新人賞の選評との付き合い方(有益度★★★★)
今日、野性時代に横溝賞の選評が出たんですよ。それ読みまして。
受賞作の『をんごく』が絶賛されている一方で(めっちゃ面白かったですからね)、それ以外の最終選考候補作3作に対してはけっこう辛口選評でした。
応募者のことをあくまでプロ志望の作家として扱っていて、=読者/客としては想定していないんでしょうね。
一般文芸の新人賞というのはそういうスタンスのものが多い気がします。
最終選考に残っている時点で上位1%の作品なわけですからね。もうちょっと良い点も書いてもいい気がしますけど。
文芸誌に掲載されるコンテンツ扱いではなく、対個人に対しての指導という感じですよね。
ほかの作品も面白かったですけどね。ちょっと厳しすぎるんじゃないかなとは思いました。
さて、今日はそんな選評のお話です。
ライトノベルの賞は応募者全員/一次選考通過者(数百人)に選評とか採点シートあげますよーみたいなのをやってたりしますね。
10点満点とかABC評価とか、チェックシート方式とか、キャラクターとかストーリーとか項目ごとにコメント書いてもらえるとか色々。
これね、どのくらいの精度なんでしょうね?
ライトノベルレーベルは明確に応募者を=読者/客として認識していますし、規約上SNSとかで公開しないでねってことになっていても公開しちゃう人はいるだろうって思ってるフシはあると思います。
かなり甘い、という印象です。
そんだけ褒めてくれるなら受賞でいいじゃん! なんで落ちたんだよ!っていうくらい優しいコメントで埋め尽くされていたりします。
かなりちゃんとエンタメかつビジネスとして書籍やメディアミックス(アニメ・コミックとか)の好感度も計算してるんだろうなぁと感じることが多かったです。
まぁ、とはいえ実はそんなに継続的にラノベは書いていなくて、2~3作くらい書いてそれを落ちたら別のレーベルに出し直して、評価シートを集めただけなので、ひょっとしたらボロクソに書かれるケースというのもあるのかもしれません。
一方で一般文芸は最初に書いた横溝賞のように、手厳しい選評ありますね。最終選考まで残ってもこれは一次で落ちた作品なのか?と思うような厳しいことを書かれたり、なんなら選評でまったく触れられない/無視されるということすらあります。
しかも、電話で連絡担当の編集者さんに「編集部としては授賞に推していたんですが……」とか言われて、もう何がなんだかわからん、どうせぇっちゅーねんということもあります。
結構スタンスが明確である一方で作品に対する評価もくっきり二分しているというか、「ここが良かったよ。でもここがちょっと足りなかったから、こうしたら受賞レベル/もっと上の選考に残れる作品になるよ」みたいな、応募者が求めるバランスのとれたアドバイスというのはなかなか出てこないのかもしれない、というのが私個人の感覚です。
全部が全部を真正面から受け止めるのではなく、一理あるなと思ったところだけ摘まんで受け取るくらいが良いのかなと思いますね。
新人賞の選評で勉強するというのは編集部からのダイレクトな反応とはいえ、あまり効率が良くない気がします。
読書家の友達に読んでもらうとかの方が色々と発見はありそうです。
とはいえ、いかんせんサンプル数がそこまで多いわけではないのであくまで自分が目にしたものでの印象で言ってます。鵜呑みにはしないでください。
たった一回の選評で爆発的に成長するケースもあるにはあると思います。
あと純文学は書かないので、選評もらったことないですし、新人賞の選評までチェックはしてないのでちょっとわからないんですが、ストーリーの面白さとかエンタメ性関係なく芸術性での評価ってどうやるんでしょうね。
なんか気になってきました。
芥川賞の受賞作は大学時代にけっこう読んだんですが『夏の流れ』『沖で待つ』『アサッテの人』『苦役列車』は面白かった記憶があります。
今日はこんなところで。
また気が向いたら何か書きます。
今連載中の『和田正雪のオカルトグルメリポート』ですが、ストックゼロの割にはなんとか頑張ってます。たぶん、新人賞では即落とされるかボロクソ言われるタイプの作品ですが、個人的には面白いと思ってやってます。
応援してもらえると嬉しいです。
ではでは。
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