あなたの小説のどこかダメなのか?(有益度★★★★)

 っていう自問自答ですね。

 あなた=和田正雪なので、皆さんのことではありません。

 まず麻雀の話からなんですけど……大丈夫です、ご安心ください。見出しの内容にちゃんと着地します。

 麻雀の勉強には牌譜検討というものがあります。別に麻雀じゃなくて、将棋でも棋譜検討ありますけど、私が一番得意なのが麻雀なので麻雀を例にしてます。

 何をするかというと、実践で打った記録(誰がどんな手牌で、何を引いてきて何を切ったか)を見て勉強するっていうものです。

 これをちゃんとやることが強くなるための近道と言われています。自分がどこでミスをしたか、どこが勝敗の分岐点だったか理解できると同じ盤面になった時に、同じミスをしなくなるからですね。

 麻雀っていうのは一定以上の実力になると、とにかくミスをしないことが大切になってくるゲームで、実力が近い者同士で対局すると、他人のミス待ちみたいな状況になることも多々あるんですよね。

 うっかりミス一回が命取りになるという。

 小説にも繋がるところあると思います。別に小説は1ミス命取りにはならないですけど。

 ちなみにこの牌譜検討っていうのはある程度の知識がないとやっても意味ないんですよ。そもそも対局中はミスだと思ってないからその牌打ってるわけなので、見返しても同じところで同じ選択するなーと思うだけですよね。

 これ麻雀のややこしいところなんですけど、正着手100%でもボッコボコに負けるケースというのがしょっちゅうあって、逆にミス連発してるのになんか運が良くて勝っちゃったとかもままあるので、別に負けたから反省するわけでもなくて、悪手はあったのかどうか、ちゃんと状況を分析したら打つ牌は違ったのかを検証するのが検討ということになります。


 で、本題に戻っていくわけですけど、小説もかなり近いことが言えるのではないかなと。

 個人的には本文を書いている時よりも読み返して改稿している時間が長い作品の方が良いものに仕上がる説を提唱しているんですが、そもそもである程度の数を書いたり読んだりしていないと、何回読み返してもより良くはならんのでは?と思ったわけです。

 麻雀と一緒ですわ。

 つまり麻雀が強くなると、小説も上手くなるということですね。

 SNSをよくご覧の方はお気づきかと思いますが、ここ最近デビューしている作家が麻雀打ちである確率が異常に高いんですね。オープンにしていなくても雀魂か天鳳のアカウント所持率は限りなく100%に近いと睨んでいます。


 まぁ、これで書きたいことは書き終わったので、これで今回はおしまいでもいいんですが、じゃあ小説を読み返す時にどう読めばいいのよ?っていうこともついでに書いておきますか。

 編集者さんに読んでいただいて、さらっとでも指摘をいただけると読み返しの精度が段違いに上がって、ミスも沢山見つかるし、最終的に商品にならずにボツになるにしてもはぐれメタル級の経験値と手元には後々の教材として生きるボツ原稿が残るので話は早いんですが、自力でどこを見たらいいんでしょうねという。

 "私の場合は"っていうのをしっかり強調した上で読み返す時のポイントを書いておきます。

 こういうのは個人個人で違うので参考にはしていただかなくて結構ですが、もし参考になったという方がいらっしゃったら投げ銭代わりに私の著書を買っておいてください。


 まず私が言っているのは校正ではないです。誤字脱字は読み返してれば自然と見つかるので。

・登場人物の台詞がちゃんとその人が言いそうか。ストーリーや自分(著者)の都合で言わされていないか。

・伏線は対応する回収描写があるかどうか。

・登場人物の内面の流れが自然かどうか。

→私はだいたいここで引っ掛かります。行間に次ぐ行間で、あまりにも書かないので。どの場面でこの人はこの人を好きになったのかとか、いつ納得したのかとか一切書かなかった結果、自分にしか伝わらないおそろしく簡素なRTA小説と化していますね。そこは作風とか文体とかとセットなので必ずしも書くことが正義だとは思わないんですけど、バランスですわね。

・作品テーマやタイトルと内容がちゃんとリンクしているか。

→趣味で書く分には知らんがな、変わることもあるし、そんな高尚なテーマとかないわいって話なんですけど、エンタメでも読者を想定するならどう読んでもらいたいかっていうのはちゃんと意識して、芯を通しておくと良い気はします。


 だいたい、編集者さんに言われたことの受け売りです。

 あと、私個人の欠点に対しての指摘というか、こういうところを気にして改稿しましょうねっていう指導なので、逆に「書き過ぎ、もっとシンプルに」って言われる人もいるでしょう。

 文章の上手い下手については考えたこともないですね。下手くそって言われたことないから、まぁ読めるレベルなんでしょうっていうくらいにしか思ってないです。純文学とか芸術じゃなくて、読みやすければいいエンタメだと割り切っているので。


 まぁ、新人賞の一次とか二次で落ちている自作を読み返してみる時に「こんなに面白いのになんでやねん」とだけ思って不貞腐れるよりは、牌譜検討と一緒で強くなるために自分のミスやもっと良くなる・勝ち筋への分岐点があったんじゃないかと自分に厳しく読み直すことで得られるものというのはあるんじゃないでしょうか、というお話でした。


 あとこれは余談of余談なんですが、最近プロの作家さん的な扱いをされた時にまったく自分のことだと認識していなくて、ふーんそういう人がいるんだなぁと思っていたら私のことだったということがあります。

 たまたま本が1冊出ただけの趣味で小説を書いている人という自認なので、ときどき作家扱いされるとビックリします。

 2冊くらい出したらちょっとはプロ意識とかも出てくるんですかね。全然小説家になったぞ感はないですね。ぼちぼち本が出て1年経ちますけど。

 唯一、小説家と名乗るのは地下アイドルに「何してる人?」って訊かれた時ですね。その時だけ「売れない作家」って言ってます。話が盛り上がるので。


 ではでは。

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