群像劇は難しい(有益度★★★)

 群像劇っていつか挑戦したいジャンルではありますよね。

 ただ先行作品に傑作(ラッシュライフ、ドミノetc.)があって、まだ何かできることが残っているだろうか? というところで躓いて、結局書かず仕舞いです。

 矛盾やミスに気づいた時に、どこまで遡ればいいのかわからないし、遡って直したとして、また後の展開が成立しなくなるかもしれないし。

 相当精巧なプロットを組んでもなお失敗するリスクがありそうなのが群像劇というやつですよね。

 短編何本かをちょっとリンクさせるようななんちゃって群像劇風短編連作ならいける気もしますけど。

 でも、やっぱりグランドホテル形式で複数人が同時に物語を進行しながら、知らず知らずのうちに影響を与え合って、一つの大きな結末に辿り着くっていうのをやりたいですわね。


 でも、群像劇のプロットの書き方とか小説指南書に載ってないですよね。

(あるかもしれないけど、私は見たことないかなぁ)

 まぁ、パズルみたいにやってくしかないんだから、書き方も何も……みたいなことなんでしょうけど。

 と言いつつ、このエッセイを書いてるということは何かしらヒントや参考資料がある、ということでもありますね。

 勘のいい読者さんはお気づきかと思いますが。


 「428」


 この数字見てピンと来る方いらっしゃいますかね?

 ピンと来なかった方はおめでとうございます。

 あなたはこれから超傑作群像劇を楽しむことができます。

 実はこれ、ゲームのタイトルなんですよ。

 正式タイトルは『428 〜封鎖された渋谷で〜』といいます。

 複数人の主人公それぞれの物語を進めていくわけなんですが、途中で絶対に詰むようになってるんですね。

 で、一人の物語が詰む度にキャラクターを切り替えて、詰んだ物語が成立するようにまた別の一人の行動を変えてお話を進めていくというゲームなんですよ。

 で、この登場人物一人一人の行動が5分刻みのタイムチャートになっていて、それでいつの誰の行動が物語の進行を阻害しているのか確認できるんですが……これって群像劇のプロットに応用できそうですよね。

 しかも複数の物語の絡み合い方の緻密さがすごいので、なるほどこういうリンクのさせ方があるのか!っていう気づきが何箇所もあると思います。

 ちなみにこれはADVゲームで実写の静止画に、テキストが表示させるタイプなので、ゲームが苦手とかなんならゲーム自体やったことない方でも問題なく遊べるはずです。


 もともとはWiiで発売されたゲームなんですが今移植版も幾つか出てますのでそちらでプレイしてみてください。

 これも例によってですが、参考にならなかったとしても超面白体験できますから、騙されたと思ってちょっと遊んでみていただきたいタイトルです。

 まぁ、とはいえ合う合わないありますから、軽くどんなゲームか調べてみてください。


 ちなみに静止画のADVゲームではあるんですが、このゲーム本当にどうかしてる制作の仕方してまして。全編映画撮ってるんですよ。役者さんもみんな台詞入れてきて現場でちゃんと演じてます。でもその映像は一切使わないという。

 なんて贅沢なゲームでしょうね。


 ちなみにこれの前に『街 〜運命の交差点〜』という同じシステムのゲームが出てるんですが、こちらはやや荒削りで一つ一つのシナリオが独立していたり、ちょっとオチが微妙だったりするので時系列的には428の方が後なんですが、428を先にプレイした方がいい気がします。


 さて今回、お伝えしたいのは小説のヒントになるのは小説に限らないかもよってことでした。

 遊郭モノの回と同じでそういうことを考えてはいるけど実践はしてないので。

 とはいえ、こうしてエッセイ書いているうちにいずれ群像劇書いてみようかなという気はしてきました。

 やっぱりコスパはあまり良くなさそうな(かける時間や手間に対して完成した作品のクオリティが読めなさ過ぎる気がする)ジャンルなんですけど、一度くらいはね、挑戦する価値はありそうだなとも思うわけなので。


 そして実は428を開発したスパイクチュンソフトはドワンゴの子会社でKADOKAWAの連結子会社でもあるんですね。っていうのを今wikiを見て知りました。もう媚びようとかいう意思ゼロでも、何書いても大抵KADOKAWA関連じゃん……。

 というわけで今回もしっかりKADOKAWAの回し者みたいなコラムでした。

 ではでは。

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