書籍化するにあたって足りなかった部分(有益度★★★★★)
そろそろ『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』刊行から一ヶ月が経とうとしています。
ありがたいことにAmazonの在庫が「残20(入荷予定あり)」表記になりました。
もともと何冊入荷していたのかわからないですが、確実に減っているということがわかるのはとても嬉しいです。
お買い上げいただいた皆さまのところにお伺いして1冊ずつサイン入れさせていただきたいくらいの感謝の気持ちです。まぁ、それは現実的ではないのですが、このエッセイでお買い上げいただいた方へのサービスが何かできないものかというのは常々考えていて、さきほど思いついたのでもともとの予定を変更して今回の記事を執筆することにしました。
今日は『火蛾』をもとにした『物語の結末について考える(有益度★★★★★)』という記事を掲載予定で、1/3くらい書いたところで思いのほかヒートアップして大作になりそうであるな……と手を休めていたところでふと思い立ち、今回の記事を書き始めた次第です。
で、改めて変更になった今回の内容は……「WEB連載版と書籍版でどこが変わったのか。編集部からの改稿の提案はどういったものだったのか」というものになります。
WEB連載版と書籍を見比べてどういうことかわかる、ということは書籍をお買い上げいただいた皆様へのサービスになりうるのかなと。
なので、書き方としては両方見て初めて言わんとしていることがわかるようなちょっと曖昧な書き方になります。
では始めます。
『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』という作品は、紙書籍になるにあたってWEB連載版から大きく変更になった箇所(加筆パート)があります。
そこが商品にするにあたって必須の加筆修正箇所であり、そこが増えて初めて商品価値がある作品になるという編集部判断でした。
逆に言えばそこの加筆以外の箇所は直した方がクオリティが高くなるけど、書籍化するかどうかの決定的な要因にはなりえないということになります。
具体的には章が丸ごと一つ追加になっています。
これはもう書籍とWEB版見比べればすぐわかります。
別にここはなんか物足りないなーとかボリューム出そうかなとかいう理由で加筆したものではなく、編集者さんからの明確な指示によって増えた箇所になります。
正確に言えば100%書き足したわけではなく、もともと番外編1として本編の後に入れていた短編をがっつり加筆修正して、間に挿入したということになるのですが……。
(今、WEB版本編直後にある、山城が主人公のエピソードはもともと番外編2でした)
この章がなぜ本編後ではなく途中に挿入されることになったのか、ということについては皆さんに考えていただきたいところではあるのですが、少し説明します。
この章の内容自体は代替可能なもので、絶対この内容である必要はなくて少し違う形のエピソードでも成立するのですが、この章を挟むことでクオリティが明確に上がるというものになります。
別になくても成立はしますし、違和感もないと思います。
そもそも入ってなかったですし。
ただ一回入れてみるとこのエピソードがないとお話全体が性急すぎるように感じますし、必要なステップを飛ばしたように思えてきて、なるほどなと思えるはずです。
私自身が当初いらないと思っていた理由としては、そこは読者さん側の想像で補っていただくというつもりで時系列的にも前後の章で意図的に空白の期間を作っていたのですが、それではいけないと。
私けっこうやりがちだったんですよね。ストーリーを先に進めることを優先するがあまり、こういうところをすっ飛ばして、後から描いてないエピソードを匂わせて、読者さんの想像に委ねる(甘える)というのを。
ここがなくても(正確にはちゃんと本編のラストにくっついていたわけですが)書籍化のお話はいただけたわけですが、商品にするにあたってはこれが必要というのは割と自分の中で大きなことで、意識改革があったように思います。
というわけで、書籍をお買い上げいただいた皆様は是非とも見比べていただいて、その追加された部分が作品全体にどういう効果をもたらしたのか、ということを考えてみてください。
他にも細々としたところがいっぱい変わっていて、その一つ一つに結構ちゃんと意図があったりするんですが、そのあたりはまたいつか気が向いたら。
ではでは。
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