新人賞の梗概について(有益度★★★★)

 新人賞の原稿にくっつける梗概ってありますね。

 所謂商業作品とかネット小説の「あらすじ」とは違って、ちゃんと冒頭からオチまで書きましょうというものです。

 正直、私はあんまり梗概の出来不出来が選考の結果に影響を及ぼすことはないんじゃないかなぁと思っています。

 とはいえ、そもそもどう書いたらいいかわからん、というのはあると思います。

 受賞作とか最終選考作の梗概っていうのが表に出ることはないので、どの程度のものが残っているのかわからないですし。

 時々、SNSで選考委員が梗概を読むか読まないかとか、結末やトリックまで書くのかどうかっていうのは話題になりますが、じゃあその受賞作のがどんなのだったかっていうのは誰も見せてくれないわけじゃないですか。

 というわけで、今回は前回のメフィスト賞の座談会(最終選考)に残った梗概をお見せしようかなと。

 なるほど、と思うもよし、この程度で最終残るなら別に梗概の出来については気にすることないなと思うもよし。

 私も他人様にお見せするようなもんでもないとは思いますけど。でも、流石にここまで出してくれたなら、わかったわかった買う買う『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』ね。もうこれ1冊買ったらこのエッセイの内容使っていいんだろ?っていう人もいるかもしれないのでね。

 そう、お買い上げいただいた方はこの後載せるのをコピペして、自分の作品の梗概の下敷きに使ってもらって構いません。

 使いたいよって方は予約ボタンをポチっとしておいてください。


 では、いきます。これはカクヨムに原稿載せてる『探偵系VTuberの成り上がり』が残った時の梗概の元原稿です。応募フォームにコピペしたらちょっと文字数オーバーしてしまってブラウザ上で削ったので元としています。

 あとネタバレを気にする方は第一部まで読んでいただくと良いかもしれません。第一部がちょうど10万文字になっています。

―――――――――――

(梗概)

 売れない女子大生ミステリ作家・藤堂ニコは自作の宣伝のためにVR空間で活動するバーチャルライバーとなった。そんな彼女のもとにある日、高額の投げ銭と共にとある相談コメントが寄せられる。それは未来予知系Vライバー千里眼オロチに家族が心酔して困っているのでカラクリを暴いてほしいというものだった。

 ニコはオロチの未来予知がSNSや動画投稿サイトの非公開投稿を利用したイカサマであることを看破し、彼女を引退に追い込むことに成功する。

 そして名前を売ったニコの元に次々とVRライバー絡みの事件の解決依頼が舞い込んでくるようになるのだった――。


 次にニコはコラボ相手が次々と引退してしまうV殺しの呪術師と対決することになる。そしてV殺しと、彼女が引退に追い込んだとされるVライバーたちは同一の人間によって運営されていた自作自演であることを見事に見抜き事件を解決するのだった。


 ニコは探偵業の息抜きにリアルでの友人である牧村と共にVR空間での地下アイドルライブへと出かけることに。しかしライブ中にアイドルの一人がリアル側で殺害され、ライブが中止になってしまう。生き残ったメンバーからの依頼でニコは事件の真相を追い始める。リアル側での殺人事件の報道から元地下アイドルの女性が殺害されたのではないかと推理したのだが、その事件を追えば追うほどに違和感が募る。もう一度彼女は集めた情報を整理し、殺害されたアイドルの”中の人”が実は男性であり、その正体を知った過激なファンによる犯行だったことを突き止める。グループの評判を気にしてそのことを隠蔽しようとしていたプロデューサーを説得し、グループは事実を公表、再始動するのであった。


 V探偵として有名になってきたニコに対し、怪盗Vライバーを名乗る者から挑戦状が送りつけられる。お互いの個人情報を賭けた勝負を挑まれたニコは自らのブランディングのため渋々対決することに。ニコは怪盗Vがこのゲームには必勝法があると口を滑らせたことからもともと彼女の正体を知る人物によるイカサマ勝負だと気づく。

 ニコには友人がたった一人しかいないこと、VR上での活動からは決してニコの正体が推測できないように振舞ってきたことから怪盗の正体が牧村であると見破るのだった。負けを認めた彼女はニコと対等な友人であると証明するために勝負を挑んだと白状する。二人は和解し、親友になる。

 ニコはこれまでの出来事をミステリ小説として発表し、ミステリ作家としても再起するのだった。

―――――――――――

 こんなもんですね。

 公募の時はVTuberとかYouTubeとか商標的に怪しい単語は使っていないんですね。完全に忘れていましたが。

 まぁ読み返してみて、これ単体で別に面白そうともつまらなさそうとも思わないというか、淡々と流れを書いているだけです。

 短編連作ということもあり、章ごとの繋ぎとかもまったく意識せずにほぼ箇条書きみたいな感じですね。

 選考会の時に選考委員の方々がどういうお話だったか思い出せればそれで目的は果たすだろうと考えてこうしてますし、なにより規定文字数に全部押し込むということが最優先なのでそんなに表現に気を遣ってられないっていうのもあります。

 いまだかつて選評や編集者さんからの電話でも梗概について触れられたことはただの一度もないので、結局そんな気にすることはないと思いますね。

 主人公がどういう人物か、どんなお話か、どんなオチかが書いてあればそれで良いんじゃないでしょうか。

 参考にしてほしい、というかこういうことに皆さんが割くリソースが軽減されて、本文執筆に注力できるようになったなら幸いです。

 あと『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』のご予約お願いします。アマランが地の底に落ちると焦って有益っぽいことを書こうと頑張るでお馴染みのエッセイは今回はここまで。

 ではでは。 

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