書籍刊行に向けてやったこと(総集編)

 『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』の発売から3週間が経ちました。

 担当編集者さんからは売れているとも売れていないとも言われていないので、まぁそんなに売れてるって感じでもないんだと思いますが、書籍刊行にあたってやってきたことをまとめておきます。

 販促・宣伝系記事の総集編だと思ってください。

 以前に書いた記事と重複する部分は沢山あると思いますが、どこの箇所が過去のどの記事に該当するか気になる方はご自身で探して読んでみてください。特定のトピックについて詳しく書いていたりします。


 さて、では始めますか。

 まず私は自分自身である程度認知度を上げたり、宣伝をした方が良さそうだなと思い、計画を立てることしたのですがそれには理由があります。


・作品が受賞作ではないこと。

 そう、『よみかの』はコンテスト受賞作でもなければ、新人賞受賞作でもありません。

 となると、どういうことが予想されるでしょうか?

 まず出版社から新人賞受賞作が決まったというプレスリリースが出ません。そしておそらく新人賞受賞作には専用の宣伝予算が組まれているでしょうが、それがゼロです。書店店頭でポスターが貼られることもなければ、WEB広告、電車の中吊り、新聞広告といったもので宣伝されることもない、となると、多少は自分で宣伝をしなければなるまいということで色々と考えることにしました。


 以前の記事にも書いたのですが、たまたま広告代理店に勤務する友人がいたのでどうしたもんか?という話をしたところ、Twitterを頑張るのがよかろうということでTwitterを動かすことにしました。

 書籍化の打診を受けることにした時点で私のTwitterアカウントというのはほぼ稼働していませんでした。

 一応、作家アカウント自体は作っていたのですが、第7回カクヨムコンに応募する際にカクヨム作家の人がどういう発信をしているのか情報収集するためのもので、プロフィールに「カクヨム」と入れている方をザっとフォローして、へーこういう風に更新告知とかしてるんだなーと思うだけで自分から特に何かを発信するということはしていませんでした。

 まずやることにしたのは、ただ宣伝をしても誰も読んでくれないだろうということでちょっとしたネタツイートを織り交ぜた宣伝です。

 あくまで宣伝を目的としているので、交流には力を入れていません。

 基本的にフォローいただければ鍵アカ以外はフォローバックして、リプライをいただければお返事はする、くらいです。

 ネタとしては、小説あるある、書籍化作業小ネタ、サイン本コレクション、自分の好きなものを主軸にすることにしました。

 読んでちょっと得した気持ちになったり、明るい気持ちになるようなことを呟きたいというのは根底にあります。ネガティブなことは笑える自虐くらいが良いような気がします。

 バズネタや時事ネタへの便乗はインプレッション稼ぎにはもってこいではありますが、宣伝効果としては皆無だろうというので避けました。良いことではないのですが、もともと世情に疎く、あまりニュースを見ないというのもあります。

 校正ネタでバズって90万インプレッションを稼いだこともありますが、別に作品のPVが伸びることはありませんでした。フォロワーはちょっと増えました。

 あと自分の影響力などは皆無に近いんですが、それでも角川ホラー作家を名乗っても嘘ではないという立場にはなったので、これから書籍が出る方の宣伝などは微力ながら協力したいなと思っています。

 特に私の著作をお買い上げいただいた方の本は買って、感想を書いたりはしたいです。


 次にカクヨムとハーメルンで公開している『探偵系VTuberの成り上がり』という作品内で作中作という形で『よみかの』を登場させました。

 主人公(大学生作家)が書いた作品が『よみかの』であり、この作品にまつわる事件が起きたりと割と作中で重要な役割を担っています。

 両方読むと世界観の解像度が上がり、書籍を買うと主人公にスパチャ(投げ銭)できるというギミックにしてあります。

 VTuberモノといっても、舞台が近未来でミステリーという主流からは完全に外れた作品ではあるのですが、運良く合計で2500ブックマーク、40万PV、ハーメルンではオリジナル作品の年間ランキングにも食い込めて、さらにネット小説系まとめブログでも紹介されたり、第一部はメフィスト賞の座談会に載ったりとマイナージャンル作品としては目立つポジションに入れたので、認知という点では効果があったのかなと思います。

 とはいえ、この作品を読んでくださっている方はオカルト恋愛ジャンルに興味はないでしょうし、明確に購入意志をアピールしてくれたコメントはかなり少なかったので宣伝効果のほどはよくわかりません。PVに対してコメントはかなり少ないので本当に読まれているのか、不安になります。

 40万PVといっても1.2万PVの当エッセイと同じくらいなのかもしれません。

 効果測定ができればいいんですけどね。


 そして当エッセイ『カクヨムディストピアジャーナル』の連載を始めました。

 ダイレクトに自分の宣伝をする場が欲しかったので作りました。

 読者の方が「みんなに教えたい」と思うような内容を載せることで、拡散していただき、強制的に宣伝も目に入るようにするという戦略です。

 先ほども書きましたが1.2万PV回っているので、直接的な宣伝としてはまぁまぁ効果があったのかなと。

 ただし、「書籍の告知ですよ、みんな読んでくださいね」という回は全然読まれず、「最終選考の落ち方」とか「梗概の書き方」とか実益がある系の記事ばかりが突出して読まれているので、やっぱり宣伝はそういう回で強引にやった方がよさそうです。


 ここまでは自力でやってみたことで、ここからは運や環境に助けてもらったことです。

 広告予算はないので、広告は出なかったのですが、担当編集者さんが社内媒体の企画記事や原稿依頼を取ってきてくださったおかげで宣伝記事が色々掲載されました。

・『怪と幽』対談

・『野性時代』エッセイ(今月末刊行)

・『ダ・ヴィンチWEB』書評

 それぞれのTwitterアカウントで告知が出るのでTwitter広告に近い効果が期待できました。

 対談の話などは過去記事にちょっと詳しめに書いているのでご参照ください。


 また書籍刊行にあわせてたまたま有名人の方や芸能人の方に書籍をご紹介いただいたりしました。これはただのラッキーです。

・『近畿地方のある場所について』書籍化発表で背筋先生に古参ファンとして名前を挙げていただきました。

・声優の夜道雪さんにご自身の名前が全部入った本を見つけたとツイートしていただきました。

・落語家の柳家権之助師匠に小説の感想をTwitterとブログに掲載していただきました。


 他にも全員のお名前を挙げることはできませんが、カクヨムやTwitterで知っていただいた多くの方にTwitterや近況ノートで購入報告や感想を書いていただいたのは本当にありがたかったです。


 あとカクヨム発文芸単行本が同時に3作品出たことも各作品にとって良かったように思います。

 これは編集部サイドも狙って調整していたようです。

 ホラー、BL、SFとバラバラの3ジャンルを同時に出すことで全部セットでカクヨムにバナーが出たり、作家同士が相互に宣伝したりするわけですが、この3作品って作風も読者層も被ってないのでパイの食い合いが起こらないというのが非常に効率が良かったのではないかなと。

 最初からこれしか買うつもりがなかったという人が一緒に宣伝されていて、じゃあこっちも買ってみようかな、ということは起こりえても、これを買うからこれは買えないということが起こりにくいですよね。

 実際にAmazonの販売をページを見ると「この商品を購入した人はこんな商品も買っています」「よく一緒に購入されている商品」のところで3作品が並んでいるので、同時にお買い上げいただいているようです。

 実質、新人賞受賞作と同じようなことが疑似的に行われていたのではないかと思います。


 と、まぁだいたいこんなところでしょうか。

 売れても売れなくても、これだけやって、運も味方してくれたので「あれやっときゃよかった」的な後悔はありません。

 何か忘れているかもしれませんが、漏れていそうなところは過去記事で補完してください。


 当記事で拙作を初めて知ったという方は是非ともお買い上げいただけますと幸いです。

 ではでは。

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