物語の結末について考える その2(有益度★★★)
以前にも物語の結末については一度考えたのですが、再び自分の考えをまとめるために記事を書いている次第。
前回の結末について考えた回はバリエーションの話だったんですが、今回はちょっと違います。
実は今日、とある小説を買って読んだんですが、どうもこう……しっくりこないというかですね、途中までめちゃくちゃ面白いと思ってご飯も食べずに読み耽っていたんですが、読み終わってみるとちょっと違和感があったんですよね。中盤までは相当好きだったんですけど。
で、ラストが好みじゃなかったのかもしれないという結論に至ったんですが、このラストの何がしっくりこなかったのか考えてみようかなと。
まぁラストの展開に言及するのと、手放しに褒める感じではないので作品名は出さないことにします。
架空の作品をもとにした仮定の話として読んでください。
今日読んだ作品っていうのはミステリーだったんですけど、主人公の推理がバシッと決まらないというか、主人公の推理はちょっとだけ間違っていて、犯人が軌道修正してくれるんですよね。実は……っていう感じで。
で、犯人の側の目的は達成されて、主人公は真相はわかるけど別にそれで幸せになるとかいうこともなくまたこれまでと同じ日常に戻っていくみたいな結末になるんですよ。
これってフリとオチの関係が微妙にズレているように感じるというか、謎が提示されて、手掛かりを元に主人公が謎を解き明かす構成なら、そこにカタルシスがほしかったなぁと。
謎を解いていく経緯はすごく鮮やかで素晴らしかったので最後まで主人公の推理力で解決してほしかったんだなと思ったんでしょうね、振り返ってみると。
主人公視点では何をどうやっても知りえない情報というのがあって、そこが犯人の動機になっているので、それを完璧に言い当ててしまうとエスパーかよっていうことになるので、そこの想像を外して、犯人側が教えてくれるのが正しいというかロジカルな展開ではあります。
が、ここまで付き合ってきたからにはやっぱり主人公と一緒に報われたい気持ちはあったのかなと。
別に殺人事件の真相を追うみたいなタイプの話ではなく、日常の謎に近いタイプなので犯人が捕まるとか罰せられるとかはなくていいんですけど、主人公がこの経験で得たものっていうのが殆どなくて失ってばっかりなんですよね。
報酬のつり合いが取れていないといいますか。
著者さんからしたらそれはリアルではないとかご都合主義と感じたのかもしれないなぁと思います。
まぁちょっとロジカルな展開ではなくなっても、読者を最後まで楽しませるサービス精神を良しとするか、あくまでリアリティを重視するかっていうのはもう好みとか美学の問題でしかないのでそれが作品の文章芸術としての価値を左右するということはないとは思うんですけど、やっぱりオチは綺麗であった方が好きだなぁと思いました。個人的に。
200P300Pっていう長い物語に付き合ってもらってきて、ラストでモヤっとするとか肩透かしを食らわせるっていうのは、サービス精神には欠けるように思えてならないんですよね。
自分でもホラーとか書くのでバッドエンドも致し方なしってなることは多々あるんですが、やっぱりエンターテイメントとしてはきちんと振っておくなら、それにあわせて落とした方がいいですし、裏切るなら気持ちのいい裏切りにしたいなぁと思いました。自分の作品ではっていう話ですけど。
ではでは。
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