだな」


「?」


その言葉に疑問をもったユキ。だが、そう考えたのも束の間、後ろから一人の剣士狩りが、ユキに襲いかかってきた。


「おらっ!」


「!」


ユキは、正面の剣士狩りとのパワーバトルを中断し、剣を上手く利用し、後ろから来た剣士狩りの攻撃を受けずに済んだ。


「ハァ、ハァ」


「ふふふ、俺らがバカ正直に一対一で戦う訳ないだろ」


「っ」


戦いを見ていた剣士狩りも、動き出しユキに迫った。


「っ、ふっ!」


何人もの剣士狩り相手に、ユキも少し苦戦した。


「随分と一人に時間かけちまったな、あの方が来ちまう」


ユキは、剣士狩り多数相手に、なんとか一人で防いでいたが、それも限界が近づいてきていた。


「(このままじゃ)」


「んっ」


剣士狩りと戦っているユキ。そんなユキがピンチになっていた時、剣士狩りたちが攻撃をやめ、ユキから離れた。


「ん(なんだ)」


剣士狩りがユキから距離をとった事に、疑問を持ったが、その理由はすぐに分かった。


「あーあ、来ちまったよ」


「?、!」


剣士狩りはもちろん、ユキも、その魔力に、反応した。そして感じた。今ここに向かって歩いて来ている者、剣士狩りは、周りの者たちと、比にならない程強いと。


「(この反応、なに、この反応は、同じ人間、剣士なの)」


新たに現れた一人の剣士狩りの、禍々しい魔力の反応に、ユキは初めて、相手を恐れた。


ユキが、一歩引こうとした時、その剣士狩りは、ユキから数メートルは離れていたはずだったが、気がつくと、その剣士狩りは、ユキの後ろへと移動していた。


「……!?」


そのあまりの速さに、ユキは一瞬、状況の把握が遅れた。


「っ!」


ユキがすぐさま後ろを向くと、視界には、剣士狩りの短剣が、ユキの眼を貫く勢いで迫っていた。


「!、んっ」


その攻撃を、なんとかギリギリ避けたユキ。だが、頬に短剣による傷がついてしまった。


「っ」


その剣士狩りから距離をとった。


「…」


「今のをかわすか」


「お前、何者だよ」


「一人の剣士狩りさ」


「…!」


ユキが反撃に出ようとした時、突然視界がボヤけ、ユキは倒れた。


「(え、なんで…身体が、まさか、毒…)」


「あーあ、俺に始末されてりゃあ、苦しまずに死ねたのになぁ」


「(身体が、動かない)」


「…」


ユキに傷を負わせた剣士狩りが、ユキに近づき、ユキを踏みつけた。


「ウッ!」


「いかに強い剣士と言っても、この短剣、毒の前では、無力だ」


「お、まえ、一体」


「俺の名は、リパ。剣士たちからは、死神と言われている」


「しに、がみ…」


「苦しいだろう、今、楽にしてやる」


「くっ」


ユキは、動いて反撃したいが、毒のせいで身体が動かない。そんなユキに、リパは剣を召喚し、その剣を、ユキに振り下ろした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る